カラーバリエーションが豊富で、万年筆やガラスペンでメッセージをしたためる時に個性や季節を感じさせてくれるインク。その色はもちろん、ボトルの形やデザインも魅力的で、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。そこで人気のインクシリーズから、おすすめのインクをご紹介します。
日本の美しい情景を色のモチーフにした彩り豊かな『色彩雫』
まず1つ目のインクは、パイロットが2007年から販売する『色彩雫(いろしずく)』。日本の美しい自然や景色、それらの美しい名前などを色のモチーフにしたシリーズで、現在は24色のラインアップを揃えています。
「もっと個性的なカラーインクを自由に楽しみたい」「様々な色のインクを使いたい」といった万年筆ユーザーの要望に応えて、彩り豊かなカラーバリエーションのインクを揃えているのが特徴。香水瓶をイメージしたボトルのデザインもステキです。
おすすめの色は『花筏(はないかだ)』。
「桜が散り、川面にゆったりと流れる儚くも美しい桜の花びらをイメージした、日本にしかない春の情景を表現した色です。万年筆で書く文字やそのインクの色を通して春のワクワク感も感じることができ、使いながらとても前向きな気持ちになります。これから迎える新しい季節にもぴったりの色です」(パイロット 広報部・竹尾麻里子さん)。
パイロット『色彩雫』
https://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/ink/iroshizuku/
神戸の景色から生まれた色彩豊かなストーリーがある『Kobe INK物語』
2つ目は、神戸に本社がある文房具専門店「ナガサワ文具センター」のオリジナルアイテムの『Kobe INK物語』です。こちらのシリーズも2007年から販売し、今では定番色が83色、コラボレーション等の特別色が24色と、合計107色のバリエーションを用意しています。
『Kobe INK物語』のインクは、「旧居留地セピア」や「北野異人館レッド」、「六甲アイランドスカイ」など、神戸の街や歴史を思い起こさせる名称と色彩で溢れています。神戸の街にある数多くのストーリーと地元の方の想いを集めて色にしたものがこのインク。使う度に神戸の街を散策している気分になれそうです。
中でもおすすめは『神戸ヒメアジサイ』。
「神戸市の市花である紫陽花をテーマにしたややピンク寄りのインクで、上品な色合いで個性も感じられる人気の高いカラーです。書く紙や線の太さでインクの色が変わって見える様子は、本物のアジサイを感じさせます。2023年のトレンドカラーでもあるパープルのインクでお手紙をしたためてみてはいかがでしょうか」(ナガサワ文具センター プロダクトソリューション部・木ノ本裕子さん)。
ナガサワ文具センター『Kobe INK物語』
https://kobe-nagasawa.co.jp/category/originalitems/kobeink/
時間の経過や書く紙によって色彩が変化する『ゆらめくインク』
最後は、ちょっとユニークなセーラー万年筆の『ゆらめくインク』です。2021年11月に第1弾として空をテーマにしたカラー9色を発売し、2022年12月に第2弾の心をテーマにしたカラー5色が発売となりました。
一番の特徴は、色の変化が楽しめること。様々な紙に書いた時の色の違い、濃淡や滲みなどの色の違い、時間の経過によっても異なる色の表情が出てくる、ゆらめくような色の変化が新しいインクです。従来のインクでは特殊な紙を使用することで色の変化がありましたが、『ゆらめくインク』は一般的な上質紙でも色の変化を楽しむことができます。特に第2弾のインクは、より変化が分かりやすい濃い色や、はっきりとした色が多く採用されています。
おすすめのカラーは、第2弾のインクから『戯れ心(ざれごころ)』。
「万年筆インクならではの濃淡と、ゆらめくように色が変化していく様子は、眺めているだけでも楽しく、穏やかな気持ちになります。日本人の心のように情緒的に色が変化していく様子は、なかなか言葉にするのが難しいので、ぜひ実際に体験して頂ければと思います。落ち着いた色味なので、仕事にもプライベートにも使って頂けるおすすめの色です」(セーラー万年筆 開発本部 企画開発課 主任・後藤昌史さん)。
セーラー万年筆『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml』
https://sailor.co.jp/product/13-1530/
今回は3つのカラーをおすすめしましたが、この中にお気に入りはありましたか? このようにインクのカラーバリエーションは実に豊富。お気に入りのインクを揃えて、メッセージを送る相手のことを考えて色を選んだり、季節に合わせてインクの色を変化させるなどして、インク使いを楽しんでください。
取材・文/綿谷禎子