現代書壇を代表する書家、永守蒼穹さんの個展がセイコーハウスホール(銀座・和光)で開催される。

今展のテーマは、「師恩 光と風」。

「私の師の金子鷗亭・卓義両先生は、古典を題材にするだけではなく、いまの文学、いまの言葉をどう表現すべきか、ということを常々語っていました。今回の個展も、いまの思いを紡いだ言葉を書にしています」

ひとつは横書きの「Cynaraの風」。横3×縦1.5mという大作だ。

「シナーラというのは、1927年建造の英国製の大型ヨットです。英国首相のチャーチルもオーナーだった、美しい木造大型帆船です。これが老朽化で動かなくなっていたのですが、世界11か国から船大工を集め、6年半かけて修復したんです。このスケールの大きな話に心が動き、〝これを書にしたい〟と思ったのです」

永守さんの書は、文字もテーマも自由自在だ。源義経の「鵯越の逆落とし(一ノ谷の戦い)」という約800年前の出来事も、永守さんの書はいまに蘇らせる。

「一ノ谷の義経 自作の詩」 139×137cm

《一ノ谷の義経》と崖から駆け下りる勢いそのままの文字の周りを、永守さんの詩文が取り囲む。

《天から兵馬が降って来た 鵯越の坂落とし 義経率いる 七十騎 平家はにわかに潰乱した》
令和の世に、馬で崖を駆け下りる義経の姿が浮かぶようである。

個展には他にも、永守さんが「心動かされた出来事や文言」――近代詩文書や漢字書、顔彩をほどこした作品などがお目見えする。

「行く春 与謝野鐡幹の詩」 70×97cm
「魔弾の射手 尾崎喜八の詩」 23.5×62.9cm

「書にあまり関心をお持ちでない方でも、ぜひおいでください。何か楽しんでいただける作品があればと思います」
永守さんいわく「ほぼ会場におりますので、ぜひご感想を」とのこと。ふらりと銀座に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

取材・文/角山祥道

永守蒼穹 書展 「師恩 光と風」

「花」 21.2×15.5cm

「書きたい文言に出合うと心にとめ、空に描くなどイメージを膨らませます。『学びは古典、作品は自由・常に創作的であれ、定住するな』は金子鷗亭・卓義二師の薫陶、私の勇気の源です」と永守氏は語ります。近代詩文書や漢字書、横文字交じり文、顔彩をほどこした作品のほか、詩・俳句など多岐にわたる文言を筆に託し、額装や軸装でお手元に飾っていただける小品も展観。書の伝統に根ざしながらも既成概念にとらわれない精神性と、観る人の心に響くような躍動感を兼ね備えた永守氏の自由闊達な書を、ぜひご高覧ください。

期間:2026年7月16日(木)~26日(日)
会場:セイコーハウスホール(東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階)
問い合わせ先:03-3562-2111(代表)
営業時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)
休業日:無休
入場料:無料

※7月20日、23日、25日は、各日14時より、永守蒼穹さんによるギャラリートークの開催を予定しています。

永守蒼穹(ながもり・そうきゅう)略歴

1950年 熊本県宇土市に生まれる
1973年 大東文化大学卒業
1974年 金子鷗亭・金子卓義に師事
2003・08年 日展特選受賞
2011年 現代書道二十人展「俊秀5人展」出品
     毎日書道展文部科学大臣賞受賞
2012年 フランス国立ギメ東洋美術館・成田山書道美術館に作品収蔵
2014年 大東文化大学文学部書道学科教授就任(2016年退官)
2015年 日展当番審査員(以降2回)
2017年 日展会員賞受賞
2019年 永守蒼穹展「草燃ゆ ―好言の書」和光ホールにて開催
    奈良唐招提寺石碑揮毫
2020年 日展内閣総理大臣賞受賞
2022年 日本藝術院賞受賞
2026年 現代書道二十人展出品
     第77回毎日書道展実行委員長
現在   日展特別会員、毎日書道会理事、全日本書道連盟副理事長、全国書美術振興会常務理事、
    日本書道文化協会常務理事、日本詩文書作家協会副理事長、創玄書道会理事長

 

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