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年末年始のごちそう続きで、気づけば体重が増えてしまい、ダイエットの必要性を感じている人も多いのでは? もしくは、今年の目標としてダイエットを掲げた人もいるでしょう。

ダイエットの難しいところは、一時的に成功したとしても、気を抜いた途端にもとに戻ってしまう「リバウンド」が起きてしまうこと。そのため、ダイエットという無限ループからなかなか逃れられない状況に。実際、ダイエット経験者でリバウンドをしたという人は、5割いるとも、7割いるともいわれています。

“腸のスペシャリスト”として、さまざまな健康法を紹介してきた小林弘幸先生が、やせやすく、リバウンドしないダイエットとして提案するのが「モーニングバナナダイエット」です。体験者は3週間で「おなか周りが10cm減った」「約3kg減った」と結果を出し、体験者の91%が「今後も続けたい」と話す満足度が高いダイエット法となっています。

今回は、最新刊『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法』から、モーニングバナナダイエットのメカニズムや取り入れ方をご紹介します。

文/小林弘幸

「やせる朝食」3つの条件とは

勝手にやせる体になるためには、次の3つの条件を満たしているものを朝食で食べることです。

・GI値がなるべく低いもの
・できるだけ簡単に用意できるもの
・腸内環境が改善される成分が入っているもの
 
そして、今回タイトルにあるように「バナナ」を「朝食化」する。すなわちバナナを朝に食べることをおすすめする理由は、この3つの条件をバナナが兼ね備えているからです。まず、甘いので糖質が多く、血糖値が急激に上がりそうなイメージがありますが、バナナはGI値が低い食品です。そして、2つ目の条件、できるだけ簡単に用意できるものという条件に一番マッチするのが、バナナではないでしょうか。

なにかと慌ただしい朝。ダイエットはもとより、1日の活力のためにも朝食が大切だとわかってはいても、欠かさずとるのはけっこう大変なものです。ある調査の朝食をとらない人の理由を見ると、「面倒だから」54.2%、「時間がないから」50%と上位を占めていました。バナナならカットも加熱も不要で、皮をむくだけでパパッと食べられます。やわらかいので咀嚼にも時間がかからず、短時間で食べ終えることができて後片付けにも手間がかかりません。

次に、条件の3つ目、腸内環境が改善される成分についてです。

・腸を善玉菌が居心地のいい環境にする
・元気になる食べ物を与える
 
この2点が善玉菌を元気にするコツになります。そして、これらを実現するために役立つのが食物繊維です。食物繊維は一般的に、水に溶けるかどうかで、2種類に分けられます。善玉菌が居心地のいい環境にするのが、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。善玉菌の居心地がいいのは、腸に便がたまっていない環境です。不溶性食物繊維は、水分や老廃物などを吸着して、便のかさを増やして排出しやすくしたり、腸を刺激して、ぜん動運動を活発化し、排便を促したりといった性質をもっており「腸のおそうじ繊維」といえる存在です。バナナには不溶性と水溶性、両方の食物繊維が含まれています。また、水溶性食物繊維と同様に善玉菌のエサとなるフラクトオリゴ糖という物質も含まれています。そしてなにより、「第3の食物繊維」、「ハイパー食物繊維」といわれる物質が多く入っているのです。

注目の「第3の食物繊維」を多く含むバナナ

「第3の食物繊維」、「ハイパー食物繊維」の異名を持つ物質、それが「レジスタントスターチ」です。「レジスタント」は難消化性、「スターチ」はデンプンのことで、簡単にいえば、小腸で分解されずそのまま大腸へ運ばれるデンプンのことを指します。それは、デンプンでありながら食物繊維と同じ働き、いやそれ以上の働きが期待される、ダイエットの心強い味方となる成分なのです。

