
腕時計や万年筆、靴、器……日々をともに過ごす道具は、効率だけではなく、眺めるだけで心を満たしてくれる存在であってほしい。クルマもまた同じ。アルファ ロメオ トナーレは、SUVという実用性を備えながら、日常を豊かに彩る美しい道具だ。
文/竹井あきら
トナーレに宿る「Bella Figura」という美学
朝、ガレージで愛車を眺める。
買い物から戻り、家へ入る前にもう一度振り返る。
そんな何気ない一瞬で豊かな気分にしてくれるのが、トナーレの造形だ。 2026年3月のマイナーチェンジで、立体感と存在感に磨きをかけた新型トナーレ。このエクステリアデザインには、ブランドの歴史が映し出されている。

ブランドの象徴である盾形のスクデットグリルは、2023年に世界33台限定で発売されたスーパースポーツ「33ストラダーレ」の意匠に近づけたという。
上級グレードの「ヴェローチェ(Veloce)」の足元には、やはり「33 ストラダーレ」から着想を得たという、三つ葉をモチーフにしたデザインのホイール「フォリ」を採用。このホイールの表面は非常になめらかでサラサラした仕上げになっており、ブレーキダストをはじめとする汚れが付きにくく、汚れても簡単に洗い流すことができる。さすがお洒落なイタリア車だけあって、足元から抜かりない。

また、新たにスクデットグリル横に設けられたボタンホールのような縦長の4つの開口部「アゾレ(Asole)」は、1930年代に活躍したグランプリカー「P3(Tipo B)」のグリルを囲むスリットに由来するそうだ。
思えば2023年の「33ストラダーレ」もまた、1967年に誕生した伝説のスーパースポーツ「33ストラダーレ」へのオマージュとして生まれたモデルだ。つまり、新型トナーレに散りばめられた意匠は、脈々と受け継がれてきたアルファ ロメオの美学ということなのだろう。

イタリアには「Bella Figura(ベッラ・フィグーラ)」という言葉がある。直訳すれば「美しい姿」だが、身なりや装いだけではなく、立ち振る舞い、会話の所作、人との接し方まで含めて、美しく生きることを表す。
アルファ ロメオもまた、走る姿まで美しい。
上級グレードの「トナーレ イブリダ ヴェローチェ」に乗り込んで走らせると、軽い操舵感に驚かされた。ステアリングギア比は13.6:1とCセグメントSUVとしては超クイック。ハンドルを切ると、背の高いSUVながら前後左右にぐらつくことなくすっと向きを変える。今回のマイナーチェンジで全長を10mm短縮し、前後トレッドを左右4mmずつ拡大したことも効いてか、俊敏さに磨きがかかった印象だ。
「D=ダイナミック」「N=ノーマル」「A=アドバンストエフィシェンシー」を選ぶことができる「アルファDNAドライブモードシステム」で、ダイヤル中央のダンパーのマークが赤く灯る「D」を選べば、一層引き締まった身のこなしが可能となる。
パワートレーンは、1.5ℓガソリンエンジンと48Vの電動モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステム、イタリア語で「イブリダ(Ibrida)」を搭載。システム最高出力も175PS とこれまで通りだが、エンジン制御を見直すことで加速性能が高められ、0 – 100km/h加速は従来の8.8秒から8.5秒へ短縮され、よりスムーズな立ち上がりと力強い加速を実現している。
バンパーのエアインテークを拡大してラジエーターの冷却効率を向上し、エンジンフード内に滞留しやすい空気をフロントホイールハウスからボディサイドへ効率的に流すことで乱流や風切り音を低減しているというのも、クールな身のこなしに一役買っている。

パドルシフトはステアリングコラムに固定されたタイプだが、パドルは長く守備範囲が広いから、ハンドルを切りながらのシフトチェンジも容易だ。そしてアルミならではのカチッとした操作感が心地よい。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)や衝突被害軽減ブレーキ、狭い場所での駐車や操縦をサポートする360°カメラ、レーンキーピングアシストといった先進運転支援システム(ADAS)も充実している。さらに今回のマイナーチェンジでは新ソフトウェアを採用し、雨滴や泥、強い日差しによる誤検知を抑える制御へと進化しているという。
12.3インチのデジタルメータークラスターは、モダンで洗練されたデザインの「Evolved」、快適性を重視したレイアウトの「Relax」、ブランドの象徴的なモデルからインスピレーションを得た「Heritage」から選択可能。その中に表示する情報もカスタマイズ可能だ。
ダッシュボード中央には10.25インチHDタッチスクリーンを搭載。Apple CarPlayとAndroid Autoによるワイヤレスミラーリングに対応し、スマートフォンのようにドラッグ&ドロップでの直観的な編集も可能となっている。
スマートフォンのワイヤレスチャージャーは、機器内部に熱がこもって高温にならないように改良。さらに停車時や渋滞時でも快適性を損なわないよう空調効率も見直されているという。
乗員が余裕をもって、自然体で美しくいられるような配慮もまた「Bella Figura」的なのかもしれない。


シートのカラーラインナップは従来の「ブラック(ナチュラルレザー)」に、「レッド(ナチュラルレザー)」の選択肢が追加された。レッドシートの場合、ダッシュボード、ドアパネル、センターアームレストにもレッドステッチが施され、より情熱的な空間が演出される。
ボディカラーには、従来の「アルファ ホワイト」と「アルファ ブラック」、「ヴェスヴィオ グレー」に、2025年に発売されたコンパクトモデル「ジュニア」でも人気の「ブレラ レッド」と新色「モンツァ グリーン」を追加した5色展開。
グレードはエントリーグレードの「スプリント」と上級グレードの「ヴェローチェ」の2種。希望小売価格(税込)は、「スプリント」が¥5,990,000、「ヴェローチェ」が¥6,650,000となる。
詳細は、商品サイトまで。
https://www.alfaromeo-jp.com/models/tonale-ibrida





