年齢を重ねるごとに目立ってくる白髪。かつては「黒く染めて隠す」ことが主流でしたが、数年前からは「あえて染めない」というグレイヘアの人々が注目されるようになりました。
グレイヘアの先駆者といえば、女優・歌手の中尾ミエさん、フリーアナウンサーの近藤サトさん。おふたりの魅力的な姿を見て、白髪染めから卒業する人が急増しました。そして、2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」には「グレイヘア」がノミネートされ、世の中にグレイヘアという選択肢が浸透し始めました。
グレイヘアを選択する女性たちの需要に応えるべく、2022年9月、白髪のある自然な髪色や髪質を生かし、グレイヘアを楽しむためのヘアケアアイテム『ビゲン グレイスタイル』シリーズが発売。CMには中尾さん、近藤さんが登場しています。11月に開催されたCMの発表会にお邪魔し、中尾さん、近藤さんに、年齢を受け入れ、人生100年時代を自分らしく自由に過ごす秘訣を伺いました。
グレイヘアは自然な選択ですが、移行期には工夫が必要
白髪染めのわずらわしさから卒業し、自分の変化を受け入れて生きていきたいと思っても、それまで行なっていた髪染めを止めるのには、相当な決断が必要です。
グレイヘアは「若さにしがみつかず、かっこいい」という見方もできますが、「老けた」とか「女をあきらめた」などと陰口をささやかれることも想像できます。加えて、「若く見られたい」「白髪染めをやめたら、おばあちゃんに見られるのが怖い」などさまざまな思いが渦巻き、なかなか移行できないというのが本音。
20年ほど前にグレイヘアに移行したという中尾ミエさんは、「人は必ず平等に老いていくからこそ、グレイヘアにするのは自然の流れでした」と語ります。
中尾さん
「老いに抗うのは限界があります。顔も肌も体も老いているので、トータルで見たときに、黒髪では不自然だと気付いたのです。それに、単に面倒だったということも大きいです。特にテレビは、白髪が目立つ。1ミリでも白髪が伸びてくると、そこが際立つので常に染めていなくてはなりません。いちいち染める手間をかけたくなかったのです」
コロナ禍で、人と会う機会が減り、ヘアサロンも休業が続きました。これを機に、不自然な白髪染めをやめ、グレイヘアに挑戦する人も増えました。
中には、挑戦したものの「移行期間が大変だった」という人もいます。それは、根元が白くなり、途中部分から黒いという“ツートンカラー”状態が目立つからです。髪が伸びるのは1か月に約1センチ、1年で約12センチと言われています。ショートヘアでも、グレイヘアが完成するまで1年以上かかります。
おふたりは白髪染めをやめて、グレイヘアにしていったのですが、どのように移行したのでしょうか。
中尾さん
「白くなっていった部分に色を入れて遊んでいました。赤、ピンク、紫をいれて遊べるのは白髪だからこそ。若い人にはできないアレンジを楽しんでいました」
近藤さん
「スプレーでツートンカラーをぼかすことができる、『ビゲン グレイスタイル』のような商品がなかったので、黒いヘアファンデーションを塗り、テレビに出ていました」
他にもターバンで隠したり、思い切ってショートにするなど、移行期間にはさまざまな苦労が。『ビゲン グレイスタイル』のツートーンカバースプレーで、根本と毛先をぼかしながら伸ばしていけば、ストレスがなさそうです。
また、おふたりはツヤツヤで美しいグレイヘアを維持しています。
中尾さん
「白髪は黄ばむこともあるので、トリートメントは不可欠だと思います。『ビゲン グレイスタイル』のグレイケアトリートメントは、自宅で使えて美しいグレイヘアを維持できるのがいいですね。当然、髪だけ手入れをすればいいわけではなく、体も顔もメンテナンスして、健康を維持しているからこそ、トータルで若々しく魅力的になるんですよ」
自然な状態を受け入れ、自分に正直に生きることで見えてくるもの
会場ではおふたりのヘアスタイルの変遷を紹介。中尾さんは15歳頃のデビュー当時、50代、そして現在の姿を。近藤さんは、20代後半から40代後半にかけての貴重な写真を公開しました。
