はかなくも余韻あふれる風味豊かなモンブランクリームは和栗の真骨頂。
その質に魅せられ、個性を際立たせる各地のモンブラン喫茶をご案内。
お茶にもお酒にもよく合う“紗(しゃ)”のような繊細な和栗ペースト
和栗専門 紗織(京都・木屋町)
「丹波栗」ほか和栗の産地として知られる京都。鴨川を見渡す木屋町通にあり、和栗の旨味を存分に味わえると評判なのがこの店。平成30年の開店以来、整理券を受け取るために、朝から甘味好きが列をつくる人気ぶり。発端となったのが、この錦糸モンブラン「紗(しゃ)」である。注文を受けてから、1mmの細さで絞り出し、ふんわりした状態のまま客席に。たっぷりとした量なのに、口に入れるとふんわり軽やか。するっと食べられるのには、独自の秘訣がある。
砂糖を使わずバターのみ
標高約130mm 直径約100mm
丹波栗の甘みを最大限に生かすため、和栗のペーストに加えるのはバターのみで砂糖は使わない。さらには中心のメレンゲの水分を極力抜いている。卵白に和三盆とサトウキビでできた和三蜜を加え低温のオーブンで12時間加熱。ふんわりサクッとした状態にするのだ。わずか5mmのスポンジの薄さも軽やかさの理由という。
「味も香りも濃い丹波栗の風味をしっかり感じていただくために、試行錯誤を重ねました」と店長の柏戸敏成さん(34歳)。町家を改装した京都の風情がある空間で、濃厚な風味を実感してほしい。
和栗専門 紗織
京都市下京区木屋町高辻上ル和泉屋町170-1
電話:075・365・5559
営業時間:10時〜18時(最終入店17時30分)
定休日:不定
交通:阪急電鉄京都河原町駅より徒歩約5分 カウンター6席、テーブル28席。
取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎
※この記事は『サライ』2022年10月号より転載しました。