
時を刻む精密機械が宙に浮かび、その周囲を日本伝統の江戸切子が包み込む――セイコーの最高峰ブランド「デコール」が、スケルトンムーブメントの機構美と、熟練職人が生み出す伝統工芸の美を融合させた、唯一無二の置時計を誕生させました。
文/土田貴史
スケルトン機構が浮遊する、伝統工芸との融合
時計製造における精密技術と、江戸時代から受け継がれる伝統工芸――このふたつの日本の誇るべき技が、一つの置時計の中で見事に調和しています。本作の最大の魅力は、クオーツ・スケルトンムーブメントが中空にレイアウトされ、まるで宙に浮かんでいるかのように見える構造にあります。金色の歯車の輪列が空間に浮き上がり、その精緻な機構美を余すところなく鑑賞できるのです。この浮遊感のある演出により、時を刻む機械の美しさが一層際立って見えます。
そのムーブメントを包み込むのが、江戸切子の円柱形ガラスケースです。採用されたのは吉祥文様の一つ「麻の葉」柄。成長の早い麻にあやかり、子どもの健やかな成長を願う意味が込められていることから、古来より繁栄や発展を象徴する文様として親しまれてきました。

この伝統的な文様を曲面に施すには、豊かな経験に裏打ちされた高度な技術が求められます。カットのラインと深さを常に均一に保つため、下絵の写しからカット、仕上げの磨きまでの全工程を、熟練の職人が手仕事で行います。その結果生まれる、みずみずしくも端正な江戸切子の表情は、周囲の光を受けて空間に華やかさと奥行きをもたらします。
本作の製作を担ったのは、1899年創業の廣田硝子です。東京で最も歴史のある硝子メーカーの一つとして、江戸切子や吹き硝子など、脈々と受け継がれる手仕事による伝統的製造を継承してきました。創業より社に伝わる貴重なデザイン資料を元に、現代のインテリアに調和するプロダクトを作り続けている老舗の技が、この置時計に息づいています。
本体には金属(アルミ・ヘアライン光沢仕上げ)、文字板にはプラチナめっきを施したステンレス、台座には黒大理石を使用するなど、素材選びにも妥協がありません。高さ324mm、重量約6.0kgという存在感のあるサイズながら、高透過曲面ガラスを用いることで視覚的な軽やかさを実現しています。六角形を基本とした「麻の葉」の連続する幾何学的な模様が、光の変化とともに表情を変える様は、眺めるたびに新たな発見をもたらすことでしょう。
成長や繁栄を象徴する吉祥文様と、時を刻み続ける精密機械――このふたつが融合した本作は、人生の節目を迎える方への贈り物としても、また自らの歩みを見つめる空間を彩る逸品としても、申し分のない選択となるはずです。ちなみにセイコー デコールは、クロックにおけるセイコーの最高峰ブランドです。正統を貫きながらも非凡な美を追求し、人の手を最高の工具とする思想のもと、素材選びから仕上げに至るまで、細部に心を配って作られています。未来に誇れる価値を問い続ける姿勢は、まさに時を超えて受け継がれるべき日本の職人精神を体現するものです。

https://www.seiko-clock.co.jp





