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歳を重ねるにつれて高くなっていくのが血圧の数値。厚生労働省によると、2020年の患者調査で主な疾病の患者数のトップとの結果が出ています。収縮期血圧の保健指導判定値である130を基準に、高血圧にならないように生活習慣を整えることが大切です。

ただ、現代はいくら気をつけていても、寝不足など生活習慣の乱れやストレス、思いがけない事態など、血圧が上がる要素が多い時代です。「薬だけに頼らない薬剤師」として、超短期間で健康診断の数値改善を行なう長島寿恵さんは、日常生活での体の使い方を修正することで高血圧を予防しながら、「人生100年時代」を上手に生きていく考え方や運動を提唱しています。

今春、台湾でも出版されるほど注目を集めている著書『薬に頼らず血圧を下げる1回1分降圧これだけポーズ』(PHP研究所)から、高血圧の改善へとつながる食事の摂り方をご紹介します。

文/長島寿恵

日本人の食塩摂取量はWHO基準の2倍以上!

日本人は従来、塩分の多い食生活を送ってきました。その背景には、漬物や干物などの塩蔵品を好み、しょう油、味噌といった塩分濃度の高い調味料を日常的に使う食文化が深く関係していると言われています。現在、日本人の平均塩分摂取量は1日10.2グラムとなっています(厚生労働省「国民健康・栄養調査」2018年)。しかし、WHO(世界保健機関)が示している食塩摂取量の目標値は1日5グラムですから、日本人は2倍以上の食塩を摂っていることになります。

厚生労働省は減塩を目的として、2015年に1日の食塩摂取量の目標値を、男性8グラム未満、女性7グラム未満に改定しました。さらに、日本高血圧学会のガイドラインでは、1日あたりの塩分摂取量の目標を6グラム未満と設定しています。血圧が高めの方は、一般の摂取量より1日1〜2グラムほど控えましょうということです。しかし実際問題として、濃い味つけに慣れてきた方にとって、食事の塩分を減らすことはかなり難しいことでしょう。そこで、減塩のための簡単なコツをいくつか紹介します。

「ひと手間」かけた調理法で塩分を減らす

調理法を少し工夫するだけでも、塩分を減らすことができます。たとえば出汁をとるとき、市販の化学調味料を使っているご家庭も多いことでしょう。化学調味料は安価で、手っ取り早く味を調えることができるので便利なのですが、塩分がかなり多く含まれています。味噌汁が体によいからといって、化学調味料を毎日大量に使っていると、高血圧のリスクは高まってしまいます。

高血圧改善のためには、「ひと手間」かけて煮干しや昆布、鰹節、貝柱、切り干し大根、干しエビなどで出汁をとりましょう。たとえばお好み焼きをつくるときなども、「ひと手間」かけてとった出汁で小麦粉を溶くと、ソースが少なくてもおいしく食べられます。

酸味を利用する

サラダなどにかけるドレッシングは、市販のものではなく自家製のものを使用します。しょう油にレモンやかぼすなどの柑橘類を搾って加えるだけで、しょう油の量を減らしてもおいしいドレッシングができあがります。

薬味やスパイスを使って風味を生かす

生姜、わさび、みょうが、紫蘇、ねぎ、にんにくなどの薬味を使うことで、薄味でも風味豊かに仕上がります。シナモン、胡椒、ウコン、カレー粉、山椒、ういきょうなどのスパイスを上手に使うと味が代わり映えして、減塩にも役立ちます。

漢方医学には、五味(酸・苦・甘・辛・鹹)は「少しは補うが多くは破る」という考えがあります。塩(鹹)も、微量であれば体を調整する作用がありますが、過剰となると害するということ。塩も上手に使えば、「食肴の将」(食物でもっとも大切なもの)となるのです。

油の種類と摂り方に気をつける

高血圧の方は、塩分に気をつけている方が多いと思いますが、油の摂り方も大切です。油の種類によっては、摂りすぎると血栓や体の炎症を引き起こすものがあれば、逆に抑えるものもあるからです。

脂肪は、主成分の脂肪酸によって大きく2つに分けられます。1つめは、肉類やバター、ラードなどに多く含まれる、常温で固体の「飽和脂肪酸」です。これはエネルギー源として重要な脂肪酸ですが、摂りすぎると血液中の中性脂肪やコレステロールを増やし、体脂肪として蓄積されてしまいます。

2つめは、常温で液体の「不飽和脂肪酸」で、「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類されます。「一価不飽和脂肪酸」の代表は、オリーブオイルです。これは「ヘルシーオイル(健康的な油)」として知られていて、動脈硬化や心疾患、高血圧を予防する働きがあると言われています。そのまま野菜類にかけて食べてもおいしいですし、炒めものや揚げものなどの加熱調理に使えるので便利です。「多価不飽和脂肪酸」には「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」があり、これらは食事で摂取しなければならないことから、「必須脂肪酸」と呼ばれています。