レジスタントスターチのどこが「ハイパー」なのか。それは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類の食物繊維の特徴を併せもっているところです。レジスタントスターチはダブルのパワーで、腸内環境を整えてくれるというわけです。水溶性、不溶性のバランスを意識せずとも、レジスタントスターチをとれば、両方の効果を得ることができます。そのレジスタントスターチを多く含んでいるのがバナナです。バナナは皮をむくだけで、この「最強の腸活成分」を即効でチャージできる、とてもすぐれた食材だといえるでしょう。

モーニングバナナダイエットの基本

朝にバナナを食べて、自律神経と腸内環境を整え、勝手にやせる体を作る「モーニングバナナダイエット」のやり方を説明していきます。重要なところは次の2点です。
 
・朝にバナナを1本以上食べること
・1日にバナナを2本食べること


消化にいいので、目覚めたばかりの胃腸にやさしい食材であるという利点もあります。これは、バナナに含まれるアミラーゼという消化酵素の働きによるものです。「ちょっと体調がすぐれない」というような朝でも、バナナなら食べられる可能性が高まりますし、1日に2本食べても負担にならないと考えました。
 
次になぜ2本なのか。それは、1日2本が腸内環境の改善と自律神経を整えることに役立つことが期待できるからです。2022年の1月に、順天堂大学漢方先端臨床医学研究室と小林メディカルクリニック東京の共同チームによる実証実験をしました。その結果、バナナを1日2本、2週間食べ続けた成人男女13人のうち、過半数の7人について、腸内の悪玉菌が作り出した「インドール」と呼ばれる腐敗物質が減少し、腸内環境が改善するという効果が確認されました。また、うれしいことに、自律神経が活性化する効果も見られました。つまり、続けやすさと効果の面を鑑みて、朝には必ず1本以上食べる、バナナを1日2本食べるというメソッドになったのです。

最高のやせ朝食「クラッシュバナナ」のつくり方

このまま食べてもおいしく、さまざまなメニューにアレンジも可能な「クラッシュバナナ」

一度にバナナを2本というと、少し量が多いように感じる人も少なくないでしょう。そんな方のために今回考案したのが「クラッシュバナナ」です。バナナは潰してまとめてみると、握りこぶし大ぐらいの量になります。そこに、白みそとレモン汁を加えたものが「クラッシュバナナ」です。白みそにはヨーグルトと同じくらいの乳酸菌が含まれているため、腸内環境を整える効果がありますし、ストレスを軽減してくれるGABAも豊富なので自律神経を整える効果も期待できます。レモン汁にも、代謝アップが期待できるクエン酸が入っており、「クラッシュバナナ」にすることで、より高い腸活ダイエット効果が期待できます。

つくり方

【材料(1食分)】
・バナナ… 2本
・白みそ…大さじ1
・レモン汁…大さじ1

1.皮をむき、保存袋に入れる
バナナ2本の皮をむき、冷凍保存可能な保存袋に入れる。あとで冷凍保存しておくと毎日の手間が省けるので、冷凍できる袋を選ぶ。

2.つぶす
袋の口を閉じ、手近なビンなど硬いもので、袋の上からバナナをつぶす。バナナは柔らかいので、身近にあるもので簡単にクラッシュ可能。

3.粗くつぶせばOK
粗い状態までつぶせばOK。バナナの形が少し残っているくらいのほうが、食べるときも食感が残り楽しい。

4.調味料を入れる
分量の白みそとレモン汁を加え、袋の口を閉じ、袋の上から手でもむなどして混ぜる。食べ慣れてきたら、好みでレモン汁を増やしてもOK。

* * *

お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法
著者/小林弘幸
アスコム 1,430円

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。87年順天堂大学医学部卒業。92年同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」。さらに、腸と密接なかかわりを持つ自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。また、日々の生活の中で健康的な習慣を少しずづでも実践してほしいという思いから、みそをはじめとした腸内環境を整える食材の紹介やストレッチの考案など、さまざまな形で健康な心と体の作り方を提案している。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『リセットの習慣』(日経BP)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

 

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