
扱いやすいサイズのラグジュアリーSUVは人気の的だ。マセラティのコンパクトSUV「グレカーレ」に新たなグレードが加わり、人生を楽しむクルマ選びの選択肢がさらに広がった。
文/竹井あきら
春の新色も加わったラグジュアリーSUV
「グレカーレ」は、2016年にデビューしたマセラティ初のSUV「レヴァンテ」よりもひと回りコンパクトなボディで、「ハイパフォーマンスとラグジュアリーの日常化」をテーマに2022年に発表されたコンパクトSUV。「グレカーレ」とはイタリア語で「地中海に強く吹く風」を意味するといい、マセラティの多くの歴代モデル同様、風にちなんだ車名を持つ。
このグレカーレに、エントリーグレードが追加された。新グレードの名はそのまま、「グレカーレ」だ。

「グレカーレ」の新たなグレード構成をおさらいしよう。
既存の最上位グレード「グレカーレ トロフェオ」は、最大出力530psを発生する3ℓV型6気筒の“ネットゥーノ”エンジンを搭載し、圧倒的なパフォーマンスを実現する。
同じく既存の「グレカーレ モデナ」は、最大出力330psの2ℓ直列4気筒マイルドハイブリッドエンジンを搭載し、リミテッドスリップデファレンシャル(LSD)やアダプティブサスペンションを装備。20 インチのダイヤモンドカットホイールやマトリックスヘッドライトといった外観を備えたスポーティな仕様だ。
そして今回追加された「グレカーレ」は、「グレカーレ モデナ」と共通の2ℓ4気筒マイルドハイブリッドエンジンを搭載。ただし最大出力は300psと、30psのデチューンが施されている。19インチのダイヤモンドカットホイールや、12段階調整機能とヒートシーターを備えたプレミアムレザーインテリアを装備し、エントリーグレードとはいえ豪華な装備を誇る。

もちろん、1947年以来マセラティデザインを象徴するトリプルサイドエアベントや、ジウジアーロデザインの「3200GT」にインスパイアされたブーメラン型テールランプ、スーパースポーツ「MC20」にインスパイアを受けたというLEDヘッドランプ、「トライデント」と呼ばれるマセラティのエンブレムを中央に配したフロントグリルなど、イタリアンラグジュアリーを体現するマセラティらしいタイムレスな造形美は、すべてのグレードに共通している。
サイズは、全長4846mm、全幅2163mm、全高1670mm。価格は、「グレカーレ トロフェオ」が1711万円から、「グレカーレ モデナ」が1178万円から、そして「グレカーレ」は1065万円から(すべて税込)となっている。

今回の新グレード投入に合わせ、カラーパレットも刷新された。
11 色の標準のボディカラーに加え、春のコレクションとして“オレンジデビル”という鮮やかなカラーが登場。また、マセラティの他モデル同様に、カスタマイズプログラム「フォーリセリエ」を通じて特別なオプションも提供され、エクステリアおよびインテリアを自由にカスタマイズすることも可能だ。
ソリッドカラー、メタリックカラー、三層および四層カラー、マットカラーを含む豊富なボディカラーが用意され、これらカラーはすべてマセラティの本拠地である、モデナのヴィアーレ・チロ・メノッティにある工場に新設された「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」にて塗装されるという。

日本の街での日常使いに向いたコンパクト高性能SUVのライバルとしては、2014年に初代がデビューしたポルシェ「マカン」が挙げられるだろう。こちらは昨年フルモデルチェンジを受け、ピュアEVとなった2代目が日本でも昨年7月から受注が開始されている。
マセラティでも、イタリア語で「稲妻」を意味する「フォルゴレ」と名付けられた電動化戦略が進められていて、2023年にはマセラティ初の電気自動車である「グラントゥーリズモ フォルゴレ」、続けてフル電動パワートレインを搭載したマセラティ初のSUV「グレカーレ フォルゴレ」が発表されている。ただし日本導入予定は現時点で未定だ。
「マカン」の新型EVが従来型のガソリンエンジンモデルと並行するかたちで販売されていることからもわかるように、日本のEV市場はまだ成熟していないという判断なのだろう。
などという話は無粋に思えるほど、マセラティは品格のある豪華さと、レースの歴史に裏打ちされた高性能、そして顧客のわがままに応える幅広い選択肢を兼ね備えている。「グレカーレ」という名門マセラティが用意した新たな選択肢が、あなたの人生に新しい風を吹かせるかもしれない。
マセラティジャパン公式サイト www.maserati.co.jp