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親と子の関係は、子どもの成長によって変化していきます。子どもが社会人になり、別々に暮らすようになると、さらに親子のコミュニケーションの時間は少なくなり、子どもは親の老いに鈍感になる人が多いようです。

株式会社ダスキンが展開するヘルスレント事業は、親世代(※1)と子世代(※2)を対象に、「老い(※3)」に対する親子の意識やコミュニケーションの実態を知るため、「親のいま」に関する親子2世代の意識調査を実施。調査結果の紹介とともに、東京大学高齢社会総合研究機構長の飯島勝矢教授に調査結果の見解を伺いました。

(※1)自身の年齢が60〜70代以上で別居の子どもがいる男女1,000人
(※2)自身の年齢が20〜69歳で60代以上の別居する親がいる男女1,000人
(※3)本調査での「老い」とは、以前と比べて「年を取ったと感じる」「寄る年波を実感する」と定義し、回答を得ています。

子世代の約4割が親の老いに向き合えていない

親世代に自身の老いについて聞いたところ、85.6%が「自身の老いを感じる」と答えました。一方、子世代に親の老いについて聞くと、85.1%が「親の老いを感じる」と回答するも、親の老いに向き合えているか、という設問に対しては、38.4%が「向き合えていない」との結果になりました。

親の老いを頭では理解していても、気持ちの上では向き合えない子世代が約4割となりました。

3人に1人が親の老いを見て見ぬふり

子世代に、親の老いを受け止められないと感じるかと改めて聞くと、40.5%が「受け止められない」と答えました。一方、自身の老いを受け止められない親世代は25.4%となり、15.1ポイントの意識差が生じています。本人は老いを受け止めていても、子は親の老いをなかなか受け止められないようです。

そこで、親の老いを見て見ぬふりをしたことがあるかと聞くと、子世代の3人に1人(36.0%)が「親の老いを見て見ぬふりをしたことがある」と答えました。

見て見ぬふりをしてしまう親の老いについて、親の老いを受け止められないと回答している子世代は65.1%にも上り、一段と高くなっています。

子世代に、見て見ぬふりをした理由を聞くと下記のような結果に。親のことを気遣っているが故に見て見ぬふりをしてしまうようです。

Q.親の老いを見て見ぬふりをした理由

・何回も同じ話をしていることを指摘したのに、また繰り返されて、こちらもショックで黙ってしまった(30歳女性)
・食事の量が減ってきている気がするが、親はそれを老いと認めたくないのか、目線をそらしがちになる(35歳男性)
・将来介護が必要になる現実から目をそむけているような感じで、見て見ぬふりをした(36歳男性)
・親はいつまでも親なので(39歳男性)
・手塩にかけて育ててもらったので、弱気な姿を見たくない(58歳男性)

子世代が気付く親の変化は外見的な変化が中心

子世代に、自分の親の変化で感じたことを聞きました。すると、「しわやたるみが増えた」(37.2%)、「白髪が増えた」(32.3%)、「身体が小さくなったように感じた」(29.9%)などの見た目の変化を挙げる人が多く、子世代の7割以上(70.4%)が、親の見た目に対する変化を感じています。しかし、「物忘れが多くなった」(24.4%)、「体の不調が増えた」(22.6%)、「食事の量が減った」(18.0%)などの認知や行動に関する変化に気付く子世代は少なく、それぞれ2割程度です。

次に、子世代に別居する自分の親の情報について知っていることを聞くと、「親の緊急連絡先」(75.8%)や「親の持病」(64.9%)は知っている割合が高い一方で、「親の日頃の運動習慣」(47.3%)や「親が健康維持のためにしていること」(44.2%)は4割台と少なくなっています。

また、子世代の約6割が「今の親の健康状態を正しく理解できていないと思う」(62.6%)と答えています。

一方、親世代からは子どもの負担になりたくないという「親心」が調査結果から垣間見えました。「子どもの負担になりたくないと思いますか?」という問いに、親世代の97.8%が「子どもの負担にはなりたくない」と答えています。また、子世代の約7割が「親ともっと会いたい」(69.1%)と答えていますが、「子どもともっと会いたい」と答えた親世代は52.8%にとどまっています。

そんな子どもに迷惑をかけたくないと思っている親世代に、最近のヒヤリハット体験を聞きました。すると、「物忘れ」(23.1%)、「健康診断の結果が悪かった」(11.8%)、「転倒などのアクシデント」(11.6%)などが多く、親世代のおよそ半数(46.2%)が何らかのヒヤリハット体験をしています。

また、前述のヒヤリハット体験を子どもに伝えたかと聞くと、「健康診断の結果が悪かったこと」(46.6%)や「転倒などのアクシデント」(44.0%)は半数近くが子どもに伝えていますが、「火の消し忘れ」(34.7%)や「鍵の閉め忘れ」(21.8%)は子どもには連絡しない親の方が多くなっています。

子どもに心配をかけたくない親心からか、子どもに伝えることの少ないヒヤリハット体験。大きなインシデントとならないためにも、親子のコミュニケーションの見直しにはひと工夫が必要といえます。

親世代の8割、子世代の7割がこれからの親の老後について「親子で真剣に話し合った経験がない」

親や自身の老後について、将来を見据え具体的に話し合った経験を聞くと、子世代では75.0%、親世代では81.6%が「親子で真剣に話し合った経験がない」と回答しました。

話し合ったことがない理由を聞くと、子世代は「何をどう会話したらよいかわからない」(71.6%)がトップで、「親がまだ健康」(69.8%)、「まだ先のこと」(59.8%)が上位に、親世代は「子に迷惑をかけたくない」(90.3%)がトップで、「自分はまだ健康」(89.3%)、「子どもに頼ることを想定していない」(85.5%)と続きました。

