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髪が美しく豊かな女性はそれだけで魅力的なものです。そんな美しい髪を維持するには手間もお金もかかってしまうと思っている人も多いでしょう。しかし、ヘアケアの記事編集に携わってきた美容ジャーナリストで毛髪診断士でもある伊熊奈美さんによると、だれもが無理なくできて、体にやさしく、それでいて素敵な髪と褒められる、そんな白髪ケアの方法があるそうです。

美しい髪の維持にはどんなヘアケア商品を使うかよりも、むしろ洗い方が大事だと言います。そこで今回は、伊熊さんの著書『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』から、正しいシャンプーの方法についてご紹介します。

髪はいくつになっても「女性の命」です。髪に自信を持つことで、自分にも自信をつけませんか。

文/伊熊奈美

シャンプーは、商品よりテクニック

この仕事をしていると、ヘアケアの新製品に触れる機会が多いので、「シャンプーは何を使ったらいいですか?」と聞かれることが多々あります。でも今の世の中、極端に粗悪なシャンプーはそれほどありません。その人の好みや肌に合うとか、あるいは価格が納得できる、など自分の感覚で試してみてよいと思います。むしろ、何を使うかよりも、どう洗うか、を考えるべきです。

シャンプーで頭皮を洗う

シャンプーにかける時間は髪の長さに関係なく「予洗い1分、シャンプー1分+α、すすぎ1分」が目安です。予洗いとすすぎには、シャンプー時間と同じくらいの時間をかける必要があります。実際にやってみると、1分は意外と長いもの。でも、頭皮のコンディションはそこにかかっているといっても過言ではありません。

予洗いのポイント

まず、髪を濡らす前にはブラッシングで髪のもつれをといておきます。予洗いは頭皮の隅々までお湯を通すことが目的です。髪の汚れはひと通りお湯と泡を通せば落とせるので、髪をゴシゴシ洗う必要はまったくありません。お湯は熱すぎると頭皮や髪の乾燥につながるので注意しましょう。予洗いもすすぎも流し方は一緒です。

(1)ある程度流したら、シャワーをフックから外す

女性はどちらかというと、額からシャワーのお湯を浴びることが多いと思います。ずっとシャワーを壁に固定したまま濡らしていると、後頭部はまったく洗えていません。後ろから洗ったとしても、フックに固定したままでは、今度は生え際に泡や汚れが残ります。洗い始めは固定したままでいいのですが、ある程度しっかり濡らしたら、フックから外しましょう。壁に固定されたシャワーの場合は、自分が体の位置や頭の向きを変えながら、髪の内側までしっかり予洗いします。

(2)うつむいて流す、あるいは髪をめくりながら「タプタプ」する

シャワーを持ったら、後頭部を流します。体を前に倒し、草むらをかき分けるように手で地肌を出し、シャワーヘッドで襟足側から前に向かって流すようにすると、後頭部の地肌にお湯がしっかり行き渡ります。こうしてうつむいたまま、洗うプロセスにもいけますが、髪が絡まったり、体勢がきつかったりと、うつむいて流すのが苦手な人もいるでしょう。その場合は、上を向いたままで後頭部の髪をめくり上げ、シャワーヘッドを襟足から頭皮にあててタプタプ。少し上に移動してまた髪をめくり上げてシャワーヘッドでタプタプ。美容院でやっているあの動作です。仕上げにいろいろな方向から地肌に直接お湯があたるように、至近距離からお湯をかけます。

後頭部にしっかりシャワーをあてます

シャンプーのポイント

頭皮は肌なので、洗い方は顔のスキンケアにそのヒントがあります。シャンプーはスキンケアでいえば洗顔です。顔を洗うときは、どこから洗うのが正解でしょうか?

