文・写真/福成海央(海外書き人クラブ/オランダ在住ライター)
11月も半ばを過ぎると、暗く寒い冬がオランダにもやってきます。ガーデニングとは無縁かと思われる季節ですが、実はガーデニングセンターが最も華やかになるシーズン。例年この頃になると各地のガーデニングセンターでは「クリスマスショー」と呼ばれる、特別な展示が行われます。今回はそんな冬限定の店内の様子をご紹介します。
クリスマスショーとは、店内の一部を改装してクリスマス用の装飾を販売する特設コーナーのこと。単なる商品の展示だけではなく、大掛かりな飾りや動く展示もあり、ちょっとした遊園地のアトラクションのようです。また装飾も非常に数多く展示され、我が家では今年はどんな飾りつけにしようかなと、わくわくする空間です。
ではさっそく、店内を覗いてみましょう。夏には屋外家具などを展示していた場所がすっかり様変わり。最初はクリスマスツリーのオーナメントのコーナーです。日本で見るものより、大ぶりで目立つものが多い印象。特にキラキラと光を反射する素材は、日没が早い冬を少しでも明るくきらびやかに過ごしたい気持ちが現れているのかもしれません。
続いて、屋外装飾のコーナーです。外壁や生け垣を飾り付けるライトや、空気で膨らませる雪だるまなどの屋外飾りも販売されていました。これらも夕暮れには暗くなってしまう冬の街を明るい雰囲気にしてくれるものです。
ここからは、室内装飾のコーナーが続きます。クリスマスツリーやテーブルコーディネートなど、お部屋をクリスマスの雰囲気に変えてくれる素敵なアイテムがたくさん。今年この店では、テーマとなる「色」で分けた展示となっていました。
どのテーマカラーも素敵でしたが、私が斬新と感じたのがピンク色のコーナー。様々なアイテムを取り扱うガーデニングセンターならではの、造花をアレンジした鮮やかな色のクリスマスツリーです。冬の常緑樹と熱帯植物という、相反する組み合わせがとても新鮮でした。
ところどころ、スイッチを押すと動いたり歌ったりする展示があります。みな、足を止めて動く展示を見たり、歌を聴いたりして、年末の気分を楽しんでいるようでした。
ガーデニングセンターのクリスマスショーは、地域住民たちの季節の楽しみともなっています。この日も買い物客の他に、近くの老人ホームの方たちが車いすで訪れていました。
さて、クリスマスショーを抜けた後も、まだまだ関連商品が並びます。こちらは生木のクリスマスツリー売り場。本格的なシーズンを前に、まさに準備をしているところでした。人工のクリスマスツリーも多いですが、今でも生木のクリスマスツリーは人気があり、毎年スーパーでも販売されるほど。ガーデニングセンターでは、大きさも木の種類も多くのツリーが揃います。
クリスマスリースのコーナーもありました。土台となる藁を丸くしたものと、ワイヤー類、そして常緑樹の短い枝が山積みになっています。
最後にクリスマス関係以外の様子も少し。春に向けて球根コーナーの品揃えが増えています。チューリップの植え付け時期は11月がベストだからかすでにやや品薄の様子。水仙は多くありました。春をイメージして球根を用意するのも楽しい庭仕事ですね。
そして野鳥観察も、冬の庭の楽しみです。寒くなり十分に食べることが難しくなった鳥たちのために、餌を用意する家庭が多くなります。餌となる種のミックスも5kgといった大容量があったり、油脂と混ぜ合わせてカロリーを高めたボール型の餌が売られていたりします。我が家の庭にも、シジュウカラ、クロウタドリ、コマドリなどが餌を食べにやってくるので、ボール型の餌を買い足しました。
さて、日本とは少し異なる初冬のガーデニングセンターの様子、いかがでしたか? クリスマスのわくわくした気分を高めてくれる、季節限定のお楽しみです。
季節がめぐると、2月中旬頃からオランダの花々は一気に芽吹き始めます。歩道脇にあふれるクロッカス、水辺に群れる水仙、そしていよいよオランダの本領発揮ともいえるチューリップの季節がやってきます。また訪れる春を待ちながら、冬の楽しみも重ねていきたいと思います。
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文・写真/福成海央(オランダ在住ライター)
2016年よりオランダ在住。元・科学館勤務のミュージアム好きで、オランダ国内を中心にヨーロッパで訪れたミュージアム、体験施設は100ヵ所以上。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員。