文・写真/坪井由美子(海外書き人クラブ/海外プチ移住ライター)
50代で思いきって始めたマルタでの新生活。前回の記事(https://serai.jp/kajin/1130064)では移住を決めた理由から準備、語学学校を決めたところまでお話ししました。いよいよ、久しぶりの学生生活のスタートです。大人留学って実際どんな感じなのでしょう? 今回は、私が体験した学校の様子をお届けしたいと思います。
マルタは英語留学の人気国
語学留学をするのって、若い人がほとんどなのでは? というイメージを持っている方が多いかもしれません。私もそうでした。留学サイトなどの体験記も多くが学生さんのもの。日本では社会人が長期休暇を取るのは簡単なことではないですものね。
英語の留学先といえば、アメリカ、イギリス、オーストラリア……アジアではフィリピンなどがメジャーどころでしょうか。それらに比べるとマルタは日本ではまだそれほど知名度が高くないものの、1814年から1964年までイギリスが統治していたため現在も英語が公用語のひとつで、欧州では英語留学先として有名。治安が良くてジュニアからシニア世代まで安心して滞在でき、日本人が比較的少ないので、英語を学ぶには絶好の環境だと思います。
マルタに30校以上もあるという語学学校の多くは、賑やかな繁華街であるセント・ジュリアンズやその隣のスリーマに集中しています。ACEは、そのなかでもナイトスポットとして名を轟かすパーチャビルの中心にありました。若者が好みそうな立地なだけに年齢層も低いのかな(うまくやっていけるかな)……と少々緊張しながら初日を迎えました。
ドキドキわくわくの初登校
語学学校の授業は1週間単位で受けることができ、毎週月曜日が入学日となっています。初日の朝にどきどきしながら登校すると、すでに学校前は受付を待つ新入生たちでいっぱいでした。
事前にオンラインで受けたテストの結果、振り分けられたのは午後のクラス。当時はバスを乗りついで1時間以上かかる場所に住んでおり、時差の関係で午前中は日本と仕事のやり取りも多かったので、私にとってはラッキーでした。もし午前中のクラスだったら、遅刻常習犯になっていたかもしれません(マルタのバスはあまり時間通りには来てくれないのです)。
クラスメイトはラテン系
そして迎えた初授業。先生は私より少し年上の明るく優しいマルタ人女性。12~13人ほどいるクラスメイトの国籍は、7割がコロンビア、2割がブラジル、1割はその他の国々といった割合で、大半が仕事のために英語を学びにきていました。コロンビアンがこれほど多いのは意外でしたが、最近は政治経済その他様々な理由から国外に出る人が増えていて、ビザの関係や費用面などでマルタ留学が人気なのだそうです。
コロンビアといえばコーヒーとカカオ豆の名産地、くらいの知識しかなかったのですが、彼らが温かく迎えてくれたおかげで初日からすっかり打ち解けることができました。クラスによってはヨーロッパやアジア圏の留学生の割合が多いところもありますが、私のクラスはまさにラテン系で、授業中も笑いが絶えず時間が過ぎるのがあっという間。先生がお休みの時などに何度か他のクラスで授業を受けることがあったのですが、授業の進め方も雰囲気も様々で、相性の良いクラスに恵まれて良かったなとつくづく思ったものです。
課外活動で楽しく国際交流
この学校を選んだ理由のひとつが、アクティビティ(課外活動)が豊富なこと。マルタに数ある語学学校のなかでも、ACEのようにアクティビティ専門のチームがあるのは珍しいようです。サッカーやダンスレッスン、コロンビアンパーティにブラジリアンパーティ、観光地をめぐるガイドツアーなど、毎日趣向をこらしたプログラムが用意されており、1週間ごとに発表されるスケジュールが楽しみでした。
毎週月曜日には新入生のためのウェルカムパーティが開かれます。国籍も年齢も様々ですが、海外からひとりでやってきて心細いのはきっと同じ。初対面でも仲間のように感じられるのは、だからでしょうか。クラスメイトとは校外でも多くの時間をともにし、色んなことを語り合いました。不思議なことに、私のポンコツ英語でも彼らとは通じ合えたのです。私は、マルタで自分の居場所ができた喜びを感じていました。
ACE English Malta(語学学校):https://www.aceenglishmalta.com/
文・写真/坪井由美子
ライター&リポーター。ドイツ在住10数年を経て、世界各地でプチ移住しながら現地のライフスタイルや文化、グルメについて様々なメディアで発信中。著書『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)。「海外書き人クラブ」会員(https://www.kaigaikakibito.com/)。