答えはTゾーン。額の横線と額からあごを結んだ縦のラインです。ここは、年齢を問わず、顔のほかの部分より皮脂が出やすいので、汚れや余計な皮脂が溜まりやすく、しっかり落としたいところです。失速していないフレッシュな泡をここにのせてから、周囲に広げていきます。

シャンプーでも、いちばんしっかり洗いたいのは、やっぱりTゾーン。頭皮におけるTゾーンは、額のあたりの生え際と、頭頂から後頭部にかけての縦ラインです。

頭皮のTゾーン

(1)シャンプー剤は後頭部からつける

手のひらにシャンプー剤を適量のせたら、水を少し足して両手を2~3度すり合わせ、ゆるっとした液体状態にして手のひらにのばします。洗顔のように手のひらで泡立ててしまうと、髪にのせたときの洗浄力が失速するので、シャンプーは手のひらでモコモコに泡立てる必要はありません。

おすすめは、頭頂の少し後ろの後頭部からつけることです。見えないから忘れやすく、毛量も皮脂も多いので最もたくさんの泡が必要なところだからです。シャンプーを両手のひらにのばしたら、片方の手の指で後ろの髪をめくって、後頭部の地肌につけます。生え際の中央にタッチ。もう片方の手についている分は、サイドの生え際や襟足の上につけます。

シャンプーを置く場所

(2)泡で頭皮にまんべんなく触れて頭皮マッサージ

顔のマッサージにおける御法度といえば、摩擦。強くこすりすぎることです。頭皮も強くこする必要はありません。あくまでやさしいタッチで洗い、泡立てていきます。手のひらで包み込むようにすると、手の温もりが肌に伝わる上に、余計な力が入ることも防げるので、頭皮もそのイメージで洗うようにします。

シャンプー剤をつけ終わったら、手のひらをパーにして手全体を使って、耳上から頭皮ごと動かしながらTゾーンの縦ラインで両方の指を出合わせて、挟み撃ちにします。後頭部は頭頂に向かって引き上げるように動かして。指先で洗うより、頭皮に広く触れられる上に、頭皮全体を頭蓋骨からはがすような動きができるので、頭部の頭筋リリースにもなります。心地よく筋肉を動かせば、血流も上がるので、育毛効果も期待できます。

手全体で頭皮を引き上げるように

(3)頭皮を寄せるようにもみ洗いする

挟み撃ち洗いで意外と手がカバーできない頭頂付近だけは特別。皮脂をしっかり落としたいので、指の腹で頭皮を左右から寄せるようにしてもみ洗いします。ゴシゴシ力を入れるのではなく、頭皮をそっと動かすように行います。

頭頂付近は頭皮を寄せる

(4)指を滑らせて毛先に泡を通す

頭皮を洗い終わったら、髪の内側に指を通し、根元から毛先へと指で泡を移動させて、髪の汚れを取ります。これを2~3回繰り返します。

泡を毛先へと動かし汚れを取る

(5)洗い終わったら+αの30秒放置

すぐに洗い流さないで、泡がじわーっと頭皮の毛穴のすみずみまで行き渡って、不要な皮脂を分解してくれるのを待ちます。これが+αの時間。こうすれば、汚れは落ちるので、洗うときに強くこする必要はありません。

すすぎのポイント

すすぎのときも、やり方は「予洗い」と一緒です。さっさとすませたくなりがちですが、このすすぎがシャンプーの中で最も重視したいステップ。ここでも、シャワーをフックから外し、前から後ろからと髪の根元の全方向から、しっかりお湯を通して泡と汚れを洗い流すようにしましょう。シャワーをあてる角度を変えながら、1分間のすすぎを死守します。泡が残っていると頭皮の炎症やベタつき、フケ、においの原因になります。

理想のシャンプー剤を探し求めるより、むしろこのすすぎをしっかりすることのほうが大切かもしれません。完璧なすすぎだけで、髪と頭皮のトラブルは確実に軽減します。

イラスト/伊藤美樹

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伊熊奈美(いくま・なみ)
美容ジャーナリスト。日本毛髪科学協会 毛髪診断士・認定講師、国際毛髪皮膚科学研究所 毛髪技能士。1972年静岡県浜松市生まれ。地元タウン誌の編集記者、女性誌編集部の美容担当などを経て、フリーランスに。以来20年以上、「女性のリアルな生活に活かせること」をモットーに、スキンケア、ヘアメイクなど、見た目づくりから医療分野まで幅広く企画・取材。特に毛髪科学分野とヘアケアに精通し、雑誌、新聞、WEB媒体にて執筆中。今までに約2万点以上の化粧品や美容関連アイテムに触れてきた目利きとしても信頼を得ている。講演活動も行う。

 

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