指の第一関節や第二関節がズキズキと痛んだり、ペットボトルのフタが開けられない、指輪が抜けなくなった、そんな症状に悩まされていませんか?
じつはそれ、35歳以上の女性に多いと言われる「へバーデン結節(第一関節)・ブシャール結節(第二関節)」かもしれません。ほうっておくと指が曲がったまま戻らなくなったり、ひどい場合は手術が必要になることも。
「ヘバーデン結節・ブシャール結節」の専門医・高橋嗣明先生は多くの患者を診てきた中で痛みを緩和し、関節の変形の進行を食い止める方法を見つけ出しました。「へバーデン結節・ブシャール結節は食事で予防・改善できます」と力強いお言葉。今回は高橋先生の著書『指先の変形と痛みを食い止める』(宝島社)から、有害重金属の適切な排泄方法や、良質な睡眠のとり方についてご紹介します。
3割の人が発症すると言われる「へバーデン結節・ブシャール結節」。現在症状に悩まされている人はもちろん、今後の予防にぜひ活用してみてください。
監修/高橋嗣明
骨の変形を予防・抑制する! 重金属をためない体になるには
おもな有害重金属とは?
肝臓の解毒作用を妨げ「たまる体」にしてしまう!
関節を変形させる原因のひとつと考えられているのが重金属です。
「アルミニウムや水銀、鉛などがあげられますが、とくに深刻なのが鉛。骨にたまってしまうため、骨粗鬆症が起きると骨の中に蓄積された鉛が外の細胞に漏れます。すると、ヘモグロビンなどのたんぱく質に悪影響を及ぼすのです」
またこうした重金属は、それそのものが有害なだけでなく、肝臓の解毒作用を妨げるそう。
「重金属から身を守るためには、なるべく体内に入れないことと、入ってしまったものを外に出すことが重要です。体内に入れない対策としては、歯の詰めものを見直すことが有効。排出するためには、便秘がちな人は腸内環境を整えて、悪いものを出せる体にすることが大切です」
また、それぞれの重金属の排出を促す栄養素があることがわかっています。意識して摂るようにし、毒素を「出せる体」を目指しましょう。
腎排泄も大切! 出せる体になる良水習慣
出せる体にするもう1つの方法があります。それは、質の良い水を毎日飲むことを習慣づけること。ジュースやコーヒーなどの嗜好品ではなく、”水”そのものです。1日に飲む量は、次が目安です。
自分の体重×30ミリリットル
たとえば、体重50kgの人であれば、1.5リットル。さらにそこへ水溶性珪素やにがりを数滴加えて飲むとよりデトックス効果があります。
塩素の基準のゆるい日本の水道水は、雑菌は減りますが、そのままでは危険です。安くてもいいので浄水器を付けることをお勧めします。
排出するためには……
まずは腸内環境を整えて、排出できる体にすることが一番。便秘の解消が重要です。さらに、有害物の排出をサポー
トする「毒出し作用」のあるキレーション食材を積極的に摂りましょう。デトックス野菜として知られているパクチーには、重金属を排出する作用があるといわれています。
※キレーションとは、重金属を体外に排出させること。
キレーション効果のある栄養素
※重金属の解毒にはメタロチオネイン(MT)という金属結合たんぱくが関わります。
1日の行動がその質を決める!? 良質な睡眠で症状を緩和・予防
深くて良質な眠りが抗酸化作用をアップさせる
睡眠には起きている間のさまざまなダメージから、心と体を回復させる働きがあります。
「感覚が休むことのできる唯一の時間が、深く眠っているときです。眠りが妨げられると集中力が低下し、免疫システムも低下します。寝不足が続くと風邪をひくなど体調を崩しやすくなるのは、このためです」
夜10時から深夜2時までが、睡眠のゴールデンタイム。
「この時間帯に深い睡眠をとると、メラトニンというホルモンがたくさん分泌されます。メラトニンには、強力な抗酸化作用があります」
メラトニンを分泌させるためには、その材料であるセロトニンが分泌されていることが大切。セロトニンはトリプトファンという必須アミノ酸によって産出されます。アミノ酸はたんぱく質に多く含まれているため、肉や魚、豆腐や納豆などをバランスよく摂るといいでしょう。
「メラトニンは、朝日を浴びてから約15時間後に分泌量を増やします。ですから規則正しく起床し、朝日を浴びることがとても大切。すると体内時計がリセットされて、夜の睡眠の質が高まります」
入浴時間や方法もポイント。人間の体は、体の中心部の体温が上がったあと、下がり始めたときに眠気を感じるようになっています。入浴で体を温め、下がってくる1〜2時間後に眠りにつくのがベストです。
睡眠の質を高めるポイント
睡眠中のホルモンリズム
「食後すぐに寝てしまうと、睡眠中も胃腸が忙しく働くことになります。脳も体も休むことができないため、深く眠ることができません。就寝3時間前には、夕食をすませましょう。腹六分目がおすすめです。また、寝る前にブルーライトの強い光を見るのは避けましょう」
***
指先の変形と痛みを食い止める ヘバーデン結節の症状を和らげる本 増補改訂版(高橋嗣明 著)
宝島社
高橋嗣明(たかはし・つぐはる)
1963年、東京都生まれ。北里大学医学部卒業。北里大学大学院医療系研究科修了。北里大学病院に入局し、形成外科、美容外科などを担当。2005年より長野県の北信総合病院にて医長を務め、2013年、長野県中野市にて「たかはしクリニック」を開院。専門である形成外科を中心に、整形外科、皮膚科、美容皮膚科、美容外科など幅広い見地からさまざまな診療・治療を行う。また、オーソモレキュラー療法と解毒治療にも精通しており、慢性の難治疾患の治療にもあたっている。著書に『学校に行けない子供 仕事に行けない大人』(ファインピクサー)、『新型コロナ ワクチン後遺症の早期改善が叶う 薬物を用いない治療方法』(創藝社)がある。