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文・写真/御影実(海外書き人クラブ/オーストリア在住ライター)

『エリザベート』や『モーツァルト!』に代表される、音楽の都ウィーン発のミュージカル。脚本家ミヒャエル・クンツェと作曲家シルヴェスター・リーヴァイによる物語の深さや楽曲の美しさが特徴で、日本だけでなく世界各国でも上演されています。

現在ウィーンでは、同脚本家・作曲家の第三作目、『レベッカ』が大ヒット再演中です。ウィーンミュージカルの魅力と、『レベッカ』観劇の醍醐味をご紹介します。

ウィーンのミュージカル専用劇場「ライムント劇場」

『エリザベート』が作った伝説

オペラやオペレッタに代表されるクラシック音楽の聖地、ウィーン。そんな音楽の都にミュージカル文化は根付くのか? と懸念されつつ、1992年に初演された史上初のウィーン発ミュージカルが、『エリザベート』でした。

ハプスブルク家の美貌の皇妃を主人公にしたこの作品は、5年以上のロングランとなっただけでなく、その後13か国8か国語で上演される大ヒットとなりました。日本では、1996年の宝塚歌劇団の初演から現在に至るまで、大人気作品として上演が繰り返されています。

『エリザベート』は誕生から30年経った今でも最も愛されているウィーンミュージカル作品で、今年6月末から7月にかけての3日間、ハプスブルク家の夏の離宮シェーンブルン宮殿の中庭で、野外コンサートが予定されています。

『レベッカ』の魅力と楽しみ方

『レベッカ』は、イギリス人作家ダフネ・デュ・モーリエにより1938年に書かれた、同名のゴシック小説を原作とした「サスペンス・ミュージカル」。原作はアルフレッド・ヒッチコックにより映画化され、アカデミー賞作品賞を受賞しただけでなく、2020年にはNetflix映画にもなり話題となりました。

ミュージカル版『レベッカ』は2006~08年にウィーンで初演されました。その後、日本での3回の公演を含む世界12カ国10カ国語で上演され、2022年9月から再び故郷のウィーンでロングラン公演が始まり、現在に至ります。

『レベッカ』開演前に談笑を楽しむ人たち。

サスペンスを基調にした作品でありつつ、貴族たちが集う高級ホテルや大邸宅でのパーティーなど、ミュージカルらしい華やかさもふんだんにちりばめられ、1920年代の華やかなヨーロッパを感じさせる舞台装置や衣装。謎めいた物語の中にも、女性の成長と、困難に立ち向かう姿が描かれ、現代的な女性の在り方を見せてくれます。

ストーリーも秘密や謎を解き明かすスリリングな驚きの連続です。

身寄りのない主人公「わたし」は、イギリス貴族マキシム・ド・ウィンターと身分違いの恋に落ち、彼の求婚を受けて結婚。しかし、急死した彼の先妻レベッカは、美しく魅力的な女性としてイギリス中で知られた人物でした。彼の居城では、邸宅を取り仕切る「ダンヴァース夫人」をはじめ、レベッカとその不可解な死が人々の記憶に強く残り、「わたし」を苦しめます。マキシムは自分を本当に愛しているのか? レベッカの死の謎と真相を巡り、様々な人物の思惑が絡み合って物語は進みます。

『レベッカ』開演前の客席。

『レベッカ』再演キャストは、そうそうたるメンバーがそろっています。マキシム・ド・ウィンター役は、コンサートで来日経験もあり、日本にもファンが多いマーク・ザイベルト。ダンヴァース夫人役は、映画『アナと雪の女王』のドイツ語吹替でエルサ役を演じたヴィレミン・フェアカイク。ドイツ語圏ミュージカル界の人気の配役です。一方「わたし」役は、ウィーンデビューのニーンケ・ラッテン。若手でも実力は全く遜色なく、迫力の声量で劇場を魅了します。

なんといってもウィーンミュージカルの一番の魅力は、楽曲の美しさを際立たせるオーケストラです。「世界最高級のミュージカルオーケストラ」による重厚な演奏は「音楽の都」の劇場でしか味わえない感動です。

本場ウィーンでミュージカル観劇をするには?

『レベッカ』が上演されているのは、1983年建造の歴史あるライムント劇場です。ウィーンの著名な劇作家の名を冠したこの劇場は、2021年に改修工事が終わったばかり。1,400席の立体的な劇場で、どの席からも舞台がよく見えます。

ライムント劇場の客席は、平土間、1階席、2階席に分かれている。

ウィーンには、このライムント劇場の他にも、『ノートルダムの鐘』上演中のロナハー劇場と、二つのミュージカル専用劇場があります。この二つの劇場では、ロングラン公演が行われていて(7、8月は夏季休業)、半年~1年半ごとに演目が変わります。

ライムント劇場では、2024年1月まで『レベッカ』が上演された後、3月から『オペラ座の怪人』の上演が予定されています。ロナハー劇場は、2023年6月末の『ノートルダムの鐘』の千秋楽後に夏休みに入り、9月からウィーンが生んだロック歌手「ファルコ」をテーマにしたオリジナルミュージカル『ロック・ミー・アマデウス』が上演されます。

ウィーンではそのほかにも、第二のオペラ座「フォルクスオーパー」で『サウンド・オブ・ミュージック』『屋根の上のバイオリン弾き』『ラカージュ・オー・フォール』などが上演されている時期もありますので、ウィーン旅行を計画されている方は、上演予定をチェックしてみてくださいね。

文・写真/御影実(オーストリア在住ライター)
ウィーン在住フォトライター。世界45カ国を旅し、『るるぶ』『ララチッタ』(JTB出版社)、阪急交通社など、数々の旅行メディアにオーストリアの情報を提供、寄稿。歴史、社会、文化系記事を得意とし、『ハプスブルク事典』(丸善出版)など専門書への寄稿の他、監修やラジオ出演も。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員。

 


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