「季節の花々と旅」をテーマに、日本全国の見頃の花を愛でることができるスポットと、近隣のおすすめの宿の情報、季節の花の楽しみ方をお届けします。今から旅の計画を立てられるように、情報を先取りしてご紹介しましょう。
今回は、「紫陽花」を取り上げます。見ごろは6月上旬から7月上旬ごろ。全国には「あじさい寺」と呼ばれる紫陽花の有名な寺院がいくつも点在しています。青、紫、桃色と鮮やかに咲く紫陽花と、風情ある古刹との競演は、梅雨の憂鬱な気分も忘れさせてくれることでしょう。
旅時間を心豊かにしてくれる「紫陽花を愛でる宿」を「一休.com」から厳選しました。宿泊したいホテルを見つけたら、<一休ボタン>をクリックしてください。「一休.com」でWeb予約が可能です。
降り続く雨のなかでもひときわ美しく咲き誇る紫陽花を、愛でに出かけてみませんか。
1:奈良春日奥山 月日亭(奈良県)
写真・情報提供/一休.com
世界文化遺産「古都奈良の文化財」のひとつである春日山原始林。平安時代に仁明天皇の勅命によって狩猟伐採が禁じられて以来、春日大社の神域として守られて来た“鎮守の森”です。
そのただなかにある『1日4組の料理旅館 奈良春日奥山 月日亭』は、明治35年(1902)に奈良県知事が要人をもてなす迎賓館として建てられました。窓の外には手つかずの森が迫り、その厳かな雰囲気はまさに神域。心身ともにリフレッシュできることでしょう。
▷近隣の紫陽花スポット
この宿から車で40分ほどの場所にある「矢田寺」は、正式名称は「金剛山寺」と言い日本最古の延命地蔵菩薩(重要文化財)を本尊としています。約1300年前に創建され、現在は矢田寺北僧坊・矢田寺大門坊・矢田寺念仏院・矢田寺南僧坊の4つの僧坊を総称して矢田寺と呼ばれています。
紫陽花が植えられたのは昭和40年ごろから。現在では約60種1万株の紫陽花が咲き誇ります。開花時期には「アジサイ園」が開園します。今年は5月27日(土)から7月2日(日)まで、開園時間は8時30分から17時、入山料は大人700円です。
▷この宿ならではの魅力
写真・情報提供/一休.com
全4室の客室はすべて離れとなっており、聞こえてくるのは野鳥のさえずりや、川のせせらぎ、木々の葉擦ればかり。都会の喧騒とは無縁な滞在を満喫できます。
夕食は四季折々の素材を生かした「四季会席」か、和牛の「陶板会席」が選べます。朝食では郷土料理の「茶粥」も人気。「ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良」にも連続掲載されたという料理の数々も旅を彩ってくれることでしょう。
情報
TEL/0742-26-2021
住所/奈良県奈良市春日野町158番地
室数/4室
おすすめプランは、「~1棟貸切 和室+ベッドルーム「桜」リニューアル記念 2大特典付き~」夕朝食付き2名で121,000円~。
2:葛城北の丸(静岡県)
写真・情報提供/一休.com
一年を通して温暖な気候に恵まれた静岡県袋井市にある、名門と誉れ高いヤマハリゾートの「葛城ゴルフ倶楽部」。そのゴルフ場に隣接する『葛城北の丸』はお堀に囲まれた、まるでお城のような豪壮な日本建築のお宿です。
一万坪の広大な敷地を有し、春は梅・桜・つつじ、初夏には紫陽花・百合、夏から秋にかけては萩・百日花、そして冬には紅葉・石蕗などが目を楽しませてくれます。
▷近隣の紫陽花スポット
養老年間(712年ごろ)、行基によって開創されたと伝えられる「極楽寺」はこの宿から車で40分ほど。行基が「極楽へゆく人の乗る紫の雲の色なるあじさいの花」と詠んだことにちなみ境内に紫陽花が植えられました。現在では30種類以上13,000株が6月上旬から7月上旬にかけて見頃を迎えます。
境内の表参道から裏山の木立まで群生する紫陽花は、ほかではあまり見られない珍しい品種もあるそう。開花時期に開催される「あじさい園」は、今年は6月3日(土)から7月2日(日)まで。入園料は中学生以上が500円です。
▷この宿ならではの魅力
