アウディジャパンは2024年9月10、11日の2日間にわたり「Audi Sustainable Future Tour Hokkaido」を開催した。ドイツの人気自動車メーカー・アウディが目指す「持続可能な未来の実現」。そのひとつの試みとして開催されるこのツアーは、サステナビリティに取り組む地域を、同社の電気自動車「e-tron(イートロン)」で巡り、持続可能な社会の実現の重要性について、ひとりひとりが考えるきっかけの場をつくることを目的とした取り組みだ。

今回で5回目の開催となる「持続可能な未来について一緒に考える」ツアー

ドイツの高級車ブランドのひとつとして知られるアウディが、再生可能エネルギーの活用で先進的な取り組みをする地域を訪問するツアーを開催している。岡山県、岩手県、静岡県、鹿児島県(屋久島)に続き5回目となる今回の目的地は北海道。稚内から旭川までの総距離約300kmを電気自動車「e-tron」で走り、再生可能エネルギーに取り組む施設を訪れた。

世界最大級の蓄電池設備を誇り、風力による電力の安定供給を実現|北豊富変電所

新設された127基・合計540MWもの陸上風力発電設備を連系する共用送電線と、国内最大720MWhの定置型蓄電池を併設した変電設備。

ツアー1日目、稚内到着後にまず訪れたのが北豊富変電所だ。北海道の北部に位置するこの地域は、日本海とオホーツク海からの安定した強い風が吹くため風力発電の適地として知られているにもかかわらず、以前は送電網の整備が追いついていない状況だった。風力発電の導入拡大に向けて経済産業省エネルギー庁により「特定風力集中整備地区」に指定され、全長78kmにも及ぶ新規送電線を新設。2023年4月に国内最大の共用送変電設備の商業運転を開始した。また世界最大級の蓄電池設備を備え、その蓄電量は「e-tron」8700台分にもなるという。

今回のツアーでは普段は立ち入れない蓄電池棟の内部も見学することができた。

生物多様性の大切さを学べる、世界的にも重要な高層湿原|サロベツ原野

北海道北部の日本海側、稚内市・豊富町・幌延町にまたがるこのあたりは、1万年前は海とつながる大きな湖だった。そこに生えた植物が枯れて分解されないまま泥炭として積み重なり、6000年以上かけてできた湿原がサロベツ湿原で、サロベツという地名は、アイヌの人たちが「湿原を流れる川」を意味する「サル・オ・ッペ」と呼んでいたことに由来する。面積は約6700ヘクタールと山手線の内側が丸々入る大きさであり、ラムサール条約にも登録されている日本三大湿原のひとつ。人と自然が共存する地域づくりを目指す自然再生への取り組みが進められている。

ネイチャーガイドから湿原の成り立ちと生態系について説明を受け木道を歩く。

観光名所にもなっている、ウインドファームのパイオニア|オトンルイ風力発電所

オトンルイ風力発電所は稚内と小樽を結ぶ日本海沿いの道路「オロロンライン」上にあり、約3.1kmに渡って28基の風車が立ち並ぶ。「オトンルイ」とはアイヌ語で「浜にある道」という意味。年間発電量は約5000万KWhにもなり、一般家庭が1年間で消費する電力の1万2000世帯分に相当する。現在稼動している10MW以上の風車のなかでは国内最古であり、近年新しい風車へのリプレースを予定(現在の風車は2025年に解体され、28基から5基になる予定)。北海道の見渡す限りの平野の中に立ち並ぶ風車の光景は、絶景スポットとしても知られ多くの観光客が訪れる。

高さ約100メートルの風車28基が3.1kmに渡り一直線に連なっている。

Audi創立年に建設された施設で持続可能性に関する意見交換会

ツアー2日目。Audi旭川にて急速充電を体験後、旧国鉄工場をリノベーションした施設「CoCoDe旭川」に向かった。この施設はAudiの前身会社の創業年(1899年)と同じ年に建設され、現在は活力ある地域作り、市民が活躍する町作りを目指した公共施設となっている。ここで実施されたのが「未来共創ミーティング」。これまでの「Audi Sustainable Future Tour」でもツアーの行程において持続可能な未来について話し合う交流会を実施しており、今回も専門家と地元の学生をゲストに迎え、風力をはじめとする北海道における再生可能エネルギーの未来について様々な意見交換が行われた。

ゼミで環境経済学を学ぶ北星学園大学の学生による研究内容の発表も行われた。
「未来共創ミーティング」参加メンバー。

「Audi Sustainable Future Tour」を続ける意味

広大な自然と風車が一体となった景色を眺め「e-tron」で走る。

日本の再生可能エネルギー電力比率は約22.7%(2022年度)で、主要国対比で見ると相対的に低い水準となっている。国は2030年度までの目標として36〜38%にすることを掲げていて、特に風力発電は伸び率が期待されている技術だ。強い風と広大な土地を有する風力発電の適地である北海道北部が今回のツアー目的地となった。これまでも、バイオマス発電(岡山県真庭市)、地熱発電(岩手県八万平市)、太陽光発電(静岡県浜松市)、水力発電(鹿児島県屋久島町)と、様々な再生可能エネルギーを担う都市を巡っている。「持続可能な社会」は企業だけで実現できるものではないと考えるアウディは、「Audi Sustainable Future Tour」を今後も継続していくことを宣言している。

 

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