
セイコーがリリースする「ダットサン240Z」コラボレーション限定モデルは、1971年の東アフリカ・サファリラリー優勝という歴史的偉業を果たした、SEIKOロゴとカーナンバー11をつけた「ダットサン240Z」との特別仕様。1969年に自動巻きクロノグラフを発売したセイコーと、日本のスポーツカーとして世界に挑戦した名車ダットサン240Zの邂逅により、数量限定の特別なモデルが誕生しました。
文/土田貴史
世界へと挑戦した時計とクルマ
1960年代は、セイコーにとって計時技術を大きく飛躍させた歴史的な時期でした。1964年に国産初のクロノグラフ「クラウンクロノグラフ」を発売し、5年後の1969年には垂直クラッチとコラムホイールを搭載した世界初の自動巻クロノグラフ「1969 スピードタイマー」を世に送り出しました。この技術革新により、スタート・ストップ時の指針ズレや針飛びを抑制し、確実な操作感と安定した動作を実現しました。
時を同じくして1969年に発表された「ダットサン240Z」は、日本だけでなく北米市場を中心に世界的な大ヒットとなり、日産の世界的なイメージリーダーとしての地位を確立しました。ダットサンの名前は、1932年に日産自動車の前身「ダット自動車製造」で誕生したブランド名で、出資者3名の頭文字をとった「DAT」から「DATの息子」という意味で名付けられました。当初は「DATSON」とされていましたが、「SON」が「損」につながるという理由で「SUN(太陽)」に改められ、「DATSUN(ダットサン)」となった経緯があります。
スポーツカーとしての高性能を実証する意志を込め、「ダットサン240Z」は過酷なモータースポーツ競技として知られる世界ラリーへ挑戦を開始します。ひたむきに世界へ挑戦し続ける姿勢に共感したセイコーは、1970年代初頭から「ダットサン240Z」のモータースポーツ活動を支援しました。そして1971年、SEIKOロゴとカーナンバー「11」を付けた「ダットサン240Z」は、全長6,200kmに及ぶ世界で最も過酷なレースと呼ばれる東アフリカ・サファリラリーで優勝を果たし、名実ともにその名を世界に轟かせました。


レーシングスピリットを宿す普遍のデザイン
今回のコラボレーションモデルでは、1971年のサファリラリーを制したラリーカー「ダットサン240Z」を象徴するロゴマークを各モデルのダイヤルにあしらっています。強い日差しを反射しないようにボンネットに塗られていたマットなブラックをデザインの基調とし、レッドをアクセントカラーとして効かせた配色が特徴的です。

カウントダウンタイマー表示やタキメーター表示、クロノグラフ積算計の目盛などに使用されているアラビア数字は、「ダットサン240Z」の計器盤のような判読性の高いフォントとして新たに書き起こされています。裏ぶたには、スペシャルなコラボレーションの証として、各モデルに異なる「ダットサン240Z」のロゴマークやオリジナルイラストがマーキングされ、「LIMITED EDITION」の文字とシリアルナンバーが記されています。機能面ではコンパクトなサイズ感を実現しながら、10気圧もしくは20気圧防水を備える実用性も兼ね備えています。
またストラップには、セイコーも加盟しているLWG(レザーワーキンググループ)の認証を取得したタンナーで生産されたレザーを使用しています。裏面には汗や水などによるダメージを最小限にするため、縫い目を裏地で覆う仕様を採用しています。

Ref.SBDC219、自動巻き、ステンレススチールケース(径39.5mm)、牛革ストラップ、20気圧防水、世界限定2500本(うち国内1000本)、17万6000円(税込)。

Ref.SBEC029、自動巻き、ステンレススチールケース(径42mm)、牛革ストラップ、10気圧防水、世界限定500本(うち国内120本)、47万3000円(税込)。

Ref.SBDL121、クオーツ(ソーラー充電)、ステンレススチールケース(径41.4mm)、ステンレススチールブレスレット、10気圧防水、世界限定4000本(うち国内1200本)、14万3000円(税込)。問い合わせ/セイコーウオッチ お客様相談室 Tel. 0120-061-012(通話料無料)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/prospex/special/datsun_limited/
このコラボレーションは、1960年代から1970年代にかけて世界に挑んだ日本の技術力と挑戦精神を現代に継承する試みでもあります。セイコーの計時技術とダットサンのモータースポーツへの情熱が融合したこれらのモデルは、時計愛好家のみならず、自動車ファンにとっても特別な意味を持つアイテムとなるでしょう。