そこでわかったのは、おふたりには、くせっ毛という共通点があったこと。しかし、当時の「社会の常識」としては、ストレートな黒髪が美しいとされていたので、そこに「寄せて」ヘアスタイルを変えたこともあったそうです。
近藤さん
「20代後半から白髪に悩まされ、白髪染めを欠かさず、ストレートパーマもかけていました。そのうちに、社会から押し付けられる美に自分を合わせている違和感を覚え始めたのです。やはり、私は私らしく生きていたい。それから1年以上かけてグレイヘアに移行していったのです。見た目こそ、“老けた”とも言われましたが、年齢や性別を越えて、人として楽しく、幸せに生きることの大切さに気づきました」
中尾さん
「このCMにも、たくさんのグレイヘアの女性が登場していますが、皆さんいきいきと若々しくおしゃれです。グレイヘアは、自分が思うほど、他人からは老けて見えないというのも一つの事実です。
“白髪=老けている”と自分自身で思い込まないこと。
かつてのように、美の概念が決まっており、そこに寄せて変えていくのではなく、人それぞれの美しさを認め合う時代です。多様な選択肢のひとつに、グレイヘアがある。そう捉えることが大切です。世の中は大きく変わっています。
それにグレイヘアにすると、黒髪では似合わなかった赤や白、ピンクなどカラフルな服がなじむようになります。ありのままの自分を受け入れ、健康的に過ごしていると、気持ちが若々しくなるので、“なんでもできる”と挑戦したくなるんです。これは私に起こった変化のひとつです」
近藤さん
「グレイヘアにしてから、老いの恐怖はなくなりました。自由にはつらつと楽しい毎日を生きている実感があります。それは、自分に正直に生きているからでしょう。加えて、無理をしていないから、他人に対しても寛容になりました。本当の意味での多様性を実感できたのも、グレイヘアに変えたことが大きく関わっています。自分の中に起こった変化が、世の中の常識に合わないことは多々あります。でも、それに自分を合わせていては、あっという間に一生が終わってしまう。まずは行動し、自分自身が幸せに生きることが大切です」
中尾さん
「人は平等に年を重ね、後戻りできません。白髪や肌の衰えなど、老いの痕跡を隠して生きるなら、積極的に加齢を受け入れ、胸を張って人生最後の日まで楽しく生きていきたい。そう思って生きていると、人間的にモテるようになり(笑)、多くの人と出会い、内面からいきいきと輝いてくるようになりますよ」
おふたりの話を伺っていると、老いることも楽しみになってきます。
さて、あなたはどのような自分になりたいでしょうか。
もし、今、白髪染めが負担だと思っているなら、グレイヘアに移行して、「あなただけの美しさ」を追求していくのも選択肢のひとつです。
中尾ミエ(女優/歌手)
1946 年 6 月 6 日生まれ、福岡県出身。1962 年、「可愛いベイビー」でデビュー。その大ヒットで一躍スターとなり、一時代を築く。デビュー当時から歌手の他にも映画やテレビドラマでも活躍し、映画製作者協会から新人賞も受賞。表現力の豊かさ、洒落たおしゃべりにも定評があり、トーク番組、バラエティ番組でも活躍。現在は、自分らしいグレイヘアを楽しむアーティストの一人として、またコンサート、ドラマ、映画の他、ミュージカルでは空中ブランコといったアクロバット等、様々なことに挑戦する姿が話題に。今年 10 月には、老いを楽しむ生き方のヒントを綴った、中尾ミエ初の書き下ろしエッセイ『76 歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる 70 代の心得帖』を上梓。
近藤サト(フリーアナウンサー/ナレーター)
女優。1968 年 7 月 11 日生まれ、岐阜県出身。91 年、フジテレビ入社後、アナウンサーとして主に報道番組や情報番組を担当。その後、フリーランスに転向してからは、バラエティ番組、ドラマ等のナレーションの他、コメンテーターとして幅広く活躍中。日本大学芸術学部放送学科で特任教授も務めている。2018 年にグレイヘアでメディアに出たことで大きな話題に。著書に「グレイヘアと生きる」。
画像提供/ビゲン グレイスタイル新CM発表会
文・構成/前川亜紀