文・石川真禧照(自動車生活探険家)

いま、国産車のなかでもっとも贅沢な車は? と問われたとき、レクサスLX 700hと答えても異論を唱える人は少ないだろう。その理由はいくつか挙げられる。乗員に与えられた広い室内空間、最新技術を駆使したカーボンニュートラルなメカニズム、質感の高い構成部品、もちろん押し出しの効いた外観も入る。車として肝心な走行性能についても、自らハンドルを握れば安定・安心走行ができるし、ショファードリブン(運転手付)で後席にいても快適さは最上級クラスだ。


なかでも「エグゼクティブ」はとくに贅沢に仕立てられている。



その諸元だが、車体は全長5.1m、全幅2m、全高1.9mとかなり大きい。だが、高い運転席からの眺めがよく、車体の見切りも悪くないので、長距離の運転でも疲れは少ない。コンパクトな乗用車も運転しやすいが、LXのように大きい車は運転にも余裕ができるので疲労が軽減される。

前後席への乗り降りは、ドア下に設けられた足掛け板と、ドア内側のグリップを使えばラクにできる。
運転席に座り、スタートボタンを押す。走り出しは無音。振動もなく、2.4トンの巨体は静々と動き出す。モーターは54ps、290Nmなので、スタート時の短い瞬間だけ作動する。エンジンとモーターの作動はハイブリッド制御システムがコントロールする。運転者はエンジン回転計の針の動きでエンジンが始動しているか、停止しているかが確認できるだけ。LXといえば初期モデルはV型8気筒5.7Lという大排気量ガソリンエンジンであり、それ以降もトヨタが世界で初めて実用化したカーボンニュートラルエンジンのハイブリッドシステムを搭載してこなかった。しかし、今回最新の技術を投入したハイブリッドシステムを搭載してきた。エンジンは新開発のV6、3.4Lツインターボガソリンエンジン。エンジンの音や振動はほとんど室内に入ってこない。



高速道路ではエンジン走行が主体となるが、10速ATは100km/h巡行時に、10速1300回転、9速1400回転、8速でも1800回転でユルユル回っているので、静粛性の高い走行ができる。
「LX」で採用されたハイブリッドシステムは、エンジンと10速ATの間にクラッチで準備したモータージェネレーターを配置したのが新しい試み。オルタネーターやスターターを標準装備し、万が一ハイブリッドシステムが停止してもスターターでのエンジン始動が可能で、オルタネータで発電した電力は補機の電池にも電気を供給することで、エンジンだけでの短時間走行もできるようになった。4輪駆動+車高調整で、オフロードや荒地走行もできる。モーター走行用の電池は床下に配置されているのだが、防水対策も完璧で、深さ70cmほどの水ならば通常走行できる。オフロード走行でなくても、例えば豪雨のときにでも安心感がある。





試乗した「エグゼクティブ」は定員4名。後席はそれぞれ独立し、左右に1名ずつ座ることができる。後席はそれぞれにリクライニングし、リラックスした姿勢で移動するエグゼクティブ用だが、今回、プライベートで使用してみると、運転疲れの身体を休めるために後席に移動し、リクライニングした座席でのんびりすることができるのを発見した。これなら峠のワインディングロードをV6ツインターボ+モーター+マニュアルモードで攻めたあとや、オフロードでのトランスファーLOレンジ+モーター駆動でタイムラグがない走行を楽しんだあと、気に入ったポイントで、自分だけの時間を満喫することもできる。
おそらく、日本のLX 700hユーザは、そこまでの冒険をする人はいないかもしれない。しかし、LX 700h エグゼクティブは、所有だけではなく、走りをこなせることができれば、最高に贅沢な車だ。
レクサス/LX 700h エグゼクティブ
全長×全幅×全高 | 5100×1990×1895mm |
ホイールベース | 2850mm |
車両重量 | 2770kg |
エンジン/モーター | V型6気筒ガソリンツインターボ/3444cc/交流同期 |
最高出力 | 408ps/5200rpm/54ps |
最大トルク | 650Nm/2000~3600rpm/290Nm |
駆動形式 | 4輪駆動 |
燃料消費量 | 9.3km/L(WLTC) |
使用燃料/容量 | 無鉛プレミアムガソリン/ 68 L |
ミッション形式 | 電子制御10速AT |
サスペンション形式 | 前:ダブルウィッシュボーン/後:トレーリングリンク |
ブレーキ形式 | 前:ベンチレーテッドディスク/後:ベンチレーテッドディスク |
乗員定員 | 4名 |
車両価格(税込) | 2100万円 |
問い合わせ先 | 0800-500-5577 |

文/石川真禧照(自動車生活探険家)
20代で自動車評論の世界に入り、年間200台以上の自動車に試乗すること半世紀。日常生活と自動車との関わりを考えた評価、評論を得意とする。
撮影/萩原文博