「いいもの」に出会うと、いきなりスイッチが入る。古いも新しいも、時間も場所も関係ない。
全国のファンのみなさまや仕事関係の方々から、いろいろなものをいただくんです。メイク用品とか、ヘルスケアグッズとか、各地方の名産品とか……食べものをいただくことも多いから、それだけで生きていけちゃう(笑)。例えば、新鮮な生卵と手作りのお漬物。
正直アタシはこれだけで大満足。三食それだけでもOKなくらい。でも、たまにいきなりおいしいものが食べたくなったりする。そんなときはとりあえずおいしそうなものが食べられそうな、ダンナの仕事関係の豪華な食事会なんかに突然乱入して、目一杯ゴチになったりします(笑)。そんなときダンナも喜んで動いてくれるんです。
アタシの場合、こんなふうにスイッチが入ってまっしぐら、ってことがよくありますね。それは古いも新しいも、時間も場所も関係なくいきなりやってきます。例えば音楽ならば 昭和のムード歌謡。今、ガッツリハマって聴いています。こういうのはいつ聴いてもやっぱりいい。「いいもの」は時代も超えるんですよ。ちなみに今、アタシはある歌手の大ファンなんです。この間もYou Tubeで聴いていたらいてもたってもいられず、名古屋まで コンサート観に行っちゃいました。完全に追っかけミーハーですよね(笑)。他のお客さんといっしょにペンライト振りたかった……。アナタも 「いいもの」に出会ったときには、ためらわないほうがいいですよ。何もしなかったときの後悔は、後を引きますからね。
アタシの健康法は、無理せず、我慢せず、
信頼できる相手に自分を晒すこと。
若いころから片頭痛に悩まされたり、甲状腺の異常が原因で橋本病になったり、ポリープができて声が出なくなったり、けっこう痛い目を見ているんですよ。でもそう見えないでしょ(笑)。……それはね、我慢しちゃってたから。アタシって昔から「もうダメだ」と思うまで我慢するタイプだったのね。だから周りから 「何かあってからじゃもう間に合わないんだから、早く言わなきゃダメ!」っていつも叱られていたんです。
「もうトシなんだから無理はしないで」ってことなんでしょうけれど、生まれ持った性格はなかなか変えられないもの。足を骨折したときも他人の3倍のリハビリをこなして1か月で舞台に立てるようになりました。
片頭痛も橋本病も治ったわけではないんですよ。一生つきあっていく病気だと受けとめているの。だからあるとき決めたんです。これからは無理をしない。我慢をしないって。 辛いと感じたらどんなときでも弱音を吐くことにしたんです。口に出せば少しは気が晴れますから。ただし、誰でもいいってわけではありませんよ。信頼している人にだけ、自分を晒すの。アタシだったらダンナや長年つきあっているマネージャー、そして子どもたち。自分がちょっとでも体調が良くないなあと思ったらすぐに口に出す。そうすれば周りがケアしてくれますからね。これが健康を維持する秘訣かな。
自然体が一番いいんです。無理は禁物。
体も心もすっぴんでいることが大事。
コロナ禍のとき、仕事が激減してヒマになったのね。でも、そんなに深刻になったり、落ち込んだりしなかった。アタシはもともと、「なるようにしかならない」って考えるタイプだからかもしれません。逆にヒマだから忙しいときにできないことをしようってタイプ。
いうことで気軽な気持ちで始めたのがYou Tube……といってもアタシにはやりかたがさっぱりわからない。そこで子どもたち、ダンナとマネージャーがこっそりつるんで、企んだ結果、できあがったのがあのすっぴんメイク動画。それが今では600万回以上も再生して、バズっちゃった。
初めからバズりを意図してやったことではないんです。普段はいつもすっぴんだから、別に特別なことじゃない。起きているときはメイクを欠かさないっていう人がいるけど、アタシにはできない。周りの人もすっぴんのアタシが普通だと思っているし。メイクをするのは仕事のときだけ、本名の 「野口なを子」から「研ナオコ」に変わる瞬間……ここは、しっかりメイクして飾ります。それでも仕事が終われば飾りは外す。
だからみなさまもすっぴんがおすすめですよ。いつも素顔でいれば、家族やパートナーも「それが当たり前」ってことでだんだん慣れます(笑)。さらに体だけじゃなく心もすっぴんでいることをおすすめします。自分の心を飾って生きても、疲れるだけですから。
研ナオコ
1953年生まれ。静岡県出身。歌手、タレント、女優。
1971年にシングル『大都会のやさぐれ女』で歌手デビュー。1975年には『愚図』でFNS歌謡祭・優秀歌謡音楽賞を受賞する。その後も、『あばよ』『かもめはかもめ』『夏をあきらめて』『泣かせて』『Tokyo見返り美人』など数々のヒット曲を世に送り出す。歌手活動以外にも、数多くのCMやバラエティー番組に出演するなど、幅広い分野で活躍。