3月28日に待望のグランドオープンを果たした「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」。今回は、施設全体の見どころをレポートした前編に引き続き、現在開催中の二つの展示と、まもなく始まる新プログラムに焦点を当てて紹介します。開館記念特別展「ぐるぐる展―進化しつづける人類の物語」、Box300の「ひらけ モン!展」、そしてBox1000で4月22日に開幕する「MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥」。この3つのプログラムを見て回れば、MoN Takanawaが既存の美術館・博物館の枠を超えた、まったく新しい文化施設であることが体感できるでしょう。それでは、ひとつずつ紹介していきます。

開館記念特別展「ぐるぐる展」は、MoNの思想を最初に示すテーマ展

Box1500で開催されている「ぐるぐる展」は、MoN Takanawaの活動を象徴するキーワード「ぐるぐる」をテーマにした開館記念特別展です。人と人、過去と未来、異なる分野が混ざり合いながら新しい文化が生まれていく動きは、自然界の循環、都市の反復、文化の継承、身体のリズム、思考の巡りまで、「螺旋」のパターンや「回転」のイメージとして現れます。本展は、世界の森羅万象のなかにひそむ「ぐるぐる」を取り上げた非常にユニークな展示内容となっていました。

会場には約100点のアイテムと50種類以上の「ぐるぐる」が集まり、6つのゾーンに分けられて構成されています。参加作家・展示協力者の顔ぶれも実に豪華。児玉幸子、岩井俊雄、真鍋大度、三谷純、慶應義塾大学SFC脇田玲研究室など、現代美術、メディアアート、データビジュアライゼーション、工学的なアプローチを行う人々の作品や資料が、相撲や遊牧、家事、船の航路といった多彩な展示を支えています。

科学展のようでもあり、現代美術展のようでもあり、民俗学の展示のようでもある、過去に例を見ない、分類不能なジャンル横断型の知的エンターテインメントに仕上がっており、まさにMoNらしさを体現した好展示だと感じました。

展示風景「大きなUZU」

6つのゾーンが、“世界の巡り方”を少しずつ変えていく

Zone 1「World」では、自然界に無数に存在する“ぐるぐる”を起点に、人類が古くから回転や螺旋の動きに注目し、技術を発展させてきたことが示されます。続くZone 2「Art」では、回るもの、動き続けるもの、螺旋のかたちに魅了された作家たちの作品が並び、「ぐるぐるは美しい」という感覚が視覚的に開かれます。

展示風景 東 弘一郎《自連車 –Eight Wheels–》
展示風景 後藤映則《Heading》

Zone 3「City」は、日常生活へと視点を移すパートです。山手線のように都市を支える循環、モンゴル遊牧民の移動する暮らし、そして毎日繰り返される家事までが同列に並び、私たちの生活が反復と巡りによって成り立っていることに気づかせます。巨大電卓で家事の回数を数える「ぐるぐる家事図鑑」などは、その最たる例でしょう。

展示風景
展示風景「モンゴル遊牧民」

Zone 4「Culture」では、伝統や継承の仕組みに目が向きます。たとえば大阪・関西万博の大屋根リングの模型や、樂家十六代・樂吉左衞門の茶碗、一子相伝の技の話などが並び、“ぐるぐる”が建築や工芸、制度や継承のかたちにまで入り込んでいることが見えてきます。ここで面白いのは、文化が単に保存されるのではなく、巡りながら変化し続けるものとして示されている点です。

展示風景

Zone 5「Human」は、さらに視点を自分の身体へ引き寄せます。指紋やつむじ、繰り返される習慣や思考のパターンなど、私たち自身もまた“ぐるぐる”のなかで生きていることに気づかされるセクションです。そして最後のZone 6「Think」では、考えることそのものが螺旋を描く営みであると示され、悩みや発見、喜びや悲しみを反復しながら少しずつ前へ進む生き方へと、展示の視線が静かに着地していきます。

展示風景

香りの演出と「ぐるぐるおみくじ」が、鑑賞を自分の物語へ戻してくる

終盤の「Think」ゾーンの、五感で楽しむ映像インスタレーション「ぐるぐるインスピレーション」は必見。床面に描かれる螺旋状のかたちを軸に、荘厳な音楽がひびくなか光と音楽、映像が交差し、室内には「脳がととのう香り」まで漂っています。まさに五感で没入する癒しの異空間。心を沈め、自分自身とじっくり向き合える癒しの空間でもありました。

