
秒針のない時計には、独特の潔さがあります。時・分を刻む2本の針だけが文字盤に宿る静けさは、時を追い立てるのではなく、悠然と時の流れを感じさせる——そうした時間感覚を持つ方々を長年魅了してきたデザイン哲学です。しかし、この美しさにはひとつの制約がありました。秒針がなければ、精度を計測することができない。それが長らく時計業界の常識でした。この壁を打ち破ったのが、オメガが設立した精度認定機関『ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン』の開発した音響検査法です。2026年、2針時計として史上初めてマスター クロノメーター認定を取得した「コンステレーション オブザーバトリー」が誕生しました。
文/土田貴史
音が証明する、新時代の精度
時計の精度検査は従来、秒針の動きを撮影し、その位置の変化から日差を算出するという手法が主流でした。1日2回のデータ取得が限界であり、秒針を持たない2針時計はその検査対象から除外されてきたのです。「コンステレーション オブザーバトリー」はその前提を根本から覆しました。

『ラボラトワール・ドゥ・プレシジョン』が開発した「デュアル メトリック テクノロジー」は、時計が刻む微細な音を継続的に捉え、計測開始の1秒目から連続的なデータを生成します。音の特性を解析することで、周波数の乱れ、温度・気圧への感度、姿勢変動、振幅の変化といった要因を個別に特定し、精度への影響がいつ・どこで生じたかまで正確に把握できます。25日間にわたる厳格な試験を経て、ムーブメントと腕時計として組み込まれた状態の双方がMETAS(スイス連邦計量・認定局)によるマスター クロノメーター認定の審査を通過します。

「これまで、精度の認定には秒針が必要不可欠でした。しかし、新たな音響検査方法の開発は、その制約を過去のものとしました」と、オメガ社 社長兼CEOのレイナルド・アッシェリマンは述べています。精度への妥協なき探求は、1952年の「コンステレーション」誕生以来、ブランドを貫く一本の軸です。その精神が、秒針を持たないオーセンティックな2針の文字盤にも揺るぎなく宿るようになりました。オメガらしさが、より純粋なかたちで結晶したコレクションといえるでしょう。

70余年のヘリテージが宿る、穏やかな腕元
「コンステレーション オブザーバトリー」のデザインは、「コンステレーション」が歩んできた70余年の美意識を丁寧に受け継いでいます。1952年に登場した12角形のパイパン ダイアル、6時位置に配された一つ星、ケースバックを飾る天文台のメダリオン——これらのオリジナル意匠はしっかりと継承されながら、ファセット加工のカイト型アワーマーカーとドーフィン針は現代の美意識に合わせて洗練されています。当時のオメガを特徴づけた「ドッグレッグ ラグ」もその個性的なフォルムを保ち、着用時に手首の輪郭に沿うようにケースを馴染ませます。

径39.4mmというケースサイズは、サライ世代の手首にしっかりと収まりながら、過不足なく存在感を発揮します。シリーズはO-MEGA スティール製のモデルから18Kセドナ(TM)ゴールド、18Kムーンシャイン(TM)ゴールド、さらには950プラチナまで、全9モデルを展開します。ゴールドモデルのダイアルには職人の手彫りが施され、光の当たる角度によって表情を変える奥行きのある美しさをのぞかせます。

秒針を省いたことで文字盤に生まれた静謐な余白は、2本の針の動きをいっそう際立てます。装いを選ばず、それでいて確かな品格を腕元にもたらすこの時計は、本物の価値を長く愛でたいと思うサライ世代にこそふさわしい一本です。
コンステレーション オブザーバトリー
ムーブメント:自動巻き、38石、パワーリザーブ60時間、コーアクシャル脱進機、COSCクロノメーター認定、マスター クロノメーター認定(METAS)
ケース:径39.4mm、防水性30m、シースルーケースバック
価格:O-MEGA スティール 154万〜172万7000円/18Kゴールド製 535万7000〜834万9000円
問い合わせ先:オメガ TEL:0570-000087