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北陸にあった築150~200 年の古民家を解体し移築したホテルで、堀を渡ってエントランスを進むと両脇に提灯を下げた長屋門「郭松門」、それをくぐるとロビーやラウンジのある「椿殿」が見えてきます。
古民家の柱と梁、床は土間という空間に石造りの円形浴槽が据えられた「湯蔵」、草木と岩に囲まれた露天風呂付きの「湯殿」、壁一面、そして天井にまで張りめぐらされた白木の木目がひときわ美しい「湯屋」、と3つの湯処をゆったり楽しめるのも人気です。
情報
TEL/0538-48-6118
住所/静岡県袋井市宇刈2505-2
室数/49室
おすすめのプランは、「【早期90】宿泊プラン<夕朝食付き・奏コース>90日前までの予約でお得にステイ」夕朝食付き2名で66,900円~。
3:灯屋 迎帆楼(愛知県)
写真・情報提供/一休.com
1300年もの間、受け継がれてきた鵜飼いや、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「犬山祭り」など、歴史と伝統が息づく愛知県犬山市。天文6年(1537)に織田信長の叔父・信康が築城した犬山城は、建築された当時の天守閣が現存する数少ない城であり、国宝に指定されています。
大正8年(1919)に創業した『灯屋 迎帆楼』は、犬山最古の名旅館として古くから文人墨客にも愛されてきました。2017年7月には全室半露天風呂付きの宿としてリニューアルし、現在は全室スイート仕様の贅沢な造りとなっています。
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約1200年前、弘法大師・空海が、名古屋の熱田神宮にお参りする途中に開基したと伝えられる性海寺。境内に整備された「大塚性海寺歴史公園」には、約90種1万株を数える紫陽花が植えられています。この宿からは車で50分ほど。
見ごろを迎える6月に例年「稲沢あじさいまつり」が開催され、貴重な重要文化財と紫陽花の競演を楽しむことができます。今年は6月1日(木)から18日(日)、10時から16時まで。週末には最寄りの名鉄名古屋本線国府宮駅から無料のシャトルバスが運行されています。
▷この宿ならではの魅力
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客室は10室。「リバーラグジュアリースイート」は犬山城と木曽川の流れの両方を眺めることができ、「キャッスルラグジュアリースイート」のテラスからは、間近に迫る犬山城と庭園を望むことができます。
名城にあやかった「白帝の湯」と名付けられた温泉はアルカリ性で、お肌がスベスベに。そのほか、冷え性や筋肉痛、慢性消化器病などの効能があるそうです。
料理も自慢のひとつで、大豆の製法からこだわった「犬山のお豆腐」や青のりの香りが食欲をそそる「犬山の刺身こんにゃく」など、尾張・美濃で育まれた鮮度抜群の野菜や、ブランド牛の飛騨牛など地のものをたっぷり使っています。
情報
TEL/0568-61-2204
住所/愛知県犬山市犬山北古券41-6
室数/10室
おすすめのプランは、「【6月~8月】月替わり夏の味覚プラン」夕朝食付き2名で90,200円~。
4:皆美館(島根県)
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小泉八雲や田山花袋など多くの文人に愛された美しい夕日で有名な宍道湖。その北側湖畔に面した松江しんじ湖温泉は、77度と高温でありながら豊富な湯量を誇ります。
1888年創業の『皆美館』は、七代目松江藩主・松平不昧公の残した「客のこころになりて亭主せよ」との教えを引き継ぎ、心遣いと奉仕の精神を大切にしています。とくに宍道湖を借景に、樹齢300年を超す松の古木をはじめとした15本もの松が配された枯山水式の庭園から眺める夕陽は圧巻です。
▷近隣の紫陽花スポット
松江藩主の菩提寺でもある月照寺は、この宿から徒歩20分の場所にあります。代々の藩主の墓所はもちろん、不昧公が愛用した茶室や名水、茶筅塚など、茶の湯に関連した遺跡も多く点在しています。
