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モーリス・ユトリロの母は、自由奔放な画家で、息子を祖母に預けて数多くの芸術家と浮名を流します。パリ郊外のモンマニーで祖母と暮らすユトリロは幼いころから飲酒をおぼえました。

20歳のころ、アルコール依存症の治療のために絵を描くことを医師から勧められて絵筆をとったユトリロは、たちまち才能を開花させ、画家としての人生を歩み始めます。

ユトリロが生涯をかけて描き続けたどこか物寂しいフランスの風景画は、幼いころから心に抱えていた孤独を映しだしていたのかもしれません。

《可愛い聖体拝受者》、トルシー=アン=ヴァロアの教会(エヌ県)1912年頃
(C)Hélène Bruneau 2023

新潟市新津美術館の「生誕140年 ユトリロ展 『白の時代』中心に」は、日本国内のコレクションを通してユトリロの画業を概観する展覧会です。(7月1日~8月27日)

本展の見どころを、新潟市新津美術館の学芸員、石月裕子さんにうかがいました。

「モーリス・ユトリロ(1883-1955)は、20世紀前半フランス各地の風景を叙情豊かに描いた画家です。特にサクレ=クール寺院をはじめとする教会や酒場ラパン・アジルなど、生まれ育った街パリのモンマルトルをテーマにした作品を数多く残しました。

モンマルトルのサン=ピエール広場から眺めたパリ 1908年頃
(C)Hélène Bruneau 2023
ラパン・アジル、モンマルトルのサン=ヴァンサン通り 1910-12年頃
(C)Hélène Bruneau 2023

本展では、アルコール依存症の治療のため、ほぼ独学で絵画制作を始めた「モンマニーの時代」から、全盛期と評される「白の時代」、明るく色鮮やかな「色彩の時代」、そして晩年に至るまでの作品を国内コレクション約70点で展観します。

「白の時代」のユトリロは、アルコールに蝕まれ入退院を繰り返しながらも、毎日のように傑作を生み出しました。マティエールを追求し、絵の具に砂や漆喰を混ぜて塗ることもあったといわれています。ユトリロがこだわったリアルな質感をご堪能ください。

モンマルトルのノルヴァン通り 1910年頃
(C)Hélène Bruneau 2023
パリのサン=セヴラン教会 1910-12年頃
(C)Hélène Bruneau 2023

また本展では、ユトリロの油彩画やグワッシュ、リトグラフに加え、同じく画家であった母シュザンヌ・ヴァラドン(1865〜1938)の作品も紹介しています。画家ユトリロの生涯を巡る展覧会をどうぞお楽しみください」

本展は展示室内の写真撮影が可能です(一部作品を除く)。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
生誕140年 ユトリロ展 『白の時代』を中心に
会期:2023年7月1日(土)~8月27日(日)
会場:新潟市新津美術館
住所:新潟市秋葉区蒲ヶ沢109-1 (花と遺跡のふるさと公園内)
電話:0250・25・1300
公式サイト:https://www.city.niigata.lg.jp/nam
開館時間:10時から17時まで(観覧券販売は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館。ただし7月24日、8月14日は開館)7月18日(火曜)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
巡回:横浜髙島屋ギャラリー<8階> 2023年9月13日(水)~10月2日(月)
   美術館「えき」KYOTO 2023年11月3日(金)~12月25日(月)

取材・文/池田充枝

 

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