高血圧の改善で気をつけたいのは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取バランスとともに、それらの過剰摂取です。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、どちらも体の細胞や組織をつくる構成成分として欠かせない脂肪酸です。しかし、近年は食生活の変化から、両者の摂取バランスが大きく崩れていることが問題視されています。オメガ6脂肪酸の豊富な食用油は、炒めものや揚げものなどによく使われているほか、さまざまな食品に含まれています。菓子類、即席麺、食パン、加工品、ファストフード、マヨネーズ、ドレッシングなど、書き出せばきりがないほどです。これに対してオメガ3脂肪酸は、エゴマ油やアマニ油が加熱調理に適さないうえ、日本の食卓に魚介類が並ぶことが減ったことから、補給源が限られています。

厚生労働省は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率を4:1にすることを推奨していますが、まずは、オメガ6脂肪酸の摂りすぎに気をつけることが大切です。

血圧を下げる食事「4つの心得」

「血圧を下げる食べ方」の最後に、私が考える「心得」を4つ挙げさせていただきます。

感謝の気持ちで戴く

私たちの体は食べたものからつくられます。野菜にしても肉にしても、自然由来の食品は、すべて生きものです。つまり、私たちはほかの生物の命を戴いて生きています。ですから、感謝の気持ちで戴くことがとても大切です。「腹八分目」を心がけ、自分の力を発揮するための必要量だけ戴きましょう。食べすぎるということは、その命を必要以上に犠牲にすることです。食物をつくってくださる方々にも感謝して戴きます。そうすると、つくってくださる方々も、食べる人の体にやさしい食物をつくってくださります。その循環が、血圧の安定にもつながっていきます。

よく噛んで落ち着いて戴く

現代社会では忙しい方が多いことから、あくせくと食べている姿をよく見かけます。時間を気にして急いで食べたり、イライラしながら食べたりしていると、交感神経が優位となり、血圧が上昇したり不安定になったりしてしまいます。そもそも、「食べる」という行為は、本来は副交感神経の働きを高めるはずのもので、リラックスした時間を過ごせるものなのです。食事のときは、ゆったりとした気分で、落ち着いて戴きたいものです。味わいながらよく噛んで食べると、免疫力がアップしたり「若返りホルモン」が分泌されたり、体を元気にする物質が唾液からたくさん分泌されると言われています。お気に入りのお店へ出かけておいしいご馳走を食べるなどして、リフレッシュしましょう。

よい姿勢で戴く

たとえば、背中が丸まった前かがみの姿勢で食べると、内臓を圧迫して消化によくありません。日常動作同様、食事のときも骨盤を立て、背筋をスッと伸ばして食べるよう心がけましょう。よい姿勢で食事をしていると、食べたものが効率よく吸収され、全身の細胞へとスムーズに栄養素が行き渡り、血圧の安定にも影響を及ぼします。なにより、よい姿勢で食べていると、見た目もステキですよね。

体内時計に合わせて戴く

私たちには「体内時計」があることは、みなさんご存じだと思います。体内時計は、朝起きて太陽の光を浴びることでそのスイッチが入ります。そして、一定の時間に規則正しく食事を摂ることにより、その時間になると胃腸が活発に動き出す習慣が身につきます。エネルギー代謝が向上し、血圧にもよい影響を与えます。夜は、日中がんばって働いてくれた体を「お休みモード」にしていきます。その「お休みの時間帯」に食べ物を口にすると、その消化のために消化酵素が動員され、その分、本来は細胞の修復などに働く代謝酵素の活性が鈍くなってしまいます。さらに、夜は消費エネルギーが減り脂肪が蓄積されやすいので、夜食は控えめにしましょう。就寝前の食事は肥満の原因となり、血圧の上昇にもつながります。

『薬に頼らず血圧を下げる1回1分降圧これだけポーズ』(長島寿恵 著)
PHP研究所

▼詳細はこちら
https://www.php.co.jp/family/detail.php?id=84643

長島寿恵(ながしま・ひさえ)

薬剤師・健康運動指導士。健康増進コンサルティング株式会社代表取締役。青森県出身。東京薬科大学薬学部薬学科卒業。大学在学中からエアロビクスのインストラクターとして活躍。その後、運動指導を続けながら薬局勤務を経て現職。「お薬だけに頼らない薬剤師」として、全国の自治体、企業、健康保険組合、学校などで講演活動を行なう。参加型でアクティブな講演は「簡単、明瞭、即効力! 体が喜ぶ講演だった」とリピーターが後を絶たない。東洋医学の考えと武道の動きを取り入れ、超短期間で健康診断の数値結果を改善するだけでなく、休職しがちだった従業員の心身の不調も改善。オーダーメードの、からだ調整「時間体操」で、個人だけでなく企業の健康もサポート。近年は働き方改革や健康経営のコンサルティングにも注力している。著書に『薬に頼らずコレステロール ・ 中性脂肪を下げる方法』(アチーブメント出版)、『血圧が下がる生き方』(笠倉出版社)がある。
https://kenkouzoushin.co.jp/
https://hisaestyle.com/

 


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