展示風景 「ぐるぐるインスピレーション」

そして展示の最後には「ぐるぐるおみくじ」も用意されています。偶然引き当てたことばをもとに、ぜひ、自分自身の新しい物語(Narrative)をつくるきっかけにしてほしい、という願いが込められているとのこと。楽しいのでぜひ引いてみてはいかがでしょうか。

展覧会の思い出作りにもぴったりの「ぐるぐるおみくじ」

Box300の「ひらけ モン!展」は、施設そのものの誕生譚を見せる展示

一方、2階のBox300で開催中の「ひらけ モン!展」は、MoN Takanawaという施設がどのように立ち上がったのかを紹介する展示です。隈研吾による建築、鹿島建設による施工、ペンタグラムによるロゴとサイン設計など、完成に至るまでのプロセスをぐるぐると螺旋を描くような導線でカジュアルに紹介。さまざまなエピソード、ストーリーが楽しめるのは、さすが「Narratives」をウリにする文化施設の面目躍如というところ。

展示風景
展示風景
展示風景

展示ひとつひとつもよく作り込まれており、「MoN Takanawa」の複雑かつ精緻な立体構造を、ケーキを切るように切り開いたかたちで展示した立体模型や、難易度の高い工事が続いた工事現場を映し出した映像コンテンツなど、多くの見どころが詰まっていました。

展示風景
展示風景

ぐるぐる展を見たあとにこちらへ回ると、MoN Takanawaという施設自体もまた、建築・ブランド・展示が混ざり合って生まれた“ぐるぐる”の産物なのだと実感できます。なお、こちらは嬉しいことに入場無料。

4月22日開幕「MANGALOGUE:火の鳥」でBox1000の実力が明らかに!

さらに地下のBox1000では、4月22日から「MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥」が始まります。これは手塚治虫『火の鳥』未来編をもとに、マンガを一人で読む行為を、会場全体で共有するライブ体験へと変換する新形式のプログラムです。

施設側は、「漫画を読むから体験に」という方向性を掲げ、AIやロボットと共に生きる社会を描いた『火の鳥』未来編を、現代に重なる“未来の予言書”として提示していました。マンガ、音声、映像、上演が交差するこの画期的な試みからは、MoNが展覧会だけでなく、新しいパフォーマンスの場としても最先端の“実験場”となっていくのだ、という意欲が反映されているように感じます。

Box1000の迫力ある室内設備。最新鋭の映像・音響装置を実装している

MoN Takanawaの面白さは、作品そのもの以上に、「文化はどこで生まれ、どう混ざり、どう受け継がれていくのか」という問いを、施設全体で体験させるところにあります。まずは「ぐるぐる展」で世界の巡り方を見つめ直し、続いて「ひらけ モン!展」でその舞台裏を知り、さらに「MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥」で次の表現へ開かれていく予感に触れる。そんな順路でこのオープニングを飾る3展を満喫すれば、この新しい文化拠点の輪郭をいっそう鮮明に体感できるのではないでしょうか。

MoN Takanawa: The Museum of Narratives 基本情報

施設名称:MoN Takanawa: The Museum of Narratives
所在地 :東京都港区三田3-16-1
開館日 :2026年3月28日(土)
営業時間:10:00~21:00(プログラム・イベントごとに異なる)
入場料 :プログラム・イベントごとに異なる
公式HP:https://montakanawa.jp/

開館記念特別展「ぐるぐる展―進化しつづける人類の物語」
開催期間:2026年3月28日(土)~9月23日(水・祝)
営業時間:10:00~19:00、金・土曜日は10:00~21:00
会  場:Box1500
入場料 :一般 2,500円、U25 1,500円、小中高生 800円
     ※未就学児無料
     ※料金はすべて税込
公式HP:https://montakanawa.jp/programs/spiral/

「ひらけ モン!展」
開催期間:2026年3月28日(土)~6月6日(土)
営業時間:10:00~19:00、金・土は21:00閉館
     ※最終入場は閉館の30分前まで
会  場:Box300
入場料 :無料
公式HP:https://montakanawa.jp/programs/open_mon/

「MANGALOGUE(マンガローグ):火の鳥」
開催期間:2026年4月22日(水)~5月16日(土)
営業時間:開演時間は公演により異なる
会  場:Box1000
チケット:一般 4,500円・5,500円、U25 4,500円、小学生以下 3,000円
     ※料金はすべて税込、公演スケジュールによって料金が異なる
     ※4歳未満は入場不可
     ※公演スケジュール、チケット購入方法の詳細については公式HPを参照
公式HP:https://montakanawa.jp/programs/mangalogue_hinotori/

 

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