80歳の料理家・村上祥子さんの元気の源は「発酵食」。
発酵食で腸内環境を整えることが健康にいいということを知っている方は多いと思いますが、ぬか漬けなど、作るのに手間がかかるイメージがあります。
そこで、楽して無理なく続けられる発酵食のレシピを、村上祥子さんの著書『80歳、村上祥子さんの長生き発酵食レシピ』から紹介します。
文/村上祥子
酒かすペーストの作り方
日本酒を醸造する過程で、アルコール発酵したもろみを圧搾した際に残るのが酒かすです。それは、たんぱく質、アミノ酸、食物繊維、ビタミンB群などまさに栄養の宝庫。酒かすに含まれるα–EGという成分はコラーゲンを増やす働きがあり、美肌効果も期待できます。酒かすは酒で溶きのばすだけでも使えますが、アルコール分が強くなるのが玉にきず。ご紹介する酒かすペーストは砂糖、水で溶きのばすので、アルコール分を気にせずたっぷりいただけます。
【材料】(できあがり300g分)
酒かす 200g
水 100mL
塩 小さじ1/3
砂糖 大さじ1
【作り方】
1.酒かすは2センチ角に切って耐熱ボウルに入れ、水を加える。ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で2分加熱する。
2.取り出して、泡立て器でクリーム状になるまで混ぜ、なめらかになったら、砂糖を加えて混ぜる。清潔なびんや保存容器に移す。(保存期間:冷蔵で約1か月間、冷凍で約2か月間)
パワーアップ食材
酒かすとは、人が体内で生成できない必須アミノ酸をすべて含んだ栄養の塊ともいえるもの。酒石(しゅせき)酸やコハク酸、ピルビン酸などを含み、抗酸化作用や肥満予防、血栓改善効果のほか、最近では、脳の老化予防にも効果があることがわかってきました。
サバのかす汁の作り方
塩サバのうま味が溶け込んだかす汁で、体の芯からぽかぽかに。酒かすの力でサバのくせも気になりません。
【材料】(2人分)
塩サバの切り身(甘塩) 1/2切れ(50g)
里いも 1個(50g)
大根 2cm(50g)
にんじん 4cm(50g)
水 250ml
A酒かすペースト 大さじ1
Aみそ 小さじ2
万能ねぎ(小口切り) 適量
【作り方】
1.サバは半分に切る。
2.里いもは1cm厚さの輪切りにする。大根とにんじんは1cm角の棒状に切る。
3.鍋に2と水を入れて火にかけ、煮立ったらアクを除き、中火で里いもと大根がやわらかくなるまで煮る。
4.サバを加え、1~2分煮て火が通ったら、Aを加えて溶かし、煮立ったら火を止める。
5.器に盛り、万能ねぎを散らす。
スティック野菜とチーズの酒かすディップの作り方
酒かすがたっぷりとれる腸活ディップ。マーマレードのほろ苦さは、ワインとも相性抜群。
【材料】(2人分)
きゅうり 1本(100g)
にんじん 小1/3本(30g)
ラディッシュ 2個(20g)
赤かぶ 1/2個(50g)
カマンベールチーズ 50g
A酒かすペースト 大さじ2
Aマーマレード 大さじ1
【作り方】
1.きゅうりとにんじんは7mm~1cm角のスティック状に切る。ラディッシュは十字に切り目を入れ、赤かぶはスライサーで薄切りにし、それぞれ冷水に放してパリッとさせ、水気をきる。カマンベールチーズは半分に切る。
2.器に1をのせ、混ぜ合わせたAを添える。
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『80歳、村上祥子さんの長生き発酵食レシピ』(村上祥子 著)
世界文化社
村上祥子(むらかみ・さちこ)
1942年福岡県生まれ。料理研究家。管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授。「ちゃんと食べて、ちゃんと生きる」をモットーに、料理家のキャリアは50年以上。健康長寿を体現する電子レンジ調理のオーソリティ。本書は、70数年間、毎日欠かさず食べている発酵食レシピの集大成。