文・石川真禧照(自動車生活探険家)

普段、私達が目にし、乗っている乗用車だが、生産されている国によってその性格は違ってくることを知っているだろうか。
例えば欧州車だが、国別に分けるとドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、イギリスの自動車メーカーがあり、それぞれに特徴がある。
ドイツ車は発達したアウトバーンのおかげで、操縦性と安全性を重視したクルマ造り、乗り心地より速さだ。フランス車は、クルマを生活の道具としているので実用性と経済性重視。小排気量で大きな(広い)車体のクルマが多い、イタリア車は実用性とカッコよさのどちらを重視するかといえばカッコ第一という具合だ。



今回、取り上げたキャデラックはアメリカ車だ。アメリカ車の特徴はどこにあるのか。アメリカ大陸という広大な所で走らせる車は、大きくて、快適な車が一番。とくに車が実用化されはじめた20世紀初期には、この傾向が強かった。国民の多くは車の運転が好きではないと言われ、公共交通の発達が遅かったアメリカでは、老若男女誰もがラクに乗れる車が求められた。
変速機を自動車が行うオートマチックミッションやハンドルをきるのに力を必要としないパワーステアリングはアメリカ車から実用化された。カークーラーやカーラジオといった快適な車内をつくるための装備もアメリカ車からはじまった。こうした機能、快適装備のいくつかは高級車キャデラックから実用化されたものなのだ。





新型ラグジュアリースポーツセダンの「CT5」はキャデラックが26年4月に発売を開始した車。21年4月から日本に投入されていたが、今回、外観、内装から走行関係に至るまで、手を加え最新モデルになった。
車体の大きさは全長約5m、全幅約2m、全高は約1.5mという車体後部にトランクスペースがある3ボックスセダン。幅が10cmほど広いクラウン・クロスオーバー、高さはカローラセダンとほぼ同じという大きさなので、日本でももて余すほど大きくはないセダンだ。日本車と大きく異なるのはハンドルの位置。最近のキャデラックは右ハンドル仕様が多かったのだが、今度の「CT5」は左ハンドル仕様が用意されている。


左側通行の日本の道で左ハンドルは、有料道路や駐車場の料金所などで不便を感じることもあるが、実際に街中を走っているときは、歩行者や自転車が路肩にいることが多いので、運転席から近く、距離感がつかみやすいという利点があることに気付いた。とくに最近は自転車が車道を走るようになってきたので、距離感がつかみやすく、安全運転にもつながることが体験できた。


安全運転機能に関してつけ加えると、キャデラックは以前から、車両に危険が迫る方向を検知すると運転席の座面左右に内蔵されたバイブレーターが振動して危険な方向を運転手に感覚的に知らせる機能が装備されている。このほか高速道路走行時に車線中央を維持して走る機能や死角に車両がいるときに車線変更禁止の警告やハンドル修正も支援してくれる機能も備わっている。
快適装備に関しては15個のスピーカーを装備したカリフォルニアのAKG社が初めて自動車用に制作したオーディオは臨場感あふれる音を楽しませてくれる。かつてキャデラックのオーディオは、音響メーカーのBOSE(ボーズ)が特別仕立てのオーディオを提供していたが、それにも勝るオーディオ装置といえる。

もちろん、車である以上、走ることに関しての機能もアメリカ最高級車ブランドの名に恥じない。エンジンは2L、ガソリンターボに10速ATを組み合わせ、さらに4WDシステムがサポート。4つのドライブモードがスポーツ走行から雪路までをカバーしてくれる。



キャデラックは近年、ラグジュアリーさだけでなく、スポーツ性を証明するためにル・マン24時間レースを頂点とする世界耐久選手権レースに出場するなど、積極的に走りの性能も高めている。

アメリカンラグジュアリー+スポーツが加わった4ドアセダンがキャデラックCT5スポーツだ。
キャデラック/CT5 スポーツ
| 全長×全幅×全高 | 4935×1895×1445mm |
| ホイールベース | 2935mm |
| 車両重量 | 1760kg |
| エンジン | 直列4気筒ガソリンターボ 1997cc |
| 最高出力 | 240ps/5000rpm |
| 最大トルク | 350Nm/1500~4000rpm |
| 駆動形式 | 四輪駆動 |
| 燃料消費率 | 未発表 |
| 使用燃料/容量 | 無鉛プレミアムガソリン/66 L |
| ミッション形式 | 10速自動 |
| サスペンション形式 | 前:マクファーソン 後:マルチリンク |
| ブレーキ形式 | 前:ディスク 後:ディスク |
| 乗員定員 | 5名 |
| 車両価格(税別) | 970万円 |
| 問い合わせ先 | 0120-711-276 カスタマーセンター |

文/石川真禧照(自動車生活探険家)
20代で自動車評論の世界に入り、年間200台以上の自動車に試乗すること半世紀。日常生活と自動車との関わりを考えた評価、評論を得意とする。
撮影/萩原文博





