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梅の花もほころぶ3月3日。五節句のひとつ、上巳の節句は、雛人形を飾り、桃の花や菱餅を供えて白酒で祝う女の子の行事として親しまれています。

本来この上巳は、中国の古い風習を元にした、手作りの人形に災いや穢れをうつして水辺に流すという習わしが起源とされ、今の日本にも地方によってはこの行事がいろいろな形で伝わっています。こうした習俗と小さな人形を用いたまじないや遊びが混じり、雛まつりへと形を変えていきました。なお、現在のような段飾りが生まれたのは江戸時代になってからといわれます。

この春、尾張徳川家の雛飾りを紹介する恒例の展覧会が開かれています。(4月2日まで)

有職雛 貞徳院矩姫(尾張徳川家14代慶勝正室)所用 徳川美術館蔵

本展の見どころを、徳川美術館の学芸部マネージャー、加藤祥平さんにうかがいました。

「本年度も3月3日の桃の節供に合わせて、尾張徳川家ゆかりの雛飾りを展示します。

女の子の健やかな成長と幸せを願う華やかな行事である雛まつりは、尾張徳川家でも大切な年中行事のひとつでした。

抱牡丹紋蒔絵雛道具 三棚飾り 俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用 徳川美術館蔵
菊折枝蒔絵雛道具 貝桶・合貝 俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用 徳川美術館蔵

婚礼調度の精緻なミニアチュールである雛道具や、公家の装束を纏い、気品のある顔立ちの有職雛といった江戸時代から伝来する雛飾りは、御三家筆頭であった尾張徳川家ならでの重厚な品格をお楽しみいただけます。

尾張徳川家三世代の雛段飾り

また、明治から昭和にいたる尾張徳川家三世代の当主夫人たちの、高さ2メートル・間口7メートルにおよぶ豪華な大雛段飾りが、展示室に所狭しと並ぶ様子は圧巻です。

江戸時代から近代まで、贅を尽くした尾張徳川家ゆかりの雛飾りをご覧頂きながら、うららかな春の訪れを感じていただければ幸いです」

春爛漫の季節にふさわしい華やかな雛飾りの数々。ぜひ会場でご堪能ください。

【開催要項】
特別展 尾張徳川家の雛まつり
会期:2023年2月4日(土)~4月2日(日)
会場:徳川美術館
住所:名古屋市東区徳川町1017
電話:052・935・6262
公式サイト:https://www.tokugawa-art-museum.jp
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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