満月の光を求めて、世界中の聖地から海底、そしてヒマラヤまで巡ってきた石川賢治さん。太陽光の465,000分の1の満月の光で撮影された、息をのむほどの美しさが話題をさらった写真集『月光浴』を覚えている人も多いのではないでしょうか。
これまでアメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの4大陸に渡る大自然の満月の夜を撮影してきた石川さんですが、現在は福岡の糸島半島に拠点を移して日本の月夜の春夏秋冬を舞台に、これまでの作品と視点を変えた“地上の宇宙実感”を一枚の写真にするべく取り組んでいるそうです。
その最新作となる写真集『月夜の晩に』が発売されるのを記念して、5月17日から「石川賢治月光写真展 月光浴『月夜の晩に』」が開催されます。「満月の夜。地平線から天体、銀河、宇宙が一繋がりになって宇宙の中の地球本来のすがたを見せます」と語る石川さんの最新作を、ひと足早く体験してみてはいかがでしょう。
地上と天体、宇宙がひとつながりになる瞬間
1984年、サイパンで月光写真を撮り始めた石川賢治さん。現在は生まれ故郷に近い福岡県の糸島半島を拠点に活動されています。
そこは、夜になると星と月以外の光がなく、人間と草花や虫たち、地上のすべてのものが、宇宙とひとつながりに変貌するような場所。現代は「宇宙時代」と言われていますが、古来、日本人は宇宙に思いを馳せる文化を育んできました。古代の人たちにとって、月は地球から38万キロ離れた衛星ではなく、季節の変化や収穫の時期を教えてくれる親しみ深い存在だったのでしょう。
最新作『月夜の晩に』で、石川さんは「私たちは宇宙と一体で、生かされている存在」という日本人本来の感覚を表現するために、通常の写真集とは異なる右開きに、さらに四季折々に体感した言葉も縦書きの日本語で表現しています。
この写真集の発売を記念して、写真展が開催。最新作70点を中心に、これまでの代表作を合わせた約100点が一堂に会します。5月20日(土)、28日(日)にはギャラリートーク&サイン会も予定されています。
星空の下、天空を仰ぐ生き物たちや満開の桜などの植物が、月光の下でその命を輝かせる奇跡のような瞬間。北海道知床半島の流氷、青森県奥入瀬の清流、沖縄県竹富島の海に浮かぶ砂州など、日本全国の原風景も昼間とは違った顔を見せてくれることでしょう。
さらに照明を落とされた会場では、石川さんが撮影するそのすぐ横で録音された、虫の声、風の音、さざ波などが流される予定です。目からだけでなく耳からも、まさに“月光浴”を体験できます。
石川賢治月光写真展 月光浴『月夜の晩に』
会期: 2023年(令和5年)5月17日(水)~5月30日(火)会期中無休
会場:大丸ミュージアム<梅田>(大丸梅田店15階)
開場時間:10時から19時30分(20時閉場)、最終日は17時30分まで(18時閉場)
入場料:一般1,000円(前売り券800円)※前売り券は、ローソンチケット(Lコード59600)にて発売。
主催: 石川賢治月光写真展 月光浴 『月夜の晩に』実行委員会
協力: 小学館、キヤノンマーケティングジャパン、富士フイルムイメージングシステムズ
大丸松坂屋展覧会HP https://dmdepart.jp/museum/umeda/gekkouyoku/
ギャラリートークは、5月20日(土)、5月28日(日)の14時~。※ギャラリートークのご参加には、本展の入場券が必要です。
サイン会は同日の15時~。※当日グッズコーナーにて写真集・DVDをお買い上げいただいた方、各日先着40名にサイン会の参加券を配布。※グッズコーナーについては、入場券なしでご利用いただけます。
石川賢治
1945年福岡市大濠生まれ。’67年日本大学芸術学部写真学科卒業。ライトパブリシティ入社。’76年よりフリーランス・フォトグラファーとして活動を始め、CF・スチールを数多く手掛ける。’84年秋より月光写真に取り組み、初の写真集『月光浴』(’90年小学館)が一大センセーショナルを巻き起こす。その後の写真集に『神の降りた夜/新月光浴』(’93年集英社)、『大月光浴』(’96年小学館)、『満月の花』(’98年小学館)、『月光の屋久島』(2000年新潮社)、『地球月光浴』(’01年新潮社)、『京都月光浴』(’03年新潮社)、『天地水月光浴』(’06年新潮社)。『宙の月光浴 』(’12年小学館)、『月光浴 青い星』(’17年小学館)。DVD『月光浴 Moonlight Shower』(‘06年カルチュア・パブリッシャーズ)。展覧会も全国で多数開催。
2016年福岡県の糸島半島に移住。新たな月光写真の創作に挑む。
公式HP https://gekkouyoku.com
日本の春夏秋冬を舞台に、宇宙と繋がる神秘の世界を最高品質の印刷で表現した石川賢治の最新作。写真集としては例を見ない右開き、春夏秋冬の折々に添えられた石川賢治氏の言葉と、『月夜の晩に』に寄せる想いも縦書きにして、日本の書物の美しい佇まいを感じさせる本に仕上がりました。日本人の心象を深く愛し、百人一首など日本の古典文学を海外に広く伝えているピーター・J・マクミラン氏が英訳を担当しています。