暮らしを豊かに、私らしく

文・写真/小島瑞生(海外書き人クラブ/スイス在住ライター)

寒くて暗く鬱々としてしまうヨーロッパの冬。そんな長い冬が本格的に始まる頃、人々が楽しみにしているものといえばクリスマスマーケットです。

クリスマスマーケットはドイツのものがつとに有名ですが、スイスでも11月下旬~12月のクリスマス直前頃まで、規模や期間に違いはあれど、多くの市町村でクリスマスマーケットがオープンします。

可愛らしい雑貨が並ぶ屋台。

「美味しい」と「楽しい」がいっぱい、クリスマスマーケット

毎年スイス国内外から多くの人々がスイスのクリスマスマーケットを訪れますが、スイス東部チューリッヒ、北部バーゼル、首都ベルン、西部モントルーでは比較的規模が大きいことから特に人気です。

ソーセージやワッフル、クレープなど美味しそうなにおい漂う屋台が多く並ぶ中、可愛らしい雑貨をプレゼントとして買ったり、ドイツ語で「グリューヴァイン」、フランス語で「ヴァン・ショー」と呼ばれるスパイス入りホットワインのカップを手に、家族や友人、同僚たちとひとときを過ごしたりします。

炭火で焼くソーセージはジューシーで美味。

チューリッヒの“欧州最大級”屋内クリスマスマーケット

金融都市チューリッヒのクリスマスマーケットで有名なのは、チューリッヒ中央駅構内の「クリストキンドリマルクト/Christkindlimarkt(https://www.christkindlimarkt.ch/)」でしょうか。屋内のクリスマスマーケットとしては欧州でも最大規模で、今年で30周年を迎えるのだそう。

駅構内にあるので、天気に左右されず屋台を見て回ったり美味しいものを食べたりできるとあり、毎年多くの人々でにぎわいます。

かつてはスワロフスキークリスタルで飾られた巨大クリスマスツリーが目玉でしたが、昨年からは“自転車発電”で輝くライトになり、ツリーの前の自転車を漕いでライトアップさせるユニークなものに。クリスマスマーケットも今やエコなものに変化しているようです。

その他にも多くのクリスマスマーケットがチューリッヒの町に点在しており、ゼクセロイテン広場で開かれるクリスマスマーケットや、チューリッヒ旧市街のクリスマスマーケットもおススメです。

ゼクセロイテン広場クリスマスマーケット「ヴィーナハツドルフ/Wienachtsdorf(https://www.zuerich.com/en/visit/shopping/zurichs-wienachtsdorf)」

旧市街クリスマスマーケット「ドゥルフリ・クリスマスマーケット/Weihnachtsmarkt Dörfli(https://www.zuerich.com/en/visit/shopping/christmas-market-doerfli)」

チューリッヒ中央駅構内のクリスマスマーケット。

スイスで一番古く、ドイツとフランス国境にある「バーゼル・クリスマスマーケット」

そして スイスで一番古く、1978年から開催されているのがバーゼルのクリスマスマーケット。

スイス北部に位置し、フランスとドイツの国境にある町バーゼルのマーケットはスイスの中でも大規模なクリスマス市の一つです。ぶらぶら歩いていると、フランスからも多くの人が訪れるのか、ドイツ語や英語の他にフランス語もよく耳にします。

バーゼルのクリスマスマーケットは主に2か所あり、一つはバーゼル大聖堂近くのバーフュッサー広場(Barfüsserplatz)、もう一つがミュンスター広場(Münsterplatz)にあるものが有名です。

「バーゼルクリスマスマーケット/Der Basler Weihnachtsmarkt(https://www.basel.com/en/events/christmas/christmas-market)」

バーゼルのクリスマスマーケット(バーフュッサー広場)。

「ユネスコ世界遺産」の街ベルンでは、年末年始まで営業するところも

次は首都ベルン。ベルンは旧市街がユネスコの世界文化遺産に指定されているだけあり、古い町並みがクリスマスツリーやデコレーションと良く似合って幻想的です。

ベルンでよく知られているのは3つのクリスマスマーケット。他のクリスマスマーケットでは、クリスマス直前に終了してしまう場所も多い中、ベルンのクリスマスマーケットは年末年始もオープンしている所もあるのが嬉しいです。

まず、ブンデスハウス(連邦議事堂)近くのヴァイセンハウス広場(Waisenhausplatz)のクリスマスマーケットには、プレゼント探しに良さそうな工芸品の屋台が多くあり、小腹がすけばチーズフォンデュや温かい飲み物などが楽しめるシャレー(スイス風小屋)もあります。

ベルンのクリスマスマーケット(ヴァイセンハウス広場)。

さらにベルンで一番古く、今年で40周年を迎える「ベルン大聖堂クリスマスマーケット」、そして新しく2018年から始まったクライネ・シャンツェ(Kleine Schanze)公園内の「ベルン・シュテルネンマルクト」も大勢の人でにぎわいます。ここでは食べ物の屋台が多く出ており、あちらこちらから美味しそうなにおいがします。ただし、支払方法はキャッシュレスのみとなっているので(現金不可)ご注意!

「ベルンのクリスマスマーケット&その他のおススメ/Bern’s Christmas Markets and more highlights (https://www.bern.com/en/christmas/highlights)」

願い事も叶う!? スイス・フランス語圏の「モントルー・ノエル」

モントルーのクリスマスマーケットにある「ヴァン・ショー」の屋台。

今までドイツ語圏のクリスマスマーケットをご紹介してきましたが、スイスのフランス語圏でおなじみのクリスマスマーケットといえば、ヴォー州モントルーの「モントルー・ノエル/Montreux Noël(https://www.montreuxnoel.com/en-1-homepage.html)」。モントルーはレマン湖のほとりにあり、観光客に人気の町でもあります。

ドイツ語圏のクリスマスマーケットとは若干趣が異なり、フォアグラやトリュフ、ワッフル、フランス・アルザス地方のクッキーといった屋台も出ています。また、フランスやカナダなど外国からの屋台やログハウスも出るので国際的。

ここには「願い事の館 (Maison des Voeux/メゾン・デ・ヴ)」なるコーナーがあり、小さな紙に願い事を書いて、備え付けのツリーに七夕か絵馬のように吊るすことができるようになっています。

ひょっとしたら願い事が本当に叶う、かも?

様々な言語で書かれた「願い事」が吊るされていました。

クリスマスマーケットで、人々の心と体がぽかぽかに

クリスマスマーケットは、上記の都市にある大規模なもののみならず、小さな町や村など各地でも12月の週末に数日間ほど開催されます。こういった素朴で小さなクリスマス市を訪れるのも楽しいです。

キラキラしたデコレーションの中、せわしい師走の日々を一瞬忘れられ、心和む時間を味わえるのがクリスマスマーケットの醍醐味の一つかな、と思います。

義理の家族へのプレゼントに、キャンドルホルダーを購入しました。

文・写真/小島瑞生(スイス在住ライター)
1998年~2009年までアイルランドで暮らした後、2009年からスイス在住。スイスなど欧州の国々のさまざまな興味深い情報を雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにて発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ(https://www.kaigaikakibito.com/)」会員。

 

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