
ひとつ加えるだけで着こなしに“華”を添えられる。それが帽子だ。旅にも似合う洗練された軽快なコーディネートを基本に、クラシックで攻めるか、スポーティに馴染ませるか。味わい深い「大人の帽子」に注目したい。
非日常性で洒落る
時代を感じさせる古いモノクロ写真に、「昔はこんなファッションだった」というノスタルジーにかられるひとも多いのではないだろうか。1960年代初頭ごろまでの銀座や浅草といった繁華街を歩く男性は、画一的な格好に見える。とりわけ目に入るのが帽子だ。一様にして背広にソフト帽を頭に載せている。
ファッションの変遷は時に極端で、その後、ソフト帽は廃れてしまった。親の世代への反発や反抗で、次世代に受け継がれなかったという見方もある。しかし、2000年代に入ると、クラシックなスタイルへの回帰が起こり、仕立てのいいスーツが見直され、息を吹き返したようにソフト帽はよみがえった。あえてブランド名を挙げるなら、イタリアの「ボルサリーノ」はその筆頭といっていいだろう。時をほぼ同じくして、クラシックなスタイルに並ぶ上質な大人のカジュアルとして注目されたのが、カシミアセーターだった。カシミアのセーターを手がけるブランドは、同素材のマフラーやニット帽を多彩に展開。セーターとのアンサンブルを提案したのだ。
スタイルの多様性や進化、あるいは非日常的なファッションを愉しむうえで、世代を問わずお洒落アイテムの帽子は根強い。今回は、フェルト素材のクラシックタイプとカシミアを編んだ暖かなニット帽に注目した。
まず、クラシックな帽子は、いわゆるフェルトのソフト帽を主体に、大きなブリム(ツバ)のテンガロンハットも選択した。コーディネートは、スーツに合わせるのではなく、カジュアルな着こなしでクラシックな帽子を被る、新鮮な視点を提案したい。堅苦しさはなく、非日常性も表現する粋なスタイルになるだろう。
一方のニット帽は、上質なカシミア素材と鮮やかで上品な色を選び抜いた。保温性の高さを味わいつつ、アクセントになる色鮮やかなニット帽は、カジュアルなスタイルがより洒落て見える。頭にフィットする柔らかいカシミアのニット帽は、この季節にちょうどいい心地よさをもたらすはずだ。
これまで帽子を被り慣れたひとだけではなく、この機会に、帽子で着こなしに新鮮味を加えようとするひとは、きっと気づくであろう。帽子は、スタイルに“華”を添えるということを。
クラシックなデザイン
携帯に便利な、丸められるしなやかな中折れ帽

イタリアの帽子といえば「ボルサリーノ」だろう。多彩なソフト帽がある中、より軽快なスタイルがこれだ。帽子を丸めて携帯できるので旅にも便利だ。クラウン横のレザーストラップは、丸めた帽子を留める小道具でもある。
●帽子7万400円/ボルサリーノ 問い合わせ:中央帽子 電話:03・5839・2098
英国名門の帽子ブランドをさりげなく

1676年創業の英国の老舗ブランド。世界最古の帽子ブランドとされ、その名品的価値は高い。英国の伝統的なスタイルを貫く、丸い形のトップが象徴的だ。細いリボンも小粋である。
●帽子8万8000円/ロック&コー ハッターズ 問い合わせ:シップス インフォメーションセンター 0120・444・099
たまには気取ってテンガロンハットを!

ツバは幅広く、クラウントップの形が特徴的で実にインパクトがある。普段の着こなしに非日常性を彩るには、うってつけの帽子だ。しっかりと成形され、爽やかなライトベージュは実に上品な佇まいである。
●帽子8万8000円/ステットソン 問い合わせ:ステットソン ジャパン 電話:03・5839・2098
スポーティなデザイン
クリーンで品格漂うホワイトカシミア

カシミア素材で繊細なニットアイテムを生み出すのが上手いイタリアのブランド。とろけるようなカシミアの感触は格別だ。明るい色調の着こなしで帽子を合わせると、断然にエレガント。
●帽子3万9600円/クルチアーニ 問い合わせ:ストラスブルゴ カスタマーセンター 0120・383・563
着こなしが高揚する目の覚めるようなグリーン

2023年設立のブランド。デザイナー自ら世界各地の生産拠点を訪ね、カシミア素材の買い付けから製品作りまで行なう。柔らかくもハリのある独特な風合い。鮮やかなグリーンで冴えたスタイルを。
●帽子1万6500円/キャッシュ&バルバ 問い合わせ:エグジステンス info@cashbarba.com
リサイクルカシミアとウールとの絶妙な風合い

昨今のファッション哲学を反映するリサイクルカシミアと、メリノウールを混紡してふんわりと仕上げる。帽子の裾に折り返しの目安となるステッチが2段あるため、好みの被り方が愉しめる。
●帽子2万3100円/ジョン スメドレー 問い合わせ:リーミルズ エージェンシー 電話:03・5784・1238
構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA) 撮影/池田 敦(CASK) スタイリング/武内雅英






