日本の伝統工芸と最先端の美を紡ぐ「The CITIZEN」30周年記念モデル

シチズン時計が、高級腕時計ライン「The CITIZEN（ザ・シチズン）」の30周年を記念した限定モデルを2025年5月に発売します。土佐和紙を用いた文字板には、「春の明け方」と「夏の夜」というふたつの季節の美しい瞬間が繊細に描き出されています。年差±5秒の高精度ムーブメントと、軽量で耐久性に優れたスーパーチタニウム™ケースに加え、世界限定各400本という希少性もまた注目に値するものです。

文／土田貴史

日本の魂を宿した和紙文字板と卓越した精度の融合

古来より光を透過する素材として障子や行灯に用いられてきた和紙は、光発電「エコ・ドライブ」の文字板に理想的な素材です。繊維の間から光が透過すると同時に、見る角度や光の当たり方によって表情を変え、変化する美しさを楽しむことができるからです。「にじみ」や「かすれ」といった和紙特有の表現技法は、まるで自然の情趣が文字板に映し出されているようにも見えます。

「春の明け方の情景」を切り取ったAQ4106-00Aの文字板は、白々と明けゆく早朝に柔らかな雲がたなびく様子を表現。長い繊維を漉き込んだ独特の模様をもつ雲龍紙に、空にも桜にも見える繊細な色彩を載せています。デュラテクトサクラピンクを施したケースは、温かな色合いで春の穏やかな気配を演出。腕に着けた瞬間から、新たな季節の訪れを感じさせてくれます。

対照的に「夏の夜の情景」を切り取ったAQ4100-22Lの文字板は、川の水面に映る月明かりの神秘的な美しさを表現。ジャパンブルーとも呼ばれる深みのある藍染和紙にグラデーションを重ねることで、闇と光の対比が生まれています。川のほとりに飛び交う蛍の光跡を思わせるゴールドカラーの秒針が、夏の夜の静謐さと神秘性をさらに高めています。

特筆すべきは、この美しい和紙文字板が単なる見た目の美しさだけでなく、実用的な耐久性も兼ね備えていることです。シチズンの技術陣は、和紙の持つ繊細な質感を損なうことなく、特殊な加工処理により、長期にわたって初期の美しさを保ち続ける工夫を凝らしました。まさに日本の伝統工芸と現代の先端技術が融合した成果と言えるでしょう。

これらのモデルは、ともに年差（1年あたりの誤差範囲）±5秒という高精度「エコ・ドライブ」ムーブメントを搭載しています。この精度は一般的なクオーツ時計の月差（1月あたりの誤差範囲）±15秒と比較すると、その優位性は明らかです。光エネルギーで駆動するため定期的な電池交換が不要であり、フル充電時には約1.5年間の連続駆動を実現。パワーセーブ機能も備えているため、長期間の不使用時でもエネルギーを効率的に保存します。

さらに、2100年2月28日まで、うるう年などの月末カレンダー修正が不要なパーペチュアルカレンダー機能も搭載。衝撃検知機能や針自動補正機能、0時ジャストカレンダー更新機能など、日常使いの利便性を高める各機能も充実しています。ケースには軽量で耐傷性に優れたシチズン独自の素材「スーパーチタニウム™」を採用。通常のチタニウムよりも硬度を高めたこの素材は、ステンレスの約5倍の硬度と約40%の軽量化を実現し、長時間の着用でも快適さを損ないません。「キズに強い」「軽い」「肌にやさしい」「錆びにくい」という特性は、日常の腕時計に求められる理想的な条件を満たしています。

今回の30周年記念限定モデルは、ブランドの30年にわたる革新と挑戦の集大成とも言える製品で、世界限定各400本という希少性も魅力です。時を刻む道具としての卓越した機能性と、日本の伝統美を体現した芸術性を兼ね備えたこの限定モデルは、腕時計を超えた価値を持つ逸品として、長く愛され続けることでしょう。