境内に植えられた3万本の紫陽花の見ごろは6月中旬から7月上旬ごろ。通常10時から16時の営業時間を6月は8時30分から17時30分まで延長しています。開花状況は月照寺のホームページで随時更新されていますので、お出かけ前に確認してみてください。
▷この宿ならではの魅力
写真・情報提供/一休.com
淡水と海水が混ざりあう汽水湖である宍道湖は、甘鯛、鰻、シジミなどの魚介類が豊富。その自慢の魚介類を使用した夕ご飯はもちろん、朝食では不昧公が汁かけごはんを好んだことから初代料理長が考案したという鯛や、卵の黄身と白身のそぼろ、薬味を炊きたてご飯にのせて秘伝の出汁をたっぷりかける名物「たい飯」を選ぶこともできます。
2007年には島崎藤村が好んで宿泊した「藤村の間」などの人気の部屋は残しつつ、全面リニューアル。最上階にある部屋の温泉に浸かりながら宍道湖を一望できるレイクビュー スイートなど、5タイプ16室の和のオーベルジュへと大変身しました。
情報
TEL/0852-21-5131
住所/島根県松江市末次本町14番地
室数/16室
おすすめのプランは、「不昧公プラン~松江歴史館~喫茶「きはる」和菓子と飲み物セット付!!!」夕朝食付き2名で46,860円~。
5:海と入り陽の宿 帝水(秋田県)
写真・情報提供/一休.com
断崖絶壁が続く男鹿半島は、その壮大な景色はもちろん、ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統芸能「なまはげ」でも有名です。
男鹿半島の中では比較的穏やかな戸賀湾を見下ろす小高い丘に建つ『海と入り陽の宿 帝水』はその名の通り、遮るもののない景色の中で夕焼けを存分に楽しめる宿。昨年11月から改修工事のため休館していましたが、4月から営業を再開。6月には新宿舎もオープン予定です。
▷近隣のあじさいスポット
宿から車で15分ほどの「雲昌寺」では、副住職の古仲宗雲さんがたった1株から1500株以上に株分けした紫陽花が境内を埋め尽くします。独自の育成方法によって1株につく花の数が多いそうで、15年もの歳月を費やし手塩にかけて育てた紫陽花が満開になると、一面が青色に染まります。
今年の紫陽花観覧期間は6月10日(土)から7月17日(月・祝)まで。9時から17時までは、拝観料+紫陽花期間拝観料が500円、6月24、25、7月1、2、8、9日の土日のみ800円。夜間のライトアップ特別拝観は18時45分か21時30分までで、拝観料が1,000円、6月23、24、25、30、7月1、2、8、9日の週末は1,300円です。
▷このホテルならではの魅力
写真・情報提供/一休.com
どの部屋からも日本海に向かって広く窓がとられているので、室内に居ながらにして目の前に広がる雄大な景色を体験することができます。
塩化物泉の戸隠温泉は切り傷、末梢循環障害、冷え症などの効能があると言われる、肌触りのやわらかい泉質。露天風呂からはもちろん、内湯からも日本海を眺めながらの入浴を楽しめます。もちろん、おすすめは夕暮れ時。茜色に染まり、空と海の境が溶けるような絶景は、一見の価値ありです。
情報
TEL/0185-37-2331
住所/秋田県男鹿市戸賀塩浜字壺ヶ沢31
室数/17室
おすすめのプランは、「【活き鮑の踊焼き】基本会席と三陸産の活き鮑の踊焼きを楽しむ(戸賀湾を望む食事処)」夕朝食付き2名で61,600円~。
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どうしても雨に降られる可能性が高い梅雨時。足元は滑りにくく、濡れてもかまわない靴を選びましょう。不安定な天候を考慮して、折り畳み傘を用意するなど備えておくのが賢明です。
また、紫陽花の名所とは言っても場所はお寺。周りの参拝者に配慮した行動を心がけたいものです。公園のようにいつでも出入りできるわけではないので、開園時間や拝観料も確認してからお出かけください。
※本記事で紹介したプランの価格はすべて税込です。
※本記事は2023年5月22⽇(月)時点での情報をもとに作成しています。
提供されるサービスの内容は随時、変更になる場合があるため、各プランの詳細をご確認のうえお申し込みください。
情報・写真提供/⼀休.com
文/内野智子