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「気がきく人」とはどんな人でしょうか? さりげなくフォローできる、細かなところまで心配りされているなど、相手のことを考えて行動している人ではないでしょうか。「気がきく人」は人間関係をとても心地よくしてくれます。1000人以上を指導した元JALのトップキャビンアテンダントであり、現在は人材育成コンサルタントとして活躍している七條千恵美さんも、そんな気がきくたくさんの人に助けられてきたそうです。

そこで今回は、七條さんが自身の経験をもとに「真似したい」「やるとよくない」と感じたことを余すところなく詰め込んだ著書『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』から、「気がきく人」が大切にしてる伝え方をご紹介します。

文/七條千恵美

角の立たない伝え方

仕事でもプライベートでも多くの人と関わる中で「気持ちを伝える」というのは切っても切れないコミュニケーションのひとつです。しかし、「伝え方や伝える言葉」をまちがえると相手に不快感を与えてしまい、思わぬトラブルになることもあります。

私の周りにいる気がきく人は伝え方が上手です。そのひとりでもある動画撮影スタッフの事例をご紹介します。以前YouTube用の動画収録で、とある会議室を利用しました。録画のスタートボタンが押されて話し出したとき、突然、廊下から「ブォーン」と掃除機をかける音が聞こえてきました。

できればそのような音のない状態で収録を進めたいところですが、私たちのためだけに用意された場所でも収録専用の会議室でもありません。

「掃除が終わるまで待ったほうがいいかなあ。どうしようかな……」と思い始めたとき、男性スタッフのひとりが会議室の窓を開けて掃除をしているスタッフさんに話しかけました。

もし、あなたがこのような状況になったとき、どうしますか? 掃除をしているスタッフさんにどのような声をかけるでしょうか?

その彼は笑顔で、清掃スタッフさんにこう言いました。
「すみません、あとどれくらいでお掃除が終わりそうですか?」
すると、掃除をしていたスタッフさんは、
「あー、すみません。他のところからやりますね」
と言って移動をしてくれたのでした。

彼は、「僕たち動画を撮っているんですよね」とか「音が入って困るんですけど」とか「先に他の所の掃除をしてくれませんか?」とは言っていません。ただ笑顔で「すみません、あとどれくらいでお掃除が終わりそうですか?」と聞いただけで誰も不快にすることなく、望む結果を手に入れたわけです。

相手への敬意や好意を表す笑顔。相手の行動を否定しない伝え方。たったひとことではありますが、これらが込められているからこそ、トラブルにならずに思い通りの結果になったのです。

前職でのフライト中にもこれに似たケースがありました。それは窓のシェード(日よけ)にまつわるものです。中長距離の国際線では、お食事のサービスのあと、映画をお楽しみになる方やお休みになるお客さまが多いです。つまり、機内を暗くしたほうが多くのお客さまにおくつろぎいただけるのです。それゆえに、強制ではないものの、窓の日よけを閉めていただけるとありがたい……という想いでした。

ところが、いくつかの窓側の席はシェードが開いていて、薄暗い機内にその席から強い光が差し込んでいるという状況になることがありました。私はそんなときにも、いきなり席にうかがって、

「恐れ入りますが、窓の日よけを閉めていただけますか?」
と伝えることを避けるようにしていました。なぜならば、それは強制することではないというのがまずひとつの理由、そして、お客さまによっては窓の日よけを開けていたい場合もあるからです。

そのような理由から、伝え方としては笑顔で、
「失礼いたします。外の景色をお楽しみでしょうか?」
「このあとも読書をお続けになりますでしょうか?」
と相手の行動を先に話題にするようにしていました。

仕事でもプライベートでも「自分の気持ちを伝えたい」「こうしてほしい」というときに、まずは相手の気持ちや行動を否定しない言葉で伝えることができれば、望み通りの結果になることが多いようです。

【ポイント】
相手の気持ちを考えて相手を否定しない言葉かけをしよう!

* * *

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七條千恵美(しちじょう・ちえみ)
元JAL CA/人材育成コンサルタント。お客さまから多くの賞賛をいただき、際立った影響力を持つ客室乗務員として「Dream Skyward優秀賞」を受賞、取締役から表彰を受ける。また、TOP VIPフライトの中でも最上級ハンドリングのフライトであった皇室チャーターフライトのメンバーに抜擢された経験を持つ。2010年より2年間は教官として訓練生を指導。会社評価Sを獲得。マインドの授業に定評あり。2013年JALを退職後、人材育成コンサルタント/研修講師/ビジネス書作家として活動。パナソニック、コーセー、ポーラなどの大手企業から中小企業、商工会、教育機関など多岐にわたり講演や研修を行っている。接客マナー、職場内コミュニケーション、チームワーク、安全従事者としての心がまえなどを多くの人に広めていくことを使命とする。受講者からは「おもしろい!わかりやすい!背筋が伸びる!熱い!」という声が寄せられている。著書に『礼節を磨くとなぜ人が集まるのか』(青春出版社)、『接客1年生』(ダイヤモンド社)、『ザ・チームワーク』(アルファポリス)、『接客の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『人生を決める『ありがとう』と『すみません』の使い分け』(アルファポリス)。
公式サイト:https://glitterstage.com

 

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