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浅草文庫 長財布「花菱」。カラー:ピンク系(右手前)、ブルー系(中央) 、パープル系(左奥) 

兵庫県姫路市の特産品である白なめし革に装飾を施した「文庫革」。室町時代、文箱に白革を貼り、絵付けなどで装飾したのが始まりとされ、近年再び人気となっています。文庫革を作るメーカーは複数あり、その製造工程も少しずつ異なります。

「浅草文庫」で知られるシルクハウスは、昭和58(1983)年に東京・浅草橋で創業。もともと着物の装飾を専門としていた同社が白なめし革に出合ったのは、平成22(2010)年ごろ。着物の絵付けで培った型友禅や手描き友禅の技を活かして、職人が一点一点手作りしています。

和装・洋装を問わず合わせやすいと評判

その記念すべき最初の製品であり、同社の代表作でもあるのが、ご紹介するラウンドファスナー式の長財布「花菱」です。和の伝統柄を組み合わせた細密画のような幾何学模様は、一つひとつの柄が立体的に浮き上がって光沢を放ち、まるで宝石をちりばめたような美しさです。

高品質の牛革から作られる白なめし革(左)から装飾を加えた革へ(右)。牛革1頭分から長財布用には15個分しか取れない。

「仕立てたときの柄の配置がきれいにそろうよう、長財布本体だけでなく引き手部分も専用の捺染型を起こしています。細かい図柄にひと柄ずつ色を重ねていく作業や、金型と革の模様を合わせてプレス機で圧着する作業は、わずかなズレも許されません。完成までに1か月以上をかけて作り上げています」と同社の取締役常務・齊藤直樹さん。

その艶やかで精緻な柄は、和装・洋装を問わず合わせやすいと評判です。

小さなファスナーの引き手も専用に型を起こし、吉祥柄が切れないよう細部まで計算されている。
明るい内装。ファスナー式の小銭入れを中心に、広いマチが蛇腹状に大きく開き、中身が見渡しやすい。

長財布「花菱」ができるまで

一部工程を抜粋してご紹介しましょう。

(1)手捺染(型染め)

すべて手作業による型染め。18色使った「花菱」は、版を18回重ねて着色する。少しでも版がずれると製品にはならない。

(2)手描き

型染めが終わったものに職人がひと筆ずつ手彩色を加えて仕上げる。陰影が生まれて深みを増し、柄に命が吹き込まれる。

(3)金型押し

金型と革の柄をぴったり合わせて1枚ずつプレス機で圧着して凹凸を出す。
最後にラッカーでコーティングを施して完成。

白なめし革に浮かび上がる吉祥文様の花

「花菱」の幾何学柄は、縁起のよい草花を文様化して組み合わせたもの。笹、桜、鉄線、りんどう、花水木、百合、梅……いつまでも見飽きることのない繊細な柄は大きな魅力です。

浅草文庫 長財布「花菱」

シルクハウス
各22,000円(消費税込み)

 

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