親は子に気を遣い、子も親に配慮するという、お互いを気遣う気持ちが老後の話題を避ける理由となっているようです。

10年後、子世代の6割以上が「親には手助けが必要」と思う一方、親世代は「手助けが必要」と思っているのは約2割

自分の親が普段の生活で人の手助けが必要かと聞くと、現時点で「人の助けが必要」と考える子世代は21.5%でした。親が60代の場合6.4%しかいませんが、親が70代以上の場合37.2%が手助けが必要と答えています。一方、現時点で人の手助けが必要と答えた親世代はわずか2.3%で、年代別では60代で2.6%、70代で2.0%という回答でした。

10年後について考えてもらうと、親には人の助けが必要と考える子世代は61.8%と約3倍に増加。親が現在60代の場合は49.6%、親が現在70代以上の場合は74.4%と4人に3人は10年後は人の助けが必要になると考えています。一方、親世代は、10年後自身の生活に人の手助けが必要と答えたのは22.6%、60代は17.2%、70代は28.0%でした。

東京大学高齢社会総合研究機構長 飯島勝矢教授に聞く、医学的観点からのフレイル予防

健康長寿のために「フレイル予防」に取り組もう

人生100年時代、健康長寿がより重要となっています。年をとって心身の活力が低下した状態のことを「フレイル」と呼びます。虚弱を意味する英語の“frailty”を語源とする言葉で、多くの人が健康な状態からフレイルを経て、要介護状態に陥ると考えられています。

フレイル予防には、「栄養」、「運動」、「社会参加」が鍵であり、さらにこれらを包括的に工夫することが重要です。フレイルの兆候を早期に発見し正しい対処をすれば、フレイルの進行を抑制したり、健康な状態に戻すことができます。

親のフレイルサインの見つけ方

親のフレイルサインを知る方法をご紹介します。親の滑舌が悪くなりしゃべりが聞き取りづらく感じたら、口腔機能の低下=オーラルフレイルのサインです。滑舌の低下は咀嚼力(そしゃくりょく)や嚥下力(えんげりょく)の低下にもつながり、舌の力だけでなく、全身の筋肉も衰えているケースが少なくありません。また、親御さんと話をしていて、「ペットボトルのフタが開けづらくなった」「大きな道路を渡る途中で信号が変わってしまった」などと聞くようになったら、筋力の低下が考えられます。

フレイル予防には人とのつながりも重要です。一人で食べる「孤食」はフレイルにつながるリスクが高いといわれており、地域の集いなど誰かと一緒に食事ができる環境を心がけてください。みんなでわいわいするのが苦手な親御さんであれば、無理やり交流の場に引っ張り出すのではなく、気の合う仲間内での食事や趣味を勧めてみてはいかがでしょうか。例えば将棋が好きな方なら、大会に出よう、地域の子どもに教えてあげようなど、身近な目標があるとより効果的かもしれません。

さらに、これらの継続性のある予定を「マイスケジュール」として、自発的に入れていくことも重要なのです。老いに向き合い、健康寿命を延ばすためにも、親子で試したいフレイル予防のチェックポイントを挙げてみました。日常生活のちょっとした振り返りで、フレイルの兆候を確認できるかもしれません。

介護用品や福祉用具の利用は、老後を積極的に楽しむツールと考えて

フレイル予防の取り組みと介護用品の利用は相反する、と捉える方がいらっしゃるかもしれませんが、道具を使うことをネガティブなことと捉えるのはよくありません。例えば歩く機能が低下したのなら、杖を使うことでぐっと歩きやすくなり、外出も楽しめるようになるはずです。老眼になったらメガネをかけて映画や読書を楽しむのと同じように、道具で補えばよいのです。「歩きづらくなった→出かけたくない→人との交流がなくなる」というのでは「社会参加」も「運動」機能も低下します。もっと人生を楽しむために、介護用品や福祉用具などのツールをうまく活用しよう! そんなポジティブな気持ちで利用しましょう。

飯島 勝矢(いいじま・かつや)教授
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授 医師 医学博士
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座、米国スタンフォード大学医学部研究員を経て、2016年より現職。専門は老年学、特に健康長寿実現に向けた超高齢社会のまちづくり、地域包括ケアシステム構築、フレイル予防研究、在宅医療介護連携推進と多職種連携教育。内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員、厚生労働省「全国在宅医療会議」構成員、経産省「認知症対策官民連携実証プラットフォームプロジェクト」有識者構成員。著書に「老いることの意味を問い直す 〜フレイルに立ち向かう〜」(クリエイツかもがわ)、「東大が調べてわかった衰えない人の生活習慣」(KADOKAWA)、「健康長寿 鍵は“フレイル”予防 〜自分でできる3つのツボ〜」(クリエイツかもがわ)、「オーラルフレイルQ&A-口からはじまる健康長寿-」(医学情報社)など。

【「親のいま」に関する親子2世代の意識調査概要】
調査時期:2022年8月10日(水)〜8月12日(金)
調査対象:親世代(自身の年齢が60〜70代以上で別居の子どもがいる男女1,000人)、子世代(自身の年齢が20〜69歳で60代以上の別居する親がいる男女1,000人)
調査方法:インターネット調査
調査委託先:マクロミル
※一部設問では、子世代のうち実の親に対する意識として回答した子世代892人のスコアを掲出しています。また、構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

文/ふじのあやこ

 


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