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低い温度でじっくり火を入れることで、お肉や魚を柔らかくできる低温調理器。火を使わないので安全で、長時間調理でもつきっきりになる必要がなく、機器任せでよいなど、思った以上に使いやすいと人気があがっています。

誰でも美味しく簡単に、さまざまな調理が可能な低温調理器ですが、更に美味しくできる方法を提案してくれるのが『一流シェフの低温調理器レシピ』(世界文化社)。日本を代表する、野崎洋光(日本料理)、脇屋友詞(中国料理)、日高良実(イタリア料理)、高良康之(フランス料理)の4人による低温調理専門のレシピブックです。

※野崎さんの「崎」は正しくは「たつさき」、高良さんの「高」は正しくは「はしごだか」です。

今回は、高良康之シェフによる「牛バラ肉の赤ワイン煮」と「海老のオリエンタル」のレシピをご紹介。アレンジ方法も提案されているので、活用幅も広がりますよ。

しっとり仕上がるお肉料理や、とろんとした食感の魚料理など、レストランのような味を簡単に楽しめる低温調理器を使って、レパートリーを広げてみませんか。

【フランス料理】高良康之(たからやすゆき)

「低温調理器は実に活用しがいのある調理ツールです。家庭用とあなどるなかれでした! 肉や魚の調理の基本は温度によるたんぱく質のコントロール。デザートにも威力を発揮してくれます」

東京・銀座「レストラン ラフィナージュ」オーナーシェフ。「銀座レカン」6代目総料理長として活躍後、2018年独立。2020年ミシュラン1つ星を獲得。フランス料理有識者の協会「クラブ アトラス」会長を務め、プロ向けから愛好家向けまで、幅広く料理講習会を行うなど精力的に活動している。

牛バラ肉の赤ワイン煮

腱やスジの多い煮込み用の牛肉は、旨みの素となるコラーゲンが豊富。これをほぐして柔らかく煮るには高めの温度、85度で低温調理します。他の料理にも展開できるよう、ごくシンプルに赤ワインで低温調理。仕上げの鍋でトマトペーストやフォンを足して味をととのえます。アレンジの一品は、ルウやスパイスを加えさらりと仕立てたカレー煮。

【材料】(4人分)
牛バラ肉*1…500g
塩*2…5g(牛肉の重量の1%)
にんにく(皮をむき半分に切って芽を取る)…2片分
ローリエ…2枚
赤ワイン*3…650ml
(a)トマトペースト…20g フォン・ド・ヴォー*4…120ml

*1:赤身と脂身がバランスよく入った煮込み用の部位であればなんでも(A)。
*2:煮込み料理では塩分を0.8%にすることが多いが、ここでは後半に水分を加えてのばすので、最初は1%と少し強めにふる。
*3:赤ワインの品種はお好みで。カベルネ・ソーヴィニョンは色に深みが出て甘みと旨みのバランスがよい。またチリの「サンタ・カロリーナ社」はおすすめのひとつ。
*4:市販のフォン・ド・ヴォーやデミグラスソースでOK。

1.下ごしらえ

1.小鍋に赤ワインのうち500mlを入れて強火にかけ、沸騰したら中火にしてアルコール分を飛ばしながら200mlまで煮詰める。粗熱をとっておく。

2.牛バラ肉をひと口大に切り、塩をふる(B)。食品用耐熱袋に入れ、にんにくとローリエ、【1】を加えて脱気し、封をする(C、D)。
長時間煮ると肉が縮むので、ひと回り大きめのひと口大に。脂身は取らずに、ひとつひとつにバランスよく入るように切り分ける。水圧法の場合は、工程2で脱気、封をする。

2.低温調理

低温調理の水槽を85度に予熱する。水温が目標温度に達したら、牛肉の入った袋を水槽に沈め、8時間調理する(E)。

3.仕上げ

1.袋を湯から取り出し、ザルで漉して具材と煮汁に分ける(F)。牛肉はバットに移して乾かないようラップをかけ、煮汁は浮いている脂をレードルですくい取る。
脂は完璧に取らなくてよい。少量を残しておくと、【2】で乳化しやすい。

2.【1】の煮汁を鍋にとり、(a)を加え混ぜながら強火で沸かす(G)。いったん火を止めておく。

3.残りの赤ワイン150mlを別鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら中火にして濃度と艶が出るまで煮詰める(H)。
ワイン中の水分をかなり飛ばして鍋底に膜が張ったような状態(料理用語で「ミロワール(鏡)」)まで煮詰める。これを入れると煮汁に爽やかな酸味と艶が加わり、美しい赤ワイン煮になる。

4.【3】に【2】の煮汁を加え(I)、塩(分量外)で味をととのえる。【1】の牛肉を戻して温め(J)、器に盛る。

付け合わせ

マッシュルームのソテー、ペコロスのブイヨン煮、さやいんげんの塩ゆで、縮みパセリ。

◆保存は袋のまま氷水で冷却後、冷蔵室で4〜5日、チルド室で6〜7日、冷凍で1か月。リヒート(85度15〜20分)して用いる。

Arrange 牛バラ肉のカレー煮

【材料】(4人分)
牛バラ肉の赤ワイン煮(500gを低温調理したもの)…全量
トマトピュレ…100g
水…500ml
カレールウ*1…90g
(a)*2カルダモン(ホール)…6個 クローブ(ホール)…6個 シナモン(スティック)…1本
太白ごま油…45ml
塩…ひとつまみ

*1:カレールウは市販の中辛タイプ。
*2:(a)のスパイスは赤唐辛子やこしょうのような辛み系ではなく、香り系から選ぶ。クミン、コリアンダーでも。

【作り方】

1.低温調理後の牛肉と煮汁を漉し、煮汁は、もう一度目の細かいザルで漉して鍋に入れる。トマトピュレと水を加えて強火にかけ、温める。

2.(a)のカルダモンとクローブを砕き、シナモンは手で折る。太白ごま油と共に鍋に入れて弱火にかけ、はぜてくるまで混ぜながら香りを出す。油が少し色づき、泡立って香りが上がればOK。火を止めて【1】の煮汁を加え、塩を入れる。火にかけてカレールウを加え、弱火で溶かしながら温めていく。
スパイスは乳鉢やすり鉢などでつぶす。カルダモンは殻も使う。油の中で火を入れすぎると苦みが出るので注意。塩を加えることでスパイスの香りが一層引き立つ。

3.【1】の牛肉を加えて温めたのち、器に盛る。

付け合わせ

白ごはん、なすのフリット。

海老のオリエンタル

海老の料理は食感が命。低温調理器は目指す食感に導く最適な温度を、ピンポイントで押さえてくれる頼もしい存在です。適温は60度以下か70度以上のどちらかで、ここでは57度30分に設定。殻付きで低温調理したのち、殻をむいてソースで和えると究極のプリプリ食感に。殻付きのまま仕上げてもおいしく食べられる、汎用性の高い温度帯です。

【材料】(2人分)
海老*(殻付き)…12尾(140g)
塩…8g(海老の重量の約6%)
ピュアオリーブ油…大さじ2
コリアンダー(ホール)…30粒
【フルーツソース】
パッションフルーツ…1個
E.V.オリーブ油…小さじ1

*バナメイ海老、ブラックタイガーなど手に入りやすい無頭海老で、殻付きを使う。加熱による身のパサつきを殻がガードする。

1.下ごしらえ

1.海老は殻の上から竹串で背わたを抜く。食品用耐熱袋に入れ、塩とオリーブ油大さじ1を加え(A)、脱気してから封をする。
殻付き海老は塩がつきにくいが、オリーブ油と一緒に入れることで全体に味が行き渡る。水圧法の場合は工程2で脱気、封をする。

2.ソースを作る。パッションフルーツの果肉をボウルに入れ、オリーブ油を混ぜて冷蔵室で冷やしておく(B)。

2.低温調理

低温調理の水槽を57度に予熱する。水温が目標温度に達したら、海老の入った袋を水槽に沈め、30分調理する(C)。

3.仕上げ

1.袋を湯から取り出し、海老の殻をむく。

2.フライパンにオリーブ油大さじ1とコリアンダーを入れ、弱火で火を入れる(D)。コリアンダーがはぜ始め、香りが出てきたら【1】の海老を入れる。火を強め、海老を温めながらコリアンダーの香りをまとわせる(E)。

3.冷やしておいたソースに【2】を入れて和え(F、G)、ソースと共に器に盛る。
冷たいソースに入れることで海老の温度上昇が止まり、過熱が防げる。また、ソースにとろみも出て海老との絡みがよい。

付け合わせ

マンゴー、アボカド、葉野菜(トレビス、ルッコラ、シャンツァイ)。

◆当日食べきる。

70〜75度で低温調理するなら、時間は15分に短縮。殻にしっかり火が入るので、殻ごと仕上げる料理がより食べやすくなります。殻は油との相性がよいので香ばしさもプラス。身がパサつくこともないので安心です。風味づけのコリアンダーは、粉末では焦げやすいのでホールがベスト。紹興酒などの酒、醤油、パプリカパウダーを加え炒めても美味。

撮影/西山 航

* * *

一流シェフの低温調理器レシピ
著/野崎洋光・脇屋友詞・日高良実・高良康之
世界文化社 2200円(税込)

 


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