時計愛好家の皆様、ビッグニュースです。セイコーウオッチが、クレドール誕生50周年を記念して、伝説的モデル「クレドール ロコモティブ」を現代に蘇らせます。1979年に発売された当初のモデルは“時計界のピカソ”と称された巨匠ジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたもの。今でも多くのコレクターを魅了し続けているモデルです。

文/土田貴史

力のあるデザインの普遍の美しさを再発見

今回復活したモデルは、ジェンタ氏の原案に忠実でありながら、現代の技術を駆使してアップデートされています。2024年8月9日(金)に発売予定で、限定300本、価格は176万円(税込)です。

当初の文字盤と同じく、文字盤には繊細なパターンが施されています。

特筆すべきは、グレーがかった黒色のダイヤルに施された、蒸気機関車の煙をイメージした繊細なパターンです。クレドールのデザイナーが、ジェンタ氏のオリジナルのスケッチを再解釈してレンダリング。これに基づき、約1600本の線が一本ずつ機械彫刻され、見る角度や光の加減で様々な表情を見せる芸術的な仕上がりとなっています。

六角形のケースとベゼルは、機関車をモチーフにしたオリジナルデザインを踏襲。12時位置の時インデックスは1本から2本に変更され、リュウズも4時位置に調整されるなど、ジェンタ氏のスケッチにより忠実な仕上がりとなっています。

4時位置にセットされたリュウズが、個性を主張。リュウズヘットはベゼルと同様に6角レンチ穴のような形状が象られています。ちなみに、ベゼルの6つのねじは、ベゼルをケースに固定する役割を実際に果たしています。

ケースとブレスレットの素材は、ステンレススチールに代わってブライトチタンを採用。軽量で錆びにくい特性を活かし、快適な装着感と耐久性を両立しています。ブレスレットは、手首の裏側に向かって細くなり、六角形の中駒など、細部にまで丁寧に作り込まれていて、装用感はさらに心地良いものになりました。

ムーブメントは、クレドール専用に開発された薄型自動巻きメカニカルムーブメント、キャリバーCR01。オリジナルモデルのクオーツムーブメントから進化を遂げ、厚さ9mm以下のエレガントなフォルムを、機械式で実現しています。

左/ジェンタ氏のオリジナルスケッチ。右/ジェラルド・ジェンタ氏(2011年に80歳で逝去)。オーデマ ピゲの「ロイヤルオーク」や、パテック フィリップの「ノーチラス」など、時計史に残る数々の傑作をデザインされました。

クレドールとジェラルド・ジェンタ氏の絆

クレドールは1974年に日本発の高級ドレスウオッチブランドとして誕生し、「黄金の頂き」を意味するその名に込められた思いのもと、品質と美しさの頂点を極めてきました。そして「ロコモティブ」は、クレドールがブランド独自のオリジナリティを追求した結果、生まれたエポックモデルです。

ジェンタ氏は開発当時、何度も日本を訪れ、セイコーと密接な関係を築きました。彼はセイコーのために時計をデザインすることに喜びを感じ、「ロコモティブ」を自身の重要な作品の一つと考えたそうです。ジェンタ氏の寡婦であるイヴリン・ジェンタ氏は、「亡き夫は日本の文化、特に職人たちの技を極めようとする姿勢、細部へのこだわり、高度な技術を愛していました。この作品が蘇ることを知ったら、きっと喜ぶと思います」と、語っています。

「Locomotive」という名称には“機関車”と“牽引力となるもの”という二重の意味が込められています。ジェンタ氏は、このモデルがクレドールを牽引し、未来を担うことを願って命名しました。実際、このモデルの誕生を契機に、クレドールのデザインに多様性が生まれ、ブランドが独自性を確立するのに大きな影響を与えています。

もちろん、今回発表されたモデルは、単なるノスタルジーの産物ではありません。これは、時計デザインの歴史に深く刻まれたジェンタ氏の遺産を、現代の技術で再解釈し、未来へと繋げる試みです。また限定300本という希少性も相まって、非常に魅力的な一本となるでしょう。

時計愛好家の皆さん、この歴史的な一本を、どうぞお見逃しなく。筆者は、このモデルが、クレドールの黄金時代を再び牽引すると見ています。

<クレドール>50周年記念 Locomotive 限定モデル
自動巻き(手巻き付き)、ケース(径38.8mm)とブレスレットはブライトチタン、10気圧防水、176万円(税込)、世界限定300本(うち、国内200本)、2024年8月9日(金)発売予定。
問い合わせ先/セイコーウオッチお客様時計相談室(クレドール) 0120-302-617(通話料無料)

クレドールのWEBサイトはこちら

 

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