
8月21日、ボルボのエレクトリックSUV「EX30」の悪路走破性を向上させたクロスカントリーモデル「EX30クロスカントリー」が発売された。同時に、400万円台のエントリーモデルの追加も発表され、一層ラインナップが充実した「EX30」シリーズを紹介する。
文/竹井あきら
冒険できるタフな相棒

スウェーデンの自動車メーカー、ボルボの電動コンパクトSUV「EX30」シリーズに、アウトドアシーンでも頼りになるニューモデル「EX30クロスカントリー」が加わった。
エクステリアは、フロントマスクとテールゲートにマットブラック仕上げを採用。そのフロント部には、北極圏にあるスウェーデンの最高峰、ケブネカイセ山脈の地形図をモチーフとしたアートワークが施され、このモデルの冒険心を象徴している。
リアのロアバンパーと C ピラーには、“CROSS COUNTRY”のロゴが入る。このロゴデザインは、1997年にデビューしたボルボ初のクロスカントリーモデル、初代「V70XC」から変わっていないという。こんなところにも、「タイムレス」をデザイン哲学に据えるボルボらしさが見て取れる。


足元には、マットグラファイト仕上げの専用 19 インチアルミホイールに、標準モデルより直径が大きく扁平率の高いタイヤを履く。さらにルーフバスケットやマッドフラップといった純正アクセサリーで、一層タフな装いとすることも可能だ。

内装は、スカンジナビアの常緑松林にインスパイアされた「パイン」インテリアを採用。シート地は、テイラードウールブレンド素材と、リサイクル素材とバイオ由来素材から作られるボルボ独自の「ノルディコ」とのコンビネーションで、モダンで暖かみのある雰囲気に仕上げられている。デコラティブパネルには、栽培中にCO2を吸収し、成長の早い一年草である亜麻を使ったフラックス素材を採用し、環境に配慮しながら快適なインテリアとしている。


最低地上高は「EX30」標準モデルより20mm高い195mmとし、不整地でのロードクリアランスを確保。また、サスペンションは標準モデルより柔らかく設定することで路面の衝撃を効果的に吸収し、不整地でも安定した走行ができるように設計するとともに、ダンパーやステアリングのソフトウェアもクロスカントリーモデルらしい乗り味になるように最適化されているという。
車両サイズは標準モデルより15mm幅広く、15mm高い、全長4,235mm×全幅1,850mm×全高1,565mmとなっている。

パワートレインは、フロントに最大出力115kW(156ps)/最大トルク200Nm、リアに最大出力 200kW(272ps)/最大トルク 343Nm を発揮するモーターを配した四輪駆動。走行性能と電力消費を最適化する「標準」、フロントモーターを常時使用し四輪駆動による最高のパフォーマンスを発揮する「パフォーマンス」、航続距離を最大化する「レンジ」からなる3つのドライブモードが用意され、その切り替えは、センターディスプレイのボタンからワンタッチで行うことができる。
バッテリー容量は69kWh、満充電でWLTCモード500kmの走行が可能だ。
プレス発表会に登壇したボルボ・カー・ジャパンの不動奈緒美代表取締役社長は、「世間では以前、『EVは冬に弱い』というような声も聞かれました。しかしこのEX30クロスカントリーは厳しいスウェーデンの冬でも何ら問題なく皆様の相棒になってくれるはずです。一充電走行距離の500km、これは東京から京都辺りまで行くことができます。皆様の好奇心、冒険心を十分に満たせるはずです」と胸を張った。
都会生活に寄り添うエントリーモデル

同時に発表されたのが、「EX30」シリーズのエントリーモデル「EX30 Plus Single Motor」。価格は4,790,000円(税込)と、ボルボの全ラインナップの中でもっとも安価なニューモデルだ。
リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーを採用し、WLTCモード一充電走行距離は390kmを確保。手の届きやすい価格ながら、安全運転支援機能やharman/kardonのサウンドシステムなどは標準装備し、ボルボらしい上質さを味わうことができるのが魅力だ。日常の買い物や通勤、あるいはセカンドカーとして、近距離走行が多いユーザーに適した選択肢だろう。
サイズは現行の標準モデルと同じ、全長4,235mm×全幅1,835mm×全高1,550mmで、日本の交通事情にフィットし、ほとんどの機械式駐車場にも対応する。

「EX30」は、これまで「EX30 Ultra Single Motor Extended Range」のみのワンモデルだったが、前述の「EX30クロスカントリー」とこの「EX30 Plus Single Motor」に加え、フロントとリアにモーターを配したハイパフォーマンスな四輪駆動モデル「EX30 Ultra Twin Motor Performance」、現行の「EX30 Ultra Single Motor Extended Range」の装備グレードを「Ultra」から「Plus」にすることで価格を抑えた「EX30 Plus Single Motor Extended Range」も新たに導入され、全5モデルで展開されることとなった。
希望小売価格(税込)は、「EX30 Plus Single Motor」が4,790,000円、「EX30 Plus Single Motor Extended Range」が5,390,000円、「EX30 Ultra Single Motor Extended Range」が5,790,000円、「EX30 Ultra Twin Motor Performance」が6,290,000円、「EX30 Cross Country Ultra Twin Motor Performance」が6,490,000円となる。
コンパクトなサイズに、シンプルでスタイリッシュなスカンジナビアンデザインとサステナビリティの追求、そして最先端のテクノロジーと安全性といった、ボルボに期待されるすべてを凝縮した「EX30」シリーズ。
コンパクトで上質なSUVを求めるなら、見逃せないモデルだろう。
ボルボ・カー・ジャパン
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