台湾人の両親をもち、東京生まれ東京育ちの斉風瑞(さい・ふうみ)さんは、「中華風家庭料理 ふーみん」で45年以上厨房に立ち続けた料理人。ふーみんさんが得意とするのは和食材を生かした台湾風家庭料理。そこで、ふーみんさんの著書『青山「ふーみん」の和食材でつくる絶品台湾料理』から、かつお節に頼らない和食材に合う「精進だし」の作り方と、精進だしを使った手軽なスープのレシピをご紹介します。
文/斉風瑞
精進だしの作り方
材料(つくりやすい分量)
真昆布…10g
大豆…30g
かんぴょう…10g
干ししいたけ…中2~3枚(5g)
水…2L
作り方
1.干ししいたけの汚れを落とす
水をはったボウルに干ししいたけを入れて、水の中で静かにふる。ごみが落ちたら、流水でざっと洗う。ふーみんさんはさらにもう一度、3分ほど水にさらしている(省略可)。
2.大豆をから炒りする
フライパンに大豆を入れて中火にかける。大豆の表面が乾いたら火を止める。から炒りすることで、大豆の旨みが引き出される。
3.水の中に乾物をひと晩つける
鍋に水を注ぎ入れ、炒り大豆、真昆布、かんぴょう、干ししいたけを入れる。ひと晩、そのまま置いておく。
4.乾物を中火で煮出す
最初の火加減は中火。鍋の中が沸騰したら弱火にして、静かに10分~20分煮出す。アクは丁寧に取り除く。
5.鍋の中身をこして、だしをとる
ざるにキッチンペーパーを敷いたものや万能こし器を使って、鍋の中身をこす。こしたあとのだしは粗熱をとり、保存容器に入れて冷蔵庫で保存する。だしに使った食材は料理に再利用できる。
精進だしで作るシンプルスープ
しじみのスープ
材料(2人分)
精進だし…400mL
しじみ(殻付き、砂出ししたもの)…200g
しょうが(せん切り)…1かけ
水菜(4㎝長さに切る)…1/3わ
A .酒…大さじ1
A .塩…適量(しじみの塩気と調整)
作り方
1 精進だしを鍋に入れて中火で沸かし、殻をよく洗ったしじみを入れる。
2 1の味をみて、Aを加えて味を調える。しょうがと水菜を入れる。
みょうがと卵のスープ
材料(2人分)
精進だし…500mL
みょうが(縦半分に切り、薄切り)…2個
卵…1~2個
A .酒…小さじ2
A .塩…小さじ1
作り方
1 精進だしを鍋に入れて中火で沸かし、Aを入れて味をととのえる。
2 1にみょうがを入れ、溶きほぐした卵を回し入れる。
里いものスープ
材料(2〜3人分)
精進だし…400mL
里いも…中4個(200g目安)
豆乳…200mL
塩…小さじ1/2弱
ごまふりかけ…適宜
作り方
1 里いもは皮をむき、4等分に切って柔らかくなるまでゆでる。
2 1と精進だし、豆乳と塩を入れてミキサーにかける。
3 2を鍋に入れて温めて、必要であれば塩で味を調える。
4 うつわに注ぎ、ごまふりかけを浮かべる。
鶏肉と根菜のスープ
材料(2人分)
精進だし…600mL
鶏もも肉(ぶつ切り)…100g
(鶏手羽元・鶏手羽先を使う場合は各2本)
ごぼう(乱切り)…10㎝
れんこん(1㎝厚さの半月切り)…150g
にんじん(2㎝厚さの半月切り)…1/2本
しょうが(薄切り)…2枚
長ねぎ(青い部分)…少々
ブロッコリー(小房に分けたもの)…2個
A 酒…小さじ2
A 塩…小さじ1/2強
こしょう…少々
作り方
1 ごぼう・れんこんを切って酢水(分量外)にさらす。沸騰したお湯に酢(分量外)を少々落とし、ごぼう・れんこんを下ゆでする。にんじんも下ゆでする。
2 精進だしを鍋に入れ、さっと洗い水気を切った鶏肉を入れて強火にかけ、沸騰したらアクをとる。火を中火にして1の野菜、しょうが、長ねぎを加える。
3 2が煮立ったら弱火にし、Aを加えて30分ほど煮る。鍋から長ねぎをとり出し、ブロッコリーを入れる。ブロッコリーに火が通ったら、仕上げにこしょうをふり、味を調える。
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『青山「ふーみん」の和食材でつくる絶品台湾料理』(斉風瑞 著)
小学館
斉風瑞(さい・ふうみ)
愛称は、ふーみん、ふーみんママ。台湾人の両親をもつ、東京生まれ東京育ちの料理人。1971年、25歳のとき東京渋谷区神宮前に「中華風家庭料理 ふーみん」を開店。1986年に現在の港区青山に移転。オーナーシェフとして約45年間厨房に立ち続けた。現在もときどき厨房に立ち、他のジャンルの料理教室へ通うなど、食への探求、新たなレシピの創造に精力的に活動。