はかなくも余韻あふれる風味豊かなモンブランクリームは和栗の真骨頂。
その質に魅せられ、個性を際立たせる各地のモンブラン喫茶をご案内。
築80年以上の古民家でいただく3種類のモンブラン
喫茶室 山脈(岐阜・各務原市)
名古屋駅から名鉄の特急で約50分。岐阜県は各務原市鵜沼───中山道の宿場町として知られる鵜沼宿の近くに『喫茶室 山脈』はある。その名のごとく“山”をテーマとし、標高の高い山地で育った豆を自家焙煎したコーヒーと、モンブランを基軸にした注目店だ。
「岐阜産の和栗を使った『山脈モンブラン』、焙煎したコーヒーと洋酒の『栗と珈琲のモンブラン』、時期に応じた『季節のモンブラン』の3種類をドリンク1杯とセットでお出ししています」と、オーナーの小木曽米利子さん(37歳)。
昨今、モンブランの形式はさまざまであるが、異なるタイプをいっぺんに供するのは珍しい。ゆえに一昨年4月の開店以来、モンブラン好きが足しげく通うという。
3つの味わいをひとり占め
標高約70mm 直径約70mm
標高約80mm 直径約70mm
標高約70㎜ 直径約65mm
セットだけに、小さめのサイズかと思いきやさにあらず。供されるとひとりではとてもとても……と一瞬ひるむ。が、まずは「山脈モンブラン」を頬張るとそれが杞憂とわかる。おだやかな香りと旨味があるのに、口溶けは軽い。そしてまたコーヒーがいい。コーヒーは3種類。自家焙煎のブレンドを深煎り、中煎り、浅煎りに。それぞれを一合目、二合目、三合目と“山”にちなんでいるのが心憎い。ひとりでゆっくりいただくもよし、誰かと分け合うもよし。モンブランづくしを楽しみたい。
喫茶室 山脈
岐阜県各務原市鵜沼三ツ池町2-205
電話:058・322・7600
営業時間:9時~18時
定休日:水曜
交通:名鉄各務原線二十軒駅より徒歩約5分 31席。
取材・文/山崎真由子 撮影/寺澤太郎 (山崎の「崎」はたつさき)
※この記事は『サライ』2022年10月号より転載しました。