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映画『ムーラン・ルージュ』(2001)は、バズ・ラーマン監督が創意をつくしたミュージカル映画の傑作です。19世紀のパリで、ナイトクラブのショースターで高級娼婦でもあるサティーンと、アメリカから来た作曲家の卵、クリスチャンとの間に燃え上がった禁断の恋。このラブ・ストーリーは、クラシックやミュージカルの名曲、マドンナやエルトン・ジョンなど英米の大ヒット・ポップスで彩られており、独創的かつファンタジックな映像美で熱狂的な人気を博しました。この映画が、18年のときを経てついにミュージカル化。2019年にブロードウェイで上演され、トニー賞作品賞ほか10部門に輝いた前代未聞のマッシュ・アップ・ミュージカルこそ『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』です。ケタ外れのスケールをもったこの作品の日本版が、この夏、帝国劇場で上演されています。

プレビュー初日を観劇するために来日した映画版のバズ・ラーマン監督を囲んで。
左より、K、松村雄基、甲斐翔真、平原綾香、バズ・ラーマン、望海風斗、井上芳雄、橋本さとし、伊礼彼方(撮影/若林ゆり)

井上芳雄さんとダブルキャストで主役を演じる甲斐翔真さんに注目!

厳しいオーディションによって選出されたキャストは、いずれもスター性と実力を備えた逸材ばかり。なかでも注目すべきは、クリスチャン役を大先輩の井上芳雄さんとダブルキャストで演じる、25歳の甲斐翔真さん。

クリスチャン役を演じる、25歳の甲斐翔真さん

「この先これ以上の作品に出会えることなんてないんじゃないかと思えるくらい、すごい力を持った作品です」と、甲斐さんは目を輝かせます。

自分の人生を変えたいという思いを抱えてパリにやってきたクリスチャンは、豪華絢爛なムーラン・ルージュの世界へ足を踏み入れ、初めての恋を経験。ラブソングを次々に生み出し、大人の男性へと変化していきます。そんなクリスチャンに、甲斐さんは共感するところが大いにあるそう。

「憧れていたミュージカルの世界に飛び込んで、自分がいま、帝国劇場に立って歌っているなんて、信じられないくらい。『人生にそんなことが起きるんだな』と思うし、人生が変化していることを感じています。クリスチャンも、故郷から離れていろいろな経験をして、変わっていく。愛を知って、人として何倍にも大きくなった姿というのを、この帝国劇場で表現できればと思っています」

平原綾香さんも感動! 登場人物の感情やストーリーにはまる名曲の数々も魅力

映画版の音楽も既存の曲がコラージュのようにちりばめられ、登場人物の感情やストーリーにピタリとハマっていましたが、今回の舞台版では映画公開後に発表された曲も使われるなど、マッシュ・アップ・ミュージカルとしてさらにパワーアップ。甲斐さんにとって、とくに「ここの展開はハマる!」と思える曲は、2幕で歌う『エル・タンゴ・ド・ロクサーヌ』だとか。

「映画版にもある曲ですが、またアレンジも演出も変わっていて。映画ファンの方が見たら『うわっ!』って鳥肌ものだと思います。赤を基調としたシーンで、音と光と踊りと歌と、それこそ全部が絶妙に組み合わさっている。歌っていても気持ちいいんです! 物語のなかでのクリスチャンとしては、デュークへの嫉妬にかられてアブサンで朦朧としていて、全然気持ちよくないんですけどね(笑)」

左より、松村雄基、甲斐翔真、平原綾香(撮影/若林ゆり)

もちろんラブソングの『Come What May』や『Your Song』も、とびきり美しくてウットリ。サティーン役のひとりである平原綾香さんは、初めて甲斐さんが『Your Song』を歌うのを聞いたとき「思わず涙を流してしまった」とインスタグラムで明かしているほど。

「それは絶対、ユーミン(松任谷由実)さんの力も大きいと思います。ユーミンさんの訳詞がとても素晴らしくて、日本語ならではの広がっていく感じが、この曲の想いにぴったりなんですよ。ほかの曲も、17人のアーティストの方々が訳している歌詞すべてがそうなんですけど、曲と歌詞の力がストーリーを動かしているな、とすごく感じるんです」

演者も作品の魅力にどんどんハマる! いろんな要素があって、本当に痺れる傑作ミュージカル

帝国劇場に一歩足を踏み入れたら、きっとこの作品の世界観に圧倒され、そのスケールの大きさ、クオリティの高さにビックリするはず。

「僕が圧倒され憧れていた、海外のミュージカルと同じような感動を味わってもらえると思います。『こういうところに立ちたい』と思ってくれる人も増えるんじゃないかな。僕自身、演じれば演じるほど、作品の魅力にどんどんハマっていくんです。1幕は豪華で圧倒されるようなシーンが多いのですが、2幕になると登場人物たちの感情が、ドラマティックにどんどんあふれ出してくる。いろんな要素があって、本当に痺れます。作品も進化していくと思うんですけど、僕自身もそうなれたらいいですね。クリスチャンのように、この物語が終わった後もまだまだ進んでいくという眼差しでいたいと思います。ひとりでも多くのお客様にこの作品を楽しんでいただいて、旋風を起こしたい。ひとりひとりのお客様が『こんなにすごいものを観たんだよ』と周りの方に伝えてくださったらうれしいですね」と、甲斐翔真さん。熱演をお楽しみください。

<作品DATA

『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』

キャスト:(Wキャスト/50音順)
サティーン:平原綾香/望海風斗
クリスチャン:井上芳雄/甲斐翔真
ハロルド・ジドラー:橋本さとし/松村雄基
トゥールーズ=ロートレック:上野哲也/上川一哉
デューク(モンロス公爵):伊礼彼方/K
サンティアゴ:中井智彦/中河内雅貴
ニニ:加賀楓/藤森蓮華
ほか

本公演:2023年6月29日(木)~8月31日(木)
会場:帝国劇場
公式ホームページ:https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/index.html

取材・文/若林ゆり 

 

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