見た目もスッキリして、掃除もしやすいIHヒーター。直火を使わないので安全性も高く、最近は炊飯などのオートメニューまであってとても便利です。上手に使いこなしている人がいる一方、見た目では火加減がわかりにくい、強火を使った料理ができない、ガスコンロの時はおいしく作れた料理がうまく作れないなど、悩みを抱えている人も多くいます。
20年以上にわたってIHヒーターを使用し、商品開発にも携わってきた料理家の脇雅世さんは「IHとガスでは料理のレシピが変わります」と言います。ガスコンロとIHヒーターではそもそも加熱の仕組みが違うからです。その仕組みを知らずにガスコンロと同じように調理してもおいしくできないのは当たり前なのです。
今回は、脇雅世さんの著書でIHヒーターのための料理本『IHクッキング・レシピ』から、おもてなし料理にピッタリなパエリアとピッツァのレシピをご紹介します。
文/脇雅世
パエリア
【材料】(4~6人分)
玉ねぎ 1/2個(100g)
にんにく 1片
パプリカ(黄・赤) 各1/2個
モロッコいんげん 6本
鶏手羽元 6本(250g)
豚肩ロース肉 1枚(100g)
海老(ブラックタイガー) 6匹(120g)
塩 小さじ1/2
こしょう 少々
ムール貝 6個
オリーブ油 大さじ3
aホールトマト(缶)(*) 100g
a顆粒コンソメの素 1/2袋
a塩 小さじ1
aこしょう 少々
aパプリカ(粉) 小さじ1
aカレー粉 小さじ2/3
米 450g
イタリアンパセリ(粗みじん切り) 少々
レモン 適量
(*)トマトはフォークなどでつぶしておく。
・
直径23cm浅型両手鍋(容量2.5L)
口径18cm(底径12cm)片手鍋(容量2.0L)
【作り方】
下ごしらえ
1.玉ねぎ、にんにくはみじん切り、黄・赤パプリカはそれぞれ1cm幅に切る。モロッコいんげんは硬めにゆでて、斜め半分に切る。
2.豚肩ロース肉は2cm角に切り、鶏手羽元と一緒に塩をふってなじむまでおく。
IH調理(具材の下調理をして、パエリアを炊くスープを作る)
3.浅鍋を中火強にかけて、水を落として、その水が玉になって転がるようになるまでしっかり予熱をかける。オリーブ油大さじ1をひき、水気を拭いた鶏手羽元を並べ入れ、きれいな焼き色がつくように中火で焼く。
4.鶏手羽元が焼けたら取り出す。同じ鍋に豚肩ロース肉を入れて、同様に中火で焼き色をつけるように焼く。
5.鍋にオリーブ油大さじ1を加え、背わたを取った海老を中火で炒める。色が赤く変わったら取り出し、冷めたら殻をむき、塩、こしょうをする。
6.別鍋にムール貝を入れ、水100mLを加えて蓋をし中火で蒸し煮にする。口が開いたら取り出す。
7.6のムール貝の汁を漉してボウルに取り出す。水を足して600mLにし、aを加え、混ぜ合わせる。
IH調理(スープで米を煮て、具材を時間差で加えて仕上げる)
8.5の鍋にオリーブ油大さじ1と玉ねぎ、にんにくを入れ中火にかけて炒め、にんにくの香りが出てきたら、7を注ぎ入れ強火にする。煮立ったら中火にして米を少しずつ加える。
9.全体を箸で混ぜて、鶏手羽元、豚肉を加える。蓋をして再度煮立ったら、弱火にして約15分間炊く。
10.火を止め、ムール貝と海老、パプリカ、モロッコいんげんを手早く加え、再び蓋をし、そのまま約10分蒸らす。
11.ムール貝や海老、野菜をきれいに並べ直し、粗みじんにしたイタリアンパセリを散らし、レモンのくし切りを飾る。
ピッツァ・マルゲリータ
【材料】(直径20cm・2枚分)
≪ピッツァ生地≫
強力粉 150g
塩 小さじ1/2
オリーブ油 小さじ2
≪トマトソース≫
ホールトマト(缶)(*) 100g
塩 小さじ1/3
こしょう 少々
オリーブ油 大さじ1
オレガノ(乾燥) 小さじ1
(*)トマトはフォークなどでつぶしておく。
≪トッピング≫
ピザ用シュレッドチーズ 150g
バジルの葉 適量
・
25cmフライパン
【作り方】
トマトソースを用意する
1.材料をボウルに入れ混ぜる。
生地を作る
2.ボウルに強力粉、塩を入れ、オリーブ油と水70〜100mLを加える。水は途中様子を見ながら量を調整する。全体に水分がなじんだら作業台に取り出し、艶が出るまで5分ほどこねる。ラップで包み30分ほどおく。
3.生地を2等分にし、1 個を直径20cmほどになるまで手で伸ばす。分量外の強力粉を台にふり、麺棒を使って伸ばす。フラットなIH台のトッププレートは格好の作業台。IHリング上に生地を置いて同心円状に伸ばすこともできます。
IH調理(フライパンで焼く)
4.フライパンに3の生地を入れて中火強にかけ1分30秒焼く。火を止めて裏返し1のトマトソースの半量を塗って、半量のチーズを散らす。蓋をして中火で10分ほど焼く。もう一枚も同様に焼く。
5.皿に盛り、バジルの葉を散らす。フッ素樹脂加工のフライパンなら油は不要で、素焼きでOK。
ピッツァ・ドルチェ
【材料】(直径20cm・2枚分)
≪ピッツァ生地≫
強力粉 150g
塩 小さじ1/2
オリーブ油 小さじ2
≪トッピング≫
クリームチーズ 3個(約60g)
冷凍フルーツミックス (180g)
ピザ用シュレッドチーズ 80g
はちみつ 大さじ2~3
ミントの葉 適量
・
25cmフライパン
【作り方】
生地を作る
1.生地の作り方はピッツァ・マルゲリータと共通。
IH調理(フライパンで焼く)
2.フライパンに1の生地を入れて中火強にかけ1分30秒焼く。火を止めて裏返し、クリームチーズ半量を軽く塗り広げ、凍ったままのフルーツミックスを半量のせる。半量のピザ用シュレッドチーズを上に散らし、蓋をして中火で10分ほど焼く。もう一枚も同様に焼く。
3.皿に盛り、はちみつをかけ、ミントの葉を散らす。
*
脇雅世(わき・まさよ)
料理家。東京生まれ。1977年に渡仏し、ル・コルドン・ブルーやマキシム・ド・パリなどで学ぶ。1981年より10年間、24時間耐久カー・レース「ル・マン」にマツダ・レーシングチームの料理長として参加。1984年に帰国、服部栄養専門学校国際部ディレクターに。1991年より「脇雅世料理教室」を主宰。雑誌やテレビなどのメディアで和洋中、幅広いレシピを紹介する一方、IHクッキングヒーターや低温調理器の使いこなしを分かりやすく提案し、家庭料理にも調理科学に基づく考え方の必要性を提唱する。そのバックボーンからIH用調理器具を貝印株式会社と共同開発し、2008年よりo.e.c.シリーズを展開している。2014年、フランス農事功労章を受章。著書多数。近著に『いちばん親切でおいしい 低温調理器レシピ』(世界文化社)がある。
* * *
『IHクッキング・レシピ』(脇雅世 著)
世界文化社