
今年5月には自動車アセスメント「JNCAP」において最高ランクの「自動車安全性能2024ファイブスター大賞」を受賞し、さらに6月にはクラウン誕生70周年を記念した特別仕様車も発売された「クラウン(セダン)」。これを機に、4つのボディタイプで展開される「クラウン」シリーズの魅力を振り返る。
文/竹井あきら
誕生70年の伝統と革新
1955年に日本初の純国産車として誕生して以来、16代に渡ってトヨタのフラッグシップとして歴史を刻んできた「クラウン」。
それまで国内専用モデルだったクラウンが、約40の国と地域での販売が行われるグローバルモデルとなり、また「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」という4車種のボディタイプで展開されることが明らかにされた2022年7月の発表は、世間を驚かせた。
その発表から間もなく「クロスオーバー」が発売され、その後「スポーツ」「セダン」が追加、そして今年3月の「エステート」発売をもってついに4車種が出揃った。
5月には2024年度JNCAP(自動車アセスメント)において、「クラウン(セダン)」が最高ランクの「自動車安全性能2024ファイブスター大賞」を受賞。昨年発表の2023年度JNCAPでは、「クラウン(クロスオーバー/スポーツ/エステート)」が「自動車安全性能2023ファイブスター賞」を受賞していることから、4車種すべてにおいて、安全性能が高く評価されたことになる。
誕生から70周年を迎えた今、4車種の16代目「クラウン」それぞれの魅力をデビュー順に振り返ってみたい。
クラウンの新時代を切り拓いた「クロスオーバー」

2022年9月、シリーズの先陣を切って発売されたのが、「クロスオーバー」だ。セダンのエレガンスとSUVの利便性を融合したこのモデルは、大経タイヤを履いたブランニューなスタイリングで、クラウンの大変革を象徴する存在となった。
高めの地上高によって乗り降りしやすく、また見晴らしもいい上質な室内空間は「全席特等席」を目指したものだ。
燃費性能と静粛性に優れた2.5ℓハイブリッド車と、よりパワフルなドライブが楽しめる2.4ℓターボデュアルブーストハイブリッド車が用意される。
走りを楽しむ新世代プレミアムSUV「スポーツ」

2023年10月にデビューした「スポーツ」は、俊敏な走りを実現した、ブランド史上もっともスポーティで感性に訴えるモデルだ。
大きく張り出したリアフェンダーに大経タイヤなど、走りへの期待を高めるスポーティなスタイリング。タイトなコクピットはドライブに集中でき、助手席はくつろげるように構成されたアシンメトリーなインテリアを持つ。

2.5ℓハイブリッド車(HEV)に加え、2.5ℓプラグインハイブリッド車(PHEV)もラインナップ。大容量リチウムイオンバッテリーを搭載したPHEVは、満充電からのEV走行可能距離90kmを実現し、日常生活の大部分をEV走行でカバーすることが可能だ。
伝統と先進性の融合「セダン」

2023年11月に登場した「クラウン(セダン)」は、トヨタのフラッグシップとしての伝統と格式に、先進的なパワートレインとデザインを融合させた、「ニューフォーマル」を謳うモデルだ。
クラウン初となる水素で発電して走る燃料電池と、2.5ℓハイブリッドという2つのパワートレインが用意され、優れた静粛性と環境性能を誇る。他モデルは四輪駆動なのに対し、クラウンの伝統に則った後輪駆動を採用しているのも特徴だ。

6月2日には、誕生70周年を記念した特別仕様車「Z“THE 70th”」とクラウン専門店「THE CROWN」専用の特別仕様車「Z“THE LIMITED-MATTE METAL”」が同時発売された。
実用性を備えたプレミアムツアラー「エステート」

もっとも新しいのが、2025年3月に登場した「クラウン エステート」。クラウンらしい品格と機能性が同居する「大人のアクティブキャビン」をコンセプトにした、SUVとステーションワゴンの中間に位置するモデルだ。
全長4930mmのロングボディに、通常時でも570ℓ、リアシート格納時には1470ℓという荷室容量を確保。また、後席折りたたみ時には、長さ2mの完全フルフラットスペースを生み出すトヨタ初の新機構「ラゲージルーム拡張ボード」を装備し、アウトドアでの車中泊も可能としている。

「スポーツ」同様に、2.5ℓハイブリッドと2.5ℓプラグインハイブリッドを搭載し、余裕のある走行性能と高い燃費性能を両立している。
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トヨタ自動車 クラウン商品サイト https://toyota.jp/crown/