来年、開館から25周年という記念の年を迎える「旧白洲邸 武相荘」。その美しき風景を余すことなく捉えた写真集が刊行された。概要をお伝えする。

太平洋戦争の最中に農家を買い取り、この地に移り住んだ白洲次郎と正子夫妻。次郎は晩年、「夫婦円満の秘訣は一緒にいないこと」と周囲に語っていたため、このようなツーショット写真は数が少ない。
ふたりが暮らした茅葺の母屋は現在、ミュージアムとして公開。手前の建物はレストランとなっている。

戦後の占領期、吉田茂の右腕としてGHQと対等に渡り合い、日本国憲法制定の経緯にも深く関わった白洲次郎。その夫人で、紀行文の名著『かくれ里』などで知られる随筆家・白洲正子。そんなふたりが亡くなるまで暮らし続けた家が「旧白洲邸 武相荘(ぶあいそう)」である。「武相荘」という名称は、かつてこの地が武蔵国と相模国の境に当たっていたことから、自らの性質を捩じって次郎が命名したものという。

そんなふたりの終の棲家は、正子が没して3年後の2001年10月より、「旧白洲邸武相荘」として一般に公開されるようになった。

「武相荘」の美景が満載

今回、刊行されたばかりの写真集は、そんな「武相荘」を取り巻く、美しき里山の風景を中心に、邸内に生い茂る、豊かな植栽の四季折々の有り様や、夫妻の暮らしぶりを如実に感じさせる遺愛の品々など、その全容を美麗なる写真で余すことなく伝える一冊。

「武相荘」の春夏秋冬を象徴する写真

入口に咲く春の桜。
夏も木陰が涼しげな散策路。
小高い斜面を彩る秋の紅葉。
雪景色に美しく映える庭の紅梅。

写真は、夫妻の長女である牧山桂子(まきやま・かつらこ)さんの雑誌連載等の撮影を担当し、長きにわたり「武相荘」の全てを撮影してきた写真家の浅井佳代子さんによるものである。また、「武相荘の四季」をめぐる両親との様々なエピソードを綴った、桂子さんのエッセイも収録。

今や貴重な武蔵野の原風景が存分に満喫できる写真が満載で、白洲ファンならずとも手に取ってほしい一冊となっている。

『旧白洲邸 武相荘の四季』
撮影/浅井佳代子 文/牧山桂子 B5判192ページ 5500円(税込)
小学館 電話:03・5281・3555

撮影/浅井佳代子 写真提供/旧白洲邸 武相荘(東京都町田市能ヶ谷7-3-2 電話:042・735・5732)

 

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