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新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごすことが増え、運動不足になったり、体重が増えたりと、健康面に不安を抱えている方が少なくないのではないでしょうか。

そこで、手軽に食生活に取り入れられて、物価が高騰するなかでもお財布に優しく、さまざまな効果が期待できる食事法をご紹介します。その食事法とは、めかぶを毎日の食事の最初に1パック食べるだけ。めかぶを食べることで期待できる効果や食べ方を和洋女子大学の多賀昌樹先生に教えていただきました。

監修/多賀昌樹(医学博士・管理栄養士)

「ベジファースト」よりもすごい! 「めかぶファースト」の血糖値上昇抑制効果

食事の最初に野菜を摂る「ベジファースト」についてはご存知の方も多いことでしょう。野菜を最初に食べることで血糖値の上昇を抑えられるという食事法です。

めかぶを食事の前に食べるという「めかぶファースト」という食事法は、食後の血糖値の上昇が「ベジファースト」を実践した時よりも抑えられることが研究により明らかになりました。

血糖値が高いとなぜよくないの?


血糖値は一定の時間が過ぎると元の正常範囲値にまで下がります。ですが、食事を摂った後の血糖値が高くなりすぎ、元の正常範囲値に戻るのに時間がかかること、つまり血糖値が高い時間が長いことは健康には良くない状態です。日本では、40歳以上の5人に1人が食後高血糖状態にあると言われています。血糖値の上昇を抑えることが健康を保つために大切です。

「めかぶファースト」で肥満予防・糖尿病予防・減塩

めかぶには、血糖値の上昇を抑えることの他にも、以下のような健康効果が期待できます。

肥満予防

めかぶに含まれる「フコキサンチン」という成分は体重や体脂肪を減少させる効果が確認されています。海藻を食事の直前に食べるだけで脂肪の吸収量が減り、食後の中性脂肪の急激な上昇を抑えることができるという研究結果も。さらに海藻は低糖質・低脂質・低エネルギーな食材のため太りにくい食材です。めかぶファーストはメタボ予防やダイエットに非常に効果的といえるでしょう。

糖尿病予防

糖質過剰の食事を続けると食後高血糖を招き、肥満になるだけでなくすい臓が疲弊していき、糖尿病のリスクが高まります。そのほか、心血管疾患死亡のリスクやアルツハイマー型認知症のリスクも食後高血糖によって引き上げられ
るという研究結果が報告されています。つまり、食後高血糖を抑制することが健康の鍵なのです。

減塩

日本人の食事摂取基準では、食塩の摂取目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満とされていますが、平均して10g以上の食塩を摂っている人がほとんど。めかぶには食塩の排出を促す効果があるため、めかぶを食前に食べるだけで約1g減塩することができるのです。ちなみに、塩分過多でない人がめかぶを摂取しても必要以上にが塩分が排出されることはありません。

免疫力アップ

めかぶに含まれる「フコイダン」という成分は、ウイルスに対する抗体の産生を促すほか、ナチュラルキラー細胞の働きを高める効果があります。実際に、インフルエンザウイルスに対する抗体の産生能がアップしたという研究結果も出ています。免疫力アップが叫ばれるこのご時世に非常に心強い味方となってくれる食品です。

便秘の改善

めかぶに含まれる水溶性食物繊維が腸内の善玉菌の栄養源となるので、腸内環境を整えることができます。水溶性食物繊維はキノコや大麦などにも含まれますが、海藻に含まれるものは体内でゲル状になるため、最も細菌の栄養源となりやすいと言われています。また、水溶性食物繊維には便を柔らかくし、スムーズな排便を促す効果もあります。

めかぶの効果的な食べ方とは

めかぶや他のおかずを先に食べ、食事の後半で糖質を摂りましょう

「めかぶに含まれるとろみ成分、主にアルギン酸が糖質を包むことで、糖質の分解が緩やかになります。そのため、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を抑えることができます。

食事全体の栄養バランスも考慮しなければならないので、どのくらいの量を摂取すればよいと断言はできませんが、栄養バランスがとれるのであれば、毎日食べてもいいと思います。

1日の中では、特に朝食べるといいのではないかと思っています。まだ研究中なのですが、「セカンドミール効果」とう概念がありまして、最初に摂った食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)後の血糖値にも影響を及ぼすというものです。そのため、1日の始めの食事である朝食で糖質の吸収を抑えるものを食べておくといいのではと考えています。

血糖値を上げにくくするためには、めかぶなどの糖質を含まないおかずを先に食べ、後半にごはんなどの糖質を摂ることで血糖値の上昇を緩やかにすることができます。より効果を上げるためには、とろみ成分のある食材、例えば納豆や、たんぱく質である卵をめかぶと一緒に摂るとよいと思います。

市販のめかぶは刻まれてとろみ成分が出ている状態なので、簡単に食事に取り入れられて、効果を期待することができますが、タレに糖質が含まれているものもありますので、できればタレにも気を配り、糖質が少ないもを選んだほうが効果的です。

多賀昌樹(たが・まさき)
和洋女子大学准教授。管理栄養士、博士(医学)。徳島大学医学部栄養学科を卒業。米国テキサス大学医学部外科栄養免疫部門研究員、北里大学保健衛生専門学院管理栄養科学科長を経て現職。研究分野は機能性食品の臨床栄養管理への応用とそのメカニズムの解明。日本機能性食品医用学会評議員、日本食育学会代議員、内閣府消費者委員会新開発食品調査部会委員を務める。

取材/一瀬立子

 

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