「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ 正面玄関 おもてなし」。1934年製ヴィンテージ・ロールスロイスと江戸時代の乗り物が共存しています。

江戸の職人技と現代のラグジュアリーホテルが、一枚の木版画のなかで静かに溶け合っています! ザ・ペニンシュラ東京がアートプロジェクトとして制作したオリジナル浮世絵「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ」全3作が、このたびザ・ペニンシュラ東京にてどなたでもご購入いただけるようになりました。また同ホテルB1フロアの通路では、3作と同一デザインの大判キャンバス画とともに常設展示が設けられており、宿泊客のみならず訪れたどなたでも、職人の技をじかに感じ取ることができます。

文/土田貴史

「ホテルが建つ土地の文化を取り入れる」という哲学から生まれた木版画

ザ・ペニンシュラ東京がオリジナル浮世絵の制作に踏み切ったのは、「ホテルが建つ土地の文化を取り入れる」というグループ共通の哲学に端を発します。外観やインテリアのみならず、その地の文化やアートをプロダクトとして体現しようとするペニンシュラならではの姿勢が、この浮世絵プロジェクトに結実しました。

監修を担ったのは、現代の版元として2014年に発足した「UKIYO-E PROJECT」。浮世絵の「浮世」とは「今」「現代」を意味し、各時代に人気の美人や歌舞伎役者、観光地を描いてきた伝統を現代に継ぐ集団です。その作品は大英博物館(ロンドン)やオーストリア応用美術博物館(ウィーン)、マイアミ大学図書館にも所蔵されており、日本の版画技術が国際的な評価を受けていることを示しています。

ザ・ペニンシュラ東京では、ホテルオリジナルウイスキーのボトルにアーティストが彩りを添えるコラボレーションや、国内外のアーティストを招くアート イン レゾナンスなど、多様なアートプロジェクトを展開してきました。今回の浮世絵制作は、そうした継続的な文化的取り組みのひとつとして位置づけられます。

東京・有楽町に佇むザ・ペニンシュラ東京の外観。

絵師・彫師・摺師——伝統を継ぐ4人の職人による共同制作

制作には、日本の伝統技法の系譜を継ぐ4名の職人が参加しました。絵師は画家でもあるOZ-尾頭-山口佳祐氏。日本特有の思想と現代の画法を融合させながら、ザ・ペニンシュラ東京の日常風景に江戸から明治の時代情景を重ね合わせた精緻な下絵を仕上げました。

彫師には、3代目関岡扇令に師事した永井沙絵子氏と阿部紗弓氏の2名の女性職人が、それぞれ数ヶ月にわたり緻密な線を小刀で刻んでいきました。摺師は小川信人氏。江戸から続く木版画摺師の系統(日本橋石町松村系)を引き継ぐ祖父の弟子に師事し、繊細な色調を版に丁寧に定着させました。

和紙は、福井県で手漉きされる越前生漉奉書を使用。国産の楮(こうぞ)を100%用いて職人の手により漉き上げられたこの和紙は、強さとしなやかさを兼ね備え、古来より浮世絵や日本画の最良の素材として愛されてきた逸品です。絵師の描写、彫師の小刀が描く繊細な線のタッチ、摺師が重ねる微妙な色合い——4者の技が相まって、初摺100枚限定の唯一無二の作品が生まれました。

昔と今が交差する3つのシーン。隠れガーゴイルを探す楽しみも

全3作に共通するタイトルは「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ」(ザ・ペニンシュラ東京図絵)。各文字にはホテルにゆかりのある意味が込められています。「戸゜(ぺ)」は正面玄関の回転扉、「任(にん)」はペニンシュラ・ホスピタリティの思いやり、「朱(しゅ)」はホテル内に息づく赤のデザイン、「邏(ら)」はホテルのあるべき姿である「めぐる」を表します。

第1作「正面玄関 おもてなし」は、エントランスに現在も現役で走る1934年製ヴィンテージ・ロールスロイスと、馬・人力車・駕籠といった江戸から明治期の乗り物が並ぶ到着シーンです。

「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ ザ・ロビー 午後のひととき」。江戸時代の女性たちがアフタヌーンティーなどを楽しむロビーの情景。

第2作「ザ・ロビー 午後のひととき」では、特徴的なシャンデリアと彫刻作品「臥龍の門」を背景に、江戸の女性たちがアフタヌーンティーを楽しんだり、海外のゲストと交流する光景が広がります。第3作「日比谷の灯篭 あさひを眺む」は、西の方角からホテルを望む鳥瞰図。霞のかかる東の空に日が昇り、銀座・日本橋・丸の内の現代ビル群の手前には旧江戸城が佇んでいます。

「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ 日比谷の灯篭 あさひを眺む」。西から東京を俯瞰する鳥瞰図。遠景には江戸城も描かれる。

また3作すべてに、建物の守り神として前身の建物から引き継がれ、現在は7階部分に鎮座するガーゴイルが隠れキャラとしてどこかに描き込まれています。「探す楽しみ」も、この浮世絵ならではの遊び心です。

B1フロア通路に常設展示。どなたでも間近にご覧になれます

ホテルの地下1階通路には、浮世絵制作を紹介するスペースが常設されています。ここには浮世絵3作と同一デザインのキャンバス画(各サイズ:1.36m×2.01m)が展示されており、宿泊客はもちろん、どなたでも間近でその迫力ある画面と精緻な描写をご鑑賞いただけます。絵師OZ氏が描いた大判の原画を通じて、伝統技術が現代にどう息づくかを体感できる、貴重な機会です。

浮世絵は江戸時代、庶民が楽しむ「手に届くアート」として広く愛されてきました。その精神は現代のラグジュアリーホテルという舞台においても生きており、宿泊客でなくともこの芸術に触れられる場が設けられていることに、プロジェクトの懐の深さを感じます。

このたび、ザ・ペニンシュラ東京での販売が開始されました。各デザインとも初摺100枚の限定制作で、額入りと額なしの2タイプからお選びいただけます。

ベースは、福井・越前の手漉き和紙。その上に重ねられた絵師の構図、彫師の鋭い線刻、摺師の重層的な色彩は、印刷では再現できない深みと温もりを持っています。居室やオフィスに飾れば、訪れる人々との対話を生む一枚となるでしょう。文化を守り、職人を直接支援するというプロジェクトの志に共鳴される方にも、ぜひ手に取っていただきたい作品です。

【作品詳細・購入情報】
タイトル:「THE 戸゜任朱邏東京圖ゑ」(ザ・ペニンシュラ東京図絵)全3作
サイズ:各260mm×380mm(初摺各100枚限定)
価格:額入り浮世絵 19万5000円(税込)/浮世絵(額なし)14万5000円(税込)
販売場所:ザ・ペニンシュラ東京
展示:ザ・ペニンシュラ東京 B1フロア通路(常設・入場無料)
所在地:東京都千代田区有楽町1-8-1
問い合わせ先:ザ・ペニンシュラ東京 
Tel.03-6270-2888またはptk@peninsula.com
https://www.peninsula.com/ja/tokyo/special-offers/events/ukiyoe

 

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