創作折り紙作家、吉澤章の作品はしばしば「まるで生きているかのよう」と評されます。
1955年のオランダ・アムステルダム市立美術館での個展をはじめ、世界に向けてORIGAMIという画期的な造形美術を紹介した吉澤章は、日本文化普及の功績者です。
佐野美術館の「命宿るORIGAMI―吉澤章 創作折り紙の世界」展は、日本が誇る文化、折り紙の極致を見ることのできる展覧会です。(9月2日~10月22日)
本展の見どころを、佐野美術館学芸グループの山本貴子さんにうかがいました。
「吉澤章(1911-2005)は生涯をかけて折り紙による表現の可能性を追求した創作折り紙作家です。その作品は紙の造形芸術として国内外で高い評価を受け、「ORIGAMI」を世界へ広めました。
本展では、身近な動物や草花をはじめ、恐竜、人々の姿や感情、物語、仮面、抽象表現など、多岐に渡るテーマを手がけた吉澤章の創作折り紙の世界を、約700点の作品によりご紹介します。
吉澤章は作品のテーマとした対象物をとことん観察・研究し、特徴を深く理解したうえで、折り方を模索し作品に仕上げました。虫や動物などの動きや表情を折り線のみで表現した作品には、体の構造が驚くほど的確にとらえられています。
そして、吉澤章の手から生み出される作品には、まるで命が宿っているかのようなあたたかさがあり、そこには高い精神性をも内包しています。「神宿る手」を持つと称えられた吉澤章による創作折り紙の世界をぜひご覧ください」
具象のみでなく抽象表現にも挑む意欲作が目を引きます。会場でじっくりご鑑賞ください。
【開催要項】
命宿るORIGAMI―吉澤章 創作折り紙の世界
会期:2023年9月2日(土)~10月22日(日)
会場:佐野美術館
住所:静岡県三島市中田町1-43
電話:055-975-7278
公式サイト:https://www.sanobi.or.jp/
開館時間:10:00~17:00(入館の受付は16:30まで)
休館日:木曜日
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