現代アメリカを代表する絵本作家、ピーター・シス。シスの絵本は、祖国チェコへの想いを描いた作品、小さな子どもたちのための作品、広い世界を旅した英雄の物語、ダーウィンやガリレオなど強い意志を貫いた偉人の伝記など、そのテーマは様々です。
また、アニメーションや新聞・雑誌の挿絵、公共空間のためのアート・プロジェクトなど、その創作の軌跡には表現することの渇望と喜びがあふれています。
八王子市夢美術館の「ピーター・シスの闇と夢」は、シスが人生をかけてつむいだ作品の数々を紹介する展覧会です。(6月30日~8月31日)
本展の見どころを、八王子夢美術館の館長、川俣高人さんにうかがいました。
「国際アンデルセン賞など数々の絵本賞で称えられ、多くの人々を魅了するピーター・シスは、現代アメリカを代表する絵本作家です。
1949年にチェコスロヴァキア(現チェコ共和国)に生まれ育ったシスは、冷戦下、独創的な表現が許されがたい状況にあった祖国から逃れ、自由な表現を求めてアメリカでの活動を選びます。それまで、ベルリン国際映画祭アニメーション部門で金熊賞を受賞するなど、アニメーション作家として活躍していたシスですが、アメリカでは主に絵本作家として、その活動の幅を広げました。
『三つの金の鍵―魔法のプラハ』と題された絵本は、シスの記憶のなかにある祖国チェコのプラハを巡る旅の物語です。シスは、アメリカで生まれてチェコを知らない愛娘マドレンカのために、自分が生まれ育った故郷についての絵本を描きました。『三つの金の鍵』は、思い出を封じ込めた我が家の扉を開けるための魔法の鍵。シスの望郷の想いが込められた作品です」
絵本やアニメーションほか、シスの幅広い創作活動を原画やポスター等で一望できる展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
ピーター・シスの闇と夢 Peter Sís:Labyrinths and Dreams
会期:2023年6月30日(金)~8月31日(木)
会場:八王子市夢美術館
住所:東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2階
電話:042・621・6777
公式サイト:https://www.yumebi.com
開館時間:10時から19時まで(入館は18時30分まで)
休館日:月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