暮らしを豊かに、私らしく

寒さが厳しくなると、手足がなかなか温まらないなど、冷えの症状「冷え性」を訴える方が増えていきます。冷え性とは、寒さを感じないくらいの気温でも、全身や手足、下半身など体の一部や全身が冷えてつらい症状のことを言います。ここで注目してもらいたいのは、「寒さを感じないくらいの気温でも」という部分。つまり、寒さが特に厳しい冬特有の症状ではないのです。夏場でもクーラーの中で手足が冷たいなどの症状に悩まされている方など、季節に関係なく年中冷え性に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

今回はクラシエ薬品株式会社が行った調査(※1)より、冷え性を抱えている人の割合や、冷え性のタイプ、そしてタイプ別の改善方法を群馬大学医学部付属病院 総合診療科 准教授の佐藤浩子先生にお伺いしました。

60%以上の女性が冷え性に悩んでいる

調査では、全体の半数が冷え症であると回答しており、中でも女性は全世代で60%以上の方が冷え症を実感していることがわかりました。

特に40代女性は75%と世代別で見ても高い結果となり、特に冷え症を実感しているようです。

一方で冷え症を実感している男性は全体で35%にとどまり、男性よりも女性のほうが冷え症を実感していることがわかります。男性の中では20代は55%と半数以上が冷え症を実感しており、世代別では男性のほうが顕著な結果となりました。

タイプ別では「特に手足が冷えるタイプ」が最多

冷え症を実感したことがある女性に、自分がどのタイプの冷え症に最も近いか尋ねたところ、「特に手足が冷えるタイプ」が約68%と最も多い結果となり、多くの女性が手足の冷えに悩まされていることがわかりました。

次いで「上半身はのぼせ、下半身は冷えるタイプ」、「特に足腰が冷えるタイプ」が続くことから、冷え症には様々なタイプの方がいることがわかります。

冷え症は内因と外因の2つに分けられる

ここからは、冷え症の原因や、タイプ別の改善方法について、佐藤浩子先生に解説していただきます。

冷え症の原因と症状について

冷え症は、血行不良により、末端の血管が収縮してしまい、毛細血管まで血液がめぐらないために生じます。自律神経や心臓、筋肉などの働きが関係していると考えられており、大きく内因と外因の2つに分けられるといわれています。

また、冷え症により、肌荒れ、腰痛・頭痛、皮膚疾患、下痢・便秘、膀胱炎、といった症状に陥る可能性があるため、冷えを感じたら放置せずに対処しましょう。

女性の体の作りが冷え症に関係

前述の調査では、男性より女性に冷え症が多い結果となりました。女性は筋肉量が少ないため、作り出される熱量が少ない上に、血液を手足から心臓に送り返す「筋ポンプ作用」が弱いため、末端まで血液が届きにくいと考えられています。また、女性は男性と比較すると体脂肪率が高く、脂肪は一度冷えると温まりにくい性質を持つため、冷え症を促進させてしまいます。

さらに月経の影響により、体内の血液量が少なくなることで全身に熱を運べなくなったり、身体が冷えると手足に血をめぐらすよりも腹部に温かい血液を満たす働きがあるため、腹部に血流が滞りやすくなったりすることも理由とされています。

タイプ別 冷え症の対処法

特に手足が冷えるタイプ

ダイエットをしている方や、食が細く痩せている女性に多いタイプです。ストレッチで全身の筋肉をほぐすことや、お風呂は肩まで全身浴することを意識しましょう。また、たまねぎやりんごなどの体を温める食材を積極的に摂取し、日頃から軽い運動を取り入れましょう。

上半身はのぼせ、下半身は冷えるタイプ

通称「冷えのぼせ」と言われる症状で、頭部や上半身は熱いのに下半身が冷えるのが特徴です。上半身と下半身がアンバランスになっており、中医学では「上熱下寒」とも呼ばれています。骨盤の歪みも要因の一つとなるため、デスクワークの多い方は注意が必要です。自律神経を整え、ストレスの解消やリラックスできる時間を積極的につくるようにしましょう。また、全身をむやみに温めてしまうとのぼせの原因となるので下半身を重点的に温めましょう。

特に足腰が冷えるタイプ

このタイプは下半身の冷えだけでなく、むくみも現れやすいのが特徴です。体が冷えると水分代謝が悪くなり、体内に水分をため込んでしまいます。さらに、血管外の余分な水分は血管を圧迫し、血行を悪くしてしまうため、より冷えやすくなり、むくみと冷えの悪循環に陥ってしまいます。下半身を中心にマッサージをするなど、重点的に温めましょう。

漢方薬で冷え性を整える方法も

漢方では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると考えられています。「気」は目には見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの、「血」は全身の組織や器官に栄養を与えるもの、「水」は飲食物中の水分からできた、体をうるおすもののことです。この3つは、お互いに影響しあっています。大切なのは、この3つがバランス良くめぐっていることです。

冷え症の原因は「気」の不足が主ですが、「気」のめぐりが悪い場合、循環不良のため重い冷えには繋がりません。しかし、「血」は「気」の働きを支え、「水」は冷気の影響を受けやすいことから、冷え症の改善には「気」だけでなく「血」「水」の調和を図ることが重要となります。前述の通り、人ぞれぞれ体質により冷え症のタイプも異なるので、自分にあった漢方薬を使用することが大切です。

冷え性におすすめの漢方薬

<特に手足が冷えるタイプにおすすめの漢方薬>
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」は、冷気の影響を人一倍受けやすい、「血(けつ)」が不足しがちな方の冷え症に効果的です。体を温め熱をつくるのを手助けし、手足など末梢を温めるとともに、体の内部にも働き、冷えによる諸症状を改善する効果があります。冷えだけでなく、頭痛、腰痛、下痢や月経痛にも効果があります。

<上半身はのぼせ、下半身は冷えるタイプにおすすめの漢方薬>
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
「桂枝茯苓丸」は、下半身の冷えがとくにつらい方、シミができやすい方など一般的に女性の悩みと言われる症状がある方(生理痛、月経不順、月経異常など)におすすめの漢方薬です。滞った「血(けつ)」のめぐりを良くすることで、のぼせや足冷えなどを感じる方の生理痛、月経不順、月経異常、血の道症などを改善します。

<特に足腰が冷えるタイプにおすすめの漢方薬>
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
「当帰芍薬散」は、足腰が冷える方、生理不順がある方など一般的に女性の悩み(月経異常や冷え症など)がある方におすすめの漢方薬です。全身に大切な栄養素を与え、血行を良くするのと同時に、水分代謝を整えることで余分な水分を体からとり除いて、足腰の冷え症や生理不順を改善します。

※1:調査概要
○調査対象:全国の20代~70代の男女200名(有効回答数)
○調査期間:2022年10月6日 ~ 2022年10月11日
○調査方法:インターネットアンケート/クラシエ調べ(株式会社ドゥ・ハウスmyアンケートlight利用)

文/ふじのあやこ

 

関連記事

花人日和 Online Store

花人日和
花人日和の通販

暮らしが華やぐアイテム満載

ランキング

人気のキーワード

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

公式SNSで最新情報を配信中!

  • Instagram
  • LINE
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店