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「聴きポジ」に徹すれば、話し下手でも会話の主導権が握れる、と堀井さん

話すのが苦手……、会話が盛り上がらない……、そんな悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
また、会話の主導権を握れるのは話し上手の人だけ、とも思っていませんか? 

ところが、人気フリーアナウンサーの堀井美香さんは「聴きポジ」を手に入れれば 、スムーズな会話に困ることはないと言います。「聴きポジ」とは、「聴き手のポジション」のこと。

30年近くに及ぶアナウンサー人生を歩む中で、この「聴きポジ」の存在が場をスムーズにして、相手が気持ちよく話せる要になることに気づいたそう。

今回は、堀井さんの著書『聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術』(徳間書店)から、「聴きポジ」を活用して、会話はもちろん人間関係を円滑にするコツをご紹介します。より具体的なテクニックは、日常的に役立つこと間違いなしです。

文/堀井美香

好かれてない相手には、いつも以上に「聴きポジ」に徹することでラクになれる

コミュニケーションを取る相手と自分の気持ちをざっくり分けると、次の4つに表せます。

1・相手は自分が好き
2・相手は自分が苦手
3・自分は相手が苦手
4・自分は相手を好き

まず、1の場合はありがたくその時間を楽しみましょう。ただし、調子に乗って過度に慣れ慣れしくしたり変なツッコミを入れたりと、失礼をはたらかないように。

また、2や3のように自分が苦手だと感じたり、相手に好かれていないと感じるときは、無理に距離を縮めようとする必要はありません。離れるのが鉄則です。しかし、仕事でチームを組んでいる場合、ご近所付き合いなどの場合だとそうもいきません。そんなときは、どうすればいいのでしょうか。

フリージャーナリストの稲垣えみ子さんと対談させてもらったときに教えていただいたことがあります。稲垣さんは当たりの強い人、不躾(しつけ)な人にほど、ていねいに接するとおっしゃられていました。メールでも、リアルのコミュニケーションでも、相手に合わせて無礼になったりしない。

まったくもって、私も同じです。自分がないがしろにされても、相手のことが苦手でも、ほかの人と同じように、いえ、それ以上に徹底して「聴きポジ」に回ります。相手の話したいことを探り、相手が気持ちよく話してくださるよう、相づちもボディランゲージもしっかり入れます。

なぜならそこで、ネガティブな感情や反応を重ねても、相手も自分も不快になるだけだからです。「深くなくていいけれど、不快ではいけない」ですね。

また、人は自分の話をしたい生き物です。徹底して「聴きポジ」に回ることで「この人といたら気分がいいな」と感じてもらえると、「苦手」「嫌い」が「ふつう」「好き」に転換する可能性だってあるのです。

やや余談ですが、私は小学生のころ、当時の学校推薦図書に書いてあった「嫌いな人ほど好きになれ」というメッセージから、嫌いな人ほど面と向かって褒めたり、感謝を伝えるべきだと学びました。そしてそれを、40年ほど実践し続けています。そんな自己鍛錬が「聴く」に役立っているのだから不思議ですね。

そして、4のケース。自分が好きな方、とくに強い尊敬を抱いている方と会えるときには、より慎重に「聴きポジ」に回りましょう。私もインタビューや仕事などで、ずっと会いたかった方、ファンに近い感情を抱いている方のお話をうかがうことがときどきありましたが、気を引き締めて臨んだものです。

尊敬する方に相対するときは、まず「お会いできてうれしい」「感動している」という気持ちを、素直に言葉や表情で相手に伝えます。

場をわきまえる必要はありますし、常識としてのあいさつ、立ち居振る舞い、敬語に気をつけることは当然ですが、ポジティブな気持ちをぶつけられて嫌な人はいないもの。逆張りでクールに接する必要はありません。

ただし、しつこく自己アピールしたり、爪痕を残そうとしたり、大げさに褒めたり讃えたりすることは控えます。舞い上がりすぎないように要注意です。ちなみに、阿川佐和子さんはずっとファンだった女優さんにインタビューしたとき、その方が出演していたミュージカルの曲をいくつも歌ったことを失敗談としてお話しされていました(阿川佐和子のおもしろがる力。/ほぼ日)。

うれしい気持ちはぐっと抑え、「聴きポジ」として相手の話をじっくりと聴き、相づち(とくに「深める相づち」)ひとつひとつに心を込める。余裕があれば、準備してきたとっておきの質問を投げかけましょう。

訊きづらい質問をするときは断る余白を残す

デリケートな話には相手が切り出すまでなるべく踏み込まないのが鉄則ですが、どうしても聴きにくい話をうかがわなければならないときは、必ずエクスキューズを入れましょう。

「これはうかがっていいのかわからないのですが……」

「話すのがむずかしければ、スルーしてくださいね」

このように、相手に断る余白があることをまず伝えてください。こうしたエクスキューズを入れることで、ただ無遠慮な人間ではないことを示せます。「私も聞いていいのか迷っています。でも、一度チャレンジしていいですか?」という、意思表示になるのです。

有名無名問わず、波瀾万丈な人生を送っている方にひたすらインタビューするYouTubeチャンネル「街録ch」を運営している三谷三四郎さんも、相手が少しでも言い淀んだときは「無理なら話さなくていいです」というひと言を欠かさないとおっしゃっていました。

相手の期待に応えたいと思ってしまう人は少なくありません。そういう人にとって、「言いたくない」「言えない」と相手に伝えることもストレスなのです。たとえ話してくれなくても、なるべく相手が申し訳なく感じないような言い方を心がけましょう。

* * *

『聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術』(堀井美香 著)
徳間書店

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堀井美香(ほりい・みか)
フリーランスアナウンサー。1972年、秋田県生まれ。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。永六輔、みのもんた、久米宏、竹中直人(いずれも敬称略)など、個性的な先達のアシスタントを長年にわたって務めた。2022年3月に退社し、現在はフリーランスアナウンサーとして活動。ジェーン・スーとの大人気ポッドキャスト「OVER THE SUN」など、独立後の活躍も目覚ましい。著書に『「OVER THE SUN」公式互助会本』(左右社)『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)『一旦、退社』(大和書房)がある。

 

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