忙しくても毎日の食事はきちんと取りたい。そんな思いから、作り置きをしている人も多いと思いますが、何品もまとめて作るのは実は手間がかかるもの。
「塩」と「砂糖」と「水」を一定の割合で混ぜた液に、肉や魚を漬けてから調理することでおいしくふっくらジューシーに仕上げることができる画期的な調理法「塩糖水漬けレシピ」が話題となった人気料理研究家、上田淳子さんが提案するのは、レシピ不要でササっと料理が作れるようになる、ムダをそぎ落としたフランス流のミニマルレシピ。これらは、上田さんがフランスで料理修業をしていたときに出会ったマダムたちがもてなしてくれた料理がヒントになったそう。
美食大国フランスの日常ごはんは、時間も手間もかけず、シンプルな調理法で、たんぱく質と季節の野菜の一皿があればOKというシンプルで合理的なもの。無理なアレンジをせずに、素材をおいしく食べる術を知ることが、大人の洗練された食の愉しみであることを教えてくれます。
作り置きも献⽴も不要、道具はひとつあれば⼗分、味付けは“塩”だけ。驚くほどミニマルでお手軽なメソッドなのに、おいしくて見栄えもする「フランス的ごはん」が完成するのだから、こんなにうれしいことはありません。
今回は、発売後すぐに重版になるほど話題の上田さんの最新著書『フランスの台所から学ぶ 大人のミニマルレシピ』(世界文化社)から、代表的な「肉の軽い煮込み」と「肉は焼くだけ」のレシピをご紹介します。栄養バランスもよく、ごはんにもパンにもパスタにも合う料理です。
文/上田淳子
鶏もも肉のレモンハーブ煮
レモンとハーブで蒸し煮するだけでビストロのような仕上がりに。
暑い日にもさっぱりといただけます。
【材料(1人分)】
鶏もも肉(から揚げ用) 4~5個(120~150g)
玉ねぎ(薄切り) 2分の1
白ワイン 50ml
A
レモン(輪切り) 1枚
ローズマリー 約5cm ※タイムやオレガノ、バジルでも
水 50ml
オリーブ油 小さじ2
塩、こしょう 各適量
【作り方】
1.鶏もも肉に塩ふたつまみ、こしょう少量をすり込む。
2.フライパンにオリーブ油小さじ1を熱し、1の皮目を下にして並べる。中火で両面に軽く焼き色がついたら取り出す。
3.フライパンの油をペーパータオルで吸い、残りのオリーブ油、玉ねぎを入れてしんなりするまで中火で炒める。白ワインを加えて水分が半量になるまで煮詰める。
4.3に2を並べ、 Aを加えて蓋をし、煮立ったら弱めの中火にして火が通るまで約5分煮る。蓋を取り、火を強めて少し煮つめ、塩、こしょうで味をととのえる。
[memo]
クミンやコリアンダー、カルダモンをAと一緒に入れると、パンチのある味が楽しめます。
ポークソテー トマトとバジルのソース
さっと和えたサラダがソースに。
フレッシュトマトの爽やかな酸味と甘みが豚肉にぴったり!
【材料(1人分)】
ロース肉(ステーキ用) 1枚(100〜120g)
トマト(1cm角に切る) 中1個
バジルの葉 4枚 ※大葉や万能ねぎでも美味
オリーブ油 大さじ1弱
塩、こしょう 各適量
【作り方】
1.豚ロース肉は常温にもどす。ボウルにトマトを入れ、バジルの葉をちぎり入れる。塩ひとつまみ、こしょう少量、オリーブ油大さじ2分の1を加えて和える。
2.1の豚肉の筋を両面から切り、塩ふたつまみ、こしょう少量をすり込む。
3.フライパンにオリーブ油小さじ1を熱し、2を中火で焼く。片面2分半~3分焼いてこんがり焼き色をつける。皿に1のソースを盛り、肉をのせる。
[memo]
豚肉は冷蔵庫から出して15分くらい置きます。
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上田淳子(うえだ・じゅんこ)
料理研究家。神戸市生まれ。辻学園調理技術専門学校卒業後、同校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスのホテルやパン店、フランスではミシュランの星付きレストランやシャルキュトリーなどで約3年間の研鑽を積む。帰国後、シェフパティシエを経て料理研究家として独立。自宅で料理教室を主宰するかたわら、雑誌やTV、広告などでも活躍。ワインに合う日本食の提案イベントや、双子の母としての経験を生かした食育についての活動も行う。確かな技術や知識、経験に基づいたレシピ集は、わかりやすさと作りやすさに定評がある。近著に『上田家ごはん』(文化出版局)、『今さら、再びの夫婦二人暮らし』(オレンジページ)など多数。