東京藝術大学の学生を対象としたアートコンペティション「藝大アートプラザ・アートアワード2026」の授与式が2026年3月18日、藝大アートプラザを会場にして開催されました。

授与式には、各賞受賞者のほか、審査員を務めた藝大アートプラザ所長・東京藝術大学美術学部教授の箭内道彦氏や相賀信宏・小学館代表取締役社長らが出席。各賞の受賞者に、賞状などが贈呈されました。

「アートアワード2026」授賞式の様子と、受賞者代表によるスピーチの一部をご紹介します。

東京藝術大学の岩田広己理事「今後の期待が高まる作品」

東京藝術大学・岩田広己理事。

冒頭、東京藝術大学の岩田広己理事が登壇され、受賞者一同にお祝いの言葉を述べました。

「第20回の節目にふさわしい非常に素晴らしい作品が並んだと思う。学生の力が感じられるし、今後についても期待できる作品が多かったと思う」。当日やむなく欠席となった日比野克彦学長からのメッセージも代読。日比野学長は祝辞に続けて関係者への謝意を述べ、「この藝大アートプラザ・アートアワードは、大学としてもとても大切なアワード。参加してくれる学生たちを育てるとともに、藝大アートプラザもともに成長するように努力を続けていきたい」と、アートアワードの存在意義について語ってくれました。

その後受賞式へ。今年度の大賞を受賞した上垣内若葉さんへ、箭内・藝大アートプラザ所長が賞状とトロフィーを授与されました。

箭内・藝大アートプラザ所長と大賞受賞者の上垣内若葉さん。

準大賞を受賞した海田通孝さんと望月嶺さんには、橋本和幸・東京藝術大学美術学部長と海老原高明・小学館専務取締役から、それぞれ賞状とトロフィーが贈られました。

橋本和幸・東京藝術大学美術学部長と準大賞受賞の海田通孝さん。
海老原高明・小学館専務取締役と準大賞受賞の望月嶺さん。

小学館賞の受賞者・宇野萌花さんには小学館の相賀信宏社長から賞状とトロフィーが授与されました。

相賀信宏・小学館代表取締役社長と宇野萌花さん。

受賞者のみなさんの情熱が詰まった作品詳細と、入選者のお名前はこちらから

大賞受賞・上垣内若葉さんのスピーチ

「この度は藝大アートプラザアートアワード大賞という、大変光栄な賞をいただき、誠にありがとうございます。

まず、このような機会を設けてくださった藝大アートプラザの皆さま、そして作品を丁寧にご覧くださり、評価してくださった審査員の皆さまに、心より御礼申し上げます。

私は現在、美術学部工芸学科の最終学年である4年生ですが、4年前、藝大に入学した際、このアートアワードの存在を知り、いつかこの場所で評価をいただけたらと夢見ていました。その舞台でこのような賞をいただくことができ、今は大きな喜びと同時に、少し信じられないような気持ちでこの場に立っています。

日比野学長の講評の中に、「展覧会の場で良いと感じる作品と、自宅に持ち帰りたい、あるいは誰かに贈りたいと感じる作品は、必ずしも同じではない」という言葉がありました。その一節を読んだとき、自分がなぜ工芸を学ぼうと思ったのか、その原点を改めて思い出しました。

上垣内さんの受賞作『よいしょ -キミのおかげ-』。お尻のツヤッとした造形には特にこだわったという。

私が工芸の道を志した理由の一つは、作品を通して「誰か」に、一対一で作品を届けたいという思いがあったからです。展覧会の場で鑑賞される作品ももちろん魅力的ですが、工芸にはもう一つ、生活の中に入り込む力があると思っています。

誰かの机の上や食卓、あるいは部屋の片隅に置かれ、日々の暮らしの中でふと目に入る。そしてその瞬間に、少し元気づけられたり、和んだり、あるいは小さなワクワクを感じてもらえたりする。そんなふうに、作品が誰かの暮らしのそばに寄り添い、その人の時間の一部になることに、私は工芸の魅力を感じています。

今回このような賞をいただけたことは、自分が大切にしてきたその思いを、もう一度確かめる機会にもなりました。これを大きな励みに、これからも土という素材と向き合いながら、試行錯誤を重ね、少しずつでも自分の作品を深めていきたいと思います。土はとても素直な素材でありながら、同時に思い通りにならない難しさも持っています。その素材と対話するように制作を続けながら、これからも自分なりの表現を探し続けていきたいと思います。

最後になりますが、日頃よりご指導くださっている先生方、共に窯を焚き制作に向き合っている友人たち、そしていつも支えてくれている家族、さらにこのアートアワードに関わっているすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

この作品が、誰かの暮らしの中にそっと置かれ、長い時間をともに過ごす存在になれば、とても幸せです。そしてそのような作品をこれからも作り続けていけるよう、これからも土と向き合い続けていきたいと思います。
本日は誠にありがとうございました」

箭内所長の総評

今年の審査会では、各審査員からさまざまな評価があり、とても難しい審査だったことを振り返ったうえで「藝大はいろいろなところで社会と繋がっている。アーティストは自らつながりを広げることも大切だが、時に“閉じる”ことも必要だと思う。そういう意味で、学生たちが自ら温めてきた世界観を表現でき、それを社会に対して投げかけることができるこのアートプラザという場所は非常に大事な場所だと思う。

そして、上垣内さんがおっしゃっていたように、自分の作品が誰かの手にわたり、誰かの日常の中に溶け込んでいくということを意識することは、この難しい時代においてアーティストにとってとても大切なことだなと私も感じる」などと、時折ユーモアを交えながらお話されました。

 

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