世の中が賑わい、ハロウィンの寄せ植えを目にしてワクワクする10月
すっかり秋のイベントとして定着した「ハロウィン」。仮装したり、骸骨やお化けの壁飾りを駆使して、ホームデコレーションを楽しむこともすっかり習慣になりました。いつの日からか、クリスマス同様に賑わうイベントとして、植物をふんだんに使ったホームデコレーションや、ハロウィンの寄せ植えなどをSNSで目にすることも増えて、ワクワクする気持ちが増す時期でもあります。
飾りを考えたり、飾りを作ったり……ハロウィンの予定がなくても、街の彩りに後押しされるような気持ちになる方も多いはず。私ごとですが、子どもが幼かったときには、飾りで流通するかぼちゃを購入し、くり抜いてキャンドルを入れて……と、海外ドラマのワンシーンのようなことにチャレンジしたことがあります。くり抜いたときに出た大量の中身を「美味しいのかな?」と食い意地を出し、加熱していたこともあります。彩りとは反対に、すごく美味しくなくて、とてもがっかりした残念な記憶とともに、「日本の地味なかぼちゃはなんて美味しいのか!」 と再認識したことを思い出すハロウィンでもあります。
色数が多く、テーブルサイズで楽しめるミニコチョウランは室内栽培におすすめ
ハロウィンパーティーなどで、家に人を招く機会も増えるこの時期。お土産用と室内飾りを兼ねて、ハロウィンカラーのオレンジ色や黒い花色で、ミニブーケを作るなど、植物が溶け込む機会が増えるタイミングでもあります。室内栽培が可能な鉢花も人気で、テーブルサイズで楽しめるミニコチョウランは、ピンクや白の他に、オレンジ色や黄色などの色数が増えるので、いろいろな種類に手を伸ばしたくなる愛らしさがあります。値段も手頃なので、鑑賞期間を考えるとお得な植物だと思います。
花持ちが良く、育てやすいカランコエや、根付き植物をプラスするのもおすすめ
ここ数年は、カジュアルな楽しみ方ができるカランコエも人気です。色が鮮やかな花色に加え、オレンジ色やライムグリーンなどの色数も増えて魅力が増しました。小指の爪ほどの小さな花がたくさん咲きますが、バラの花を小さくしたような八重咲きの品種が出回るようになってからは、花持ちの良さと育てやすさが支持されているようです。日当たりのよい室内でも栽培でき、水やりの頻度が少なく、栽培のハードルが低いのも人気の理由かもしれません。原色のような色あざやかな花色を中心に、数色寄せ植えにしてブーケのように眺めたり、優しい色合いの花色だけで大きめのカゴに数株寄せて飾るのもおすすめです。葉の中に水分を溜め込みながら成長する植物なので、葉の先端が少し下がった時や、葉の葉面にハリやツヤが無くなったり、シワがよったら水をたっぷり与えます。屋外でも栽培可能ですが、冬の寒さが苦手な植物なので、コートを羽織る頃には屋内に取り込む必要があります。
屋外では、過酷な暑さを経験した植物にワンアイテムプラスして、根付きの植物でイベント感を盛り上げることも可能です。枯れたような色合いや、チョコレート色のススキの仲間を、今ある植物にプラスするだけで、情緒ある秋らしい景色も楽しめます。かぼちゃや、お化けなどのモチーフとともに飾ることもおすすめです。
秋らしいワンアイテムをプラスしたり、複数の色数の植物を寄せ植えて秋の雰囲気を演出
長い酷暑を過ぎた秋の風情も、秋の色も、秋らしさあふれる寄せ植えで暮らしに彩りとしてプラスできます。気分転換のつもりで、夏の植物にススキやケイトウなどの牧歌的な植物のワンアイテムを加えて秋らしさを取り入れたり、紅葉のような鮮やかな葉色や花色をプラスして、秋空に映える草花を飾ったり。魔女のホウキ物だけを集めた寄せ植えなど、長く鑑賞できる草花を上手に活用することもできます。晩秋まで楽しめるウェルカムフラワーとして、玄関周りやバルコニーを華やかに彩れますので、絵を描くように気軽に寄せ植えできるのが何よりもおすすめのポイントです。
日本の秋は、色鮮やかなオレンジ色のマリーゴールドの花で彩ることが多い海外とは異なり、情緒溢れる秋らしさを感じる草花が素敵に感じる季節です。そんな秋の寄せ植えに、ハロウィンかぼちゃをあしらうなど、ハロウィンシーズンが盛り上がる楽しみ方もできます。
ミニサイズのかぼちゃとキャンドルを飾ってハロウィン気分を盛り上げる!
根のついた植物を育てる自信もないし……という時は、小さなハロウィンかぼちゃをいくつか購入して飾るだけでも大丈夫です。小さなオレンジ色のかぼちゃや、白とグリーンのストライプ模様のかぼちゃ、ひょうたん型のかぼちゃ、手のひらサイズのミニかぼちゃを飾るだけでも、ハロウィンの雰囲気を楽しむことができます。かぼちゃをトレーやカゴに電池式のキャンドルも一緒に飾ると、秋の夜長をキャンドルの灯りで楽しむことができます。
見慣れている日常の景色も、キャンドルの灯り越しに眺めると、少し特別な景色に見えます。深まりゆく秋、イベントを通しながらでも、暮らしを楽しむ「ゆとり」が何よりも素敵な時間の過ごし方だと思うこの頃。仮装することも、ハロウィンでお菓子をもらうこともないからと言わず、暮らしに植物を取り入れた「遊び」をチャレンジしてほしいと思う日々です。
いろいろな秋の愉しみがありますが、まずは我が家の小さな秋を楽しむことからはじめてみませんか?
杉井 志織(すぎい・しおり)
1972年生まれ、埼玉県出身。建築の専門学校を卒業後、フラワースクールで植物の生態やアレンジメント、花屋運営のノウハウなどを学ぶ。現在は、ガーデニングや花壇ボランティア運営の指導、イベント装飾、執筆活動の他、NHK『趣味の園芸』へ出演する等、各メディアで幅広く活動中。上海花卉博覧会(10th CHINA FLOWER EXPO)海外招待ガーデナー・最優秀設計賞